#5 この一文だけでも、一読の価値あり。
恩田陸さん著「ライオンハート」。
今まで読んだ中で最も好きな小説であります。
恩田陸さんといえば、代表作として「夜のピクニック」や、直木賞受賞作「蜜蜂と遠雷」など、数々の作品を世に出している超有名作家です。読んだ事はなくとも「知ってる!」という方も多い事でしょう。
上記の二作品も勿論素晴らしい作品です。しかし、それらを差し置いて「ライオンハート」は素晴らしいと思います。個人的に。
簡単なあらすじを。
大学教授のエドワード・ネイサンが、忽然と姿を消した。同僚であるチャールズ・モリスは彼の家へと向かうが、エドワードの姿はなく、ただ彼の日常の残り香が漂うだけ。
不審に思うモリスの目に留まった
「from E. to E. with love」
と記されたハンカチーフと、
「LIONHEART」
と一行だけ書き付けられた便箋。
エドワードはどこへ?そしてこの言葉の意味とは?
17世紀のロンドン、19世紀のシェルブール、20世紀のパナマ、フロリダ。時代と場所は変われど、時空を超え、何度も出会い、愛し合う男と女を描いた異色の純愛作品です。
僕はタッパがあり、目が悪いので常に眉間にシワの寄った優しくない顔の男ですが、意外と好きな物は幅広いです。
SEX and VIOLENCEからドキ胸青春系まで。
ゆりかごから墓場まで。
「ふたりはプリキュア」から「吉原炎上」まで。
なんでも食います。
では、僕がなぜこの「ライオンハート」に惚れ込んだのか。それは、タイトルに記している通り、ある「一文」に衝撃を受けたからです。
それがこちら。
「あたしはあなたで良かったわ。いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに会えて良かったと思うの。いつもいつも。会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ」
何度読んでも美しい。文学史に残る名文です。僕的文学大賞を授与致します。
これは巡り合う運命にある二人にとって、とても特別な台詞です。
幾度となく出会い、愛し合う二人の想いの強さが、これでもかと詰め込まれています。
もうホントに。。。これ読んだ俺の気持ち。。。わかる?わかんねえだろうな。ええわからんでしょうよ。わかってたまるかですよ。
読破後、切なくも暖かい、この愛し愛される関係の尊さに憧れすら抱いてしまいます。
愛し愛される。。。愛し愛され。。愛し。。。愛され。。。る。。。
痛い。頭が痛い。灼けるように痛い。頭痛が痛い。辛い。泣きたい。泣き叫びたい。
ひとり。。。やだ。。。さみしい。。。
死になくない。。。まだ。。。
死にたい。。。
400ページほどあるこの「ライオンハート」ですが、普段から活字慣れしていない方にもぜひ読んで欲しい。
タイトル通り、この一文だけでも一読の価値があります。
本ってのは、開いてみれば意外と捲る手が進むものですよ?
ちなみに、恩田陸さんと僕は同じ出身地です。
さすがわが故郷。俺だけでなく、恩田陸大先生までも。。。
天才を生む地。。。誇り高き雪國。。。