能登に向かって|石川旅行記⑤

地元のTUTAYAの営業時間が、夜10時までから夜8時までに変わるらしい。私が中学生の時は夜11時まで営業していたのに。もしかしたら、私が生きているうちに地元のTUTAYAはなくなってしまうかもしれない。そんなのは、さみしい。ずっとあってほしい。

前回の続きから。七尾駅のとなり駅、和倉温泉駅にて私はそうそうにのと鉄道を降りた。和倉温泉にはその名の通り、温泉がある。「恋文の技術」に出てくる主人公たちもこの湯につかりに訪れていた。

のと鉄道「和倉温泉駅」
和倉温泉駅の目の前にある堀井商店さん

和倉温泉にて

和倉温泉駅を降りると、小さな商店の前の小さな休憩スペースの前に、「銀色のお地蔵さん」が立っていた。私は、喫煙所を形成する銀色の筒状灰皿の事を「銀色のお地蔵さん」と呼んでいる。旅先や出先でこのお地蔵さんを見かけるとありがたや、おかげさまで助かりました、という気持ちになる。今回も例にもれず少し休憩させていただき、また歩き始めた。
これから向かうのは「和倉温泉-総湯-」さんだ。だいたい30分弱の道のりを進む。もちろん朝が早いということもあったのだが、見かける人は少ない。震災の影響である。道路や建物に能登半島地震の被害がまだ判然と残っていた。見るからに休館している旅館がいくつもあった。

湯っ足りパーク内「妻恋舟の湯」

七尾湾を一望できる無料の足湯施設「妻恋舟の湯」も当面の間、使用中止となっていた。このころから複雑な気持ちがちょっとずつ芽生え始めてきたが(写真撮ったのはたぶんお風呂入って帰る時だと思う。)しかし、とりあえず進むしかない。総湯まではあと少しだ。

和倉温泉-総湯-

少し道に迷ってしまったが、無事に和倉温泉-総湯-まで着くことができた。入り口で入浴券とハンドタオルとハミガキを購入し、湯へ。湯船につかること自体久しぶりな気がして、とても気持ちよかった。サウナも入ったが、水風呂につかったあと、頭がぐわんぐわんした。「整った」のかもしれないが、体からの限界のお知らせの気もした。少し畳の休憩部屋で休んだ後、次なる目的地である「穴水」へと向かうため、私は総湯を後にした。残された瓦礫や、地面が崩れショートケーキのように内部の断面があらわになってしまっている歩道を見ながら、駅へと戻る。
のと鉄道は1時間に1本程度しか電車が無く、次の電車に間に合わないかと思い少し急いだ。それでも駅に着くころには10分くらいの待ち時間があったので気になっていた堀井商店の前にあったムーミンのガチャガチャを回すことにした。

ガチャガチャ「ムーミン フィギュアマスコット4」

全5種 400円と書いてあるのに、謎に半額の200円で回すことができる。私は、「ムーミン谷の彗星」と「たのしいムーミン一家」の最序盤しか読んだことなかったのでムーミンパパ以外は正直「こいつ、誰なんだよ…」状態だった。しかし、最近ともだちが本当に楽しそうにガチャガチャを回していたのが脳裏に浮かびどうしてもやりたくなってしまった。私の狙いは、誰かは知らないが、「ロッドユール」だ。デザインが好みだ。それか、スナフキンのような恰好をしたヨクサルでもいいかも。フレドリクソンでも構わない。みんな本当に誰かはわからない。最終的に2回まわした。

フレドリクソンとニブリング

結果は、1回目「ニブリング」2回目「フレドリクソン」だった。なんと数えればいいか分からないが、彼らは今、本棚の下から2段目の右端にちょこんといる。計400円、まったく節約にはなってないが不思議と全く後悔していない。私は、彼らに出会うためこの先もムーミンシリーズを読み進めようと思う。
ガチャガチャのカプセルをリュックに詰めて、私はホームへと急いだ。電車は次の目的地、のと鉄道終点「穴水」へと私を運ぶ。

つづく。


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