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【紅白記事合戦2024/エッセイ】ガオレッドになれなかった僕
この記事は12月22日(日)に行われる「紅白記事合戦」の参考記事になります。詳細のリンクは一番下に貼っておりますのでご確認ください。
自然と友達ができた時期があった。
その頃の僕は、赤が好きでたまらなかった。
ガオレンジャーではガオレッドに憧れ、
仮面ライダークウガではマイティフォームに心を奪われ、
テツandトモでは、いつもテツに自分を重ねていた。
でも、僕はガオレッドにはなれなかった。
クウガでも、マイティフォームどころかグロンギ役にしかなれず、
テツandトモでも、いつもトモのパートを歌っていた。
本当はステージの真ん中で両手を高速で回していたかった。
赤が好きな僕は、結局、赤にはなれなかった。
その頃から、集団にはピラミッドのような構造があるのだと、なんとなく察するようになった。
やがて赤になれない僕は、最初から赤を選ぶのをやめた。
だから、好きな色は次々と変わった。
緑、紫、チャコールグレー。
僕の好みは転がるように流れていった。
そして気づけば、僕は大人になっていた。
古着が好きになった僕は、ある日古着屋で一着の服に心を奪われた。
トリコタグの真っ赤なリバースウィーブ。
あの頃の赤への憧れが一気に蘇り、リトルピザが騒いだ。
これを着れば、かつて思い描いた自分にやっとなれる気がした。
古着と言えば聞こえはいいが、結局は誰かのお古。それが20,000円もした。
けれど迷わず買った。
その服を着て、免許証の更新に行った。
手続きはスムーズに進み、免許証が手渡された。
だが、その写真を見た瞬間、戦慄が走った。
顔の血色の悪さが際立ち、首から下の鮮やかな赤だけが浮き立っている。
まるで僕自身がかき消されているかのようだった。
気づけば、僕は赤の似合わない男になっていた。
家に戻った僕は、真っ赤なリバースウィーブを持ってセカンドストリートへ向かった。
12,000円で売れた。
差額の8,000円。それ以上の何かを失った気がした。
でも、免許証には青白い顔で、かつて憧れた自分の幻が刻まれている。
なんでだろう。なんでだろう。なんでだ、なんでだろう。
今日もリトルピザがトモのパートを高らかに歌っている。
企画の概要は以下になります。
12/22、1日のみの開催となります。
僕もほぼ初めてエッセイを書きました。
みなさん、赤と白のエッセイを持って集まりましょう。