女の子の水着姿を見ておけばよかった

 いつも通り教室は退屈でしかない。陽キャは普段より2割増しの声で叫んでいて、イヤホンごしでもキンキンと聞こえてすごく気が散る。自分たちも別にしゃべらずにスマホぽちぽち。ソシャゲが全くハマらない自分はその間するものがないのでPlay storeで見慣れた興味のないアプリを一蹴し続ける。一番嫌いな時間だ。

 いやそれ以前に学校でいい時などほとんどなかった。基本時間が空くたびにラノベばっか読んでいて、クラスメイトの声を常に雑音として処理していた。人間不信になっていて、何もかも嫌いだった自分にとって学校での唯一の楽しみだった。

 あと異性との関わりぐらい。今でも天使みたいな子が自分に来てくれる受け身な出会いを求め続けている。実際二度はあった。でも当時は異性と関わることが慣れていないのと、それ以上に性欲が思考を邪魔していて、恥ずかしくて全く自分から行動できなかったし、相手の気持ちを考える余裕も無かった。そりゃ疎遠になって当たり前だ。

 そして高校生になれば大半の人間には彼女、彼氏ができ始めるから、自分のような陰キャの男子なんかと関わる意味がない。それに多分自分は女子から怖がられている。だとすると、自分を救ってくれる人はもう来ないのだろう。何もかも遅すぎたんだね。

 何か思い出が欲しい。もちろんいい思い出で、人とあまり関わらないで済む奴。考えてみたけど女の子の水着姿だ。別に浴衣、ドレス、下着でもいい。普段みない恰好の女の子が見たい。普通の姿なんてみてもインパクトがないから絶対にすぐ忘れてしまう。だから一瞬だけでもいいからそんな姿を見てみたい。こう書いてみると死ぬほど気持ち悪いなとは思うけど、できる行動が視認しかない自分にとってはこれしかないんです。人と関われるお前らが羨ましいよ。


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