Seven Questions#9 トレイシー・ヤング(PlanGrid)
原文はこちら ※原文は2018/8/8のものです。
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トレイシー・ヤングは、建設業界で最も使われているサービスの一つであり、世界中の100万近いプロジェクトで1億以上の図面を管理している技術プラットフォームであるPlanGridの共同創設者兼CEOです。ベトナム戦争難民を両親に持つアメリカ人の一世で、建設技師としてキャリアを始め、紙の設計図の限界へのフラストレーションからPlanGridを作りました。
Q1. あなたがこれまで学んできたことの中で、日々大事にしていることはなんですか?
より相手の話を聞き、あまり自分から話さないようにしています。会社を始めた初期の頃、人々に自分たちのミッションを売り込み、顧客に自分たちの製品を売り込み、私は常に喋っていたような気がします。驚くほど聞き上手な方に出会った時、私はそういった人たちが会話からどれだけの学びを得られるのかを知り、非常に感心しました。最終的に、私は独学でそれを身に付けました。創業者でありCEOの性分として、私はしばしばチームに対して大量の質問を浴びせてしまうことがありますが、毎日雑草の中を突き進んでいるのはチームであり、彼らの質問もまた重要です。なので、聞くという行為は非常に大切なのです。
Q2. 起業する人に何か一つアドバイスをするとしたら、どんなアドバイスをしますか?
スタートアップの映画やテッククランチの記事を読むと、シリコンバレーは魅力的な地であるように映ります。しかし、あなたはそれがいかに難しいことであるかを知りません。多くの人が戦略を立て、それを実行することに全力を尽くしていますが、市場のダイナミクスやその他にもたくさんの自分がコントロールできない要因があるのです。あなたは常に成長のプレッシャーにさらされています。そして、たとえ会社を作ったとしてもそのような人生は終わってはくれないのです。共同創業者の1人を癌で亡くした時、私たちは「このままこれを続けるのか?」という問いに答えを出さなければなりませんでした。喪に服している時でも、大きなリリースが待ち構えています。だからあなたは家族や同僚の愛や思いやりを頼りながら、進み続けるのです。これはPlanGridに限った話ではありません。
なので、私のアドバイスは「あなたの時間を費やす価値のある問題を見つけなさい」ということです。それこそが起業を成功させる唯一の方法です。もしその問題にとても強い感情があるなら、それを解決するために、人生の何十年を進んで費やすことができます。泥の中を突き進んでいる時でも、そのミッションがあなたを導く光になってくれるでしょう。
Q3. どんな小さな変化が、あなたの人生に大きな違いを生みましたか?
私は以前最悪の食生活を送っていました。朝ご飯と昼ごはんを抜いて、仕事終わりに大きなブリトーを食べるのです。「忙しすぎて食べる時間がない」というのを言い訳にしていましたが、同時多くの起業家が同じような生活をしていることも知っていました。
数年後にオフィス内でケータリングのランチを始め、突如としてそのような一切言い訳をしなくなりました。ただ食べ物を取ってくるだけでいいのです。しっかり食べれば、その分エネルギーを得られることにも気がつきました。このことは他にも、ベトナム料理を食べるようになったことや、自分のルーティンに気を配るようになったなど、いくつかの変化をもたらしました。今では頭痛を感じることもほとんどなく、夜の7時であっても集中し続けられるようになりました。自分自身に気を配るようになってから、私はリーダーとしての能力が格段に上がったと感じています。
Q4. あなたが知らないことで、知りたいと思うことは何ですか?
私はデューク・エリントンのようにピアノを弾くのがとても好きで、ジャズもよく聞きますし、ミュージシャンという人たちを常に尊敬してきました。この前の夫婦の記念日に夫がキーボードをプレゼントしてくれてから、少しずつ独学でピアノの練習をしています。ちゃんとしたレッスンを受ける時間はないので、人が演奏しているYouTubeを見ながら真似しています。これまでにエリック・サティの『グノシエンヌ』の2番まで弾けるようになり、今は3番の半分くらいまで練習しています。一部引けるようになるだけでも数ヶ月を要するのでとても大変ですが、続いています。私は挑戦するのが好きなのです。
Q5. 今あなたの枕元にある本はなんですか?
読書は全く捗っていませんね。たくさんの本をまだ読めていませんが、何年も枕元にあって今でも読み返している本が2冊あります。カリール・ジブランの『The Prophet』と、Yumi Sakugawaの『Your Illustrated Guide to Becoming One with The Universe』です。脳が新しい情報を処理できなくなって、読んでいるものをとりあえずKindleに戻す必要が出てきたときは、この2冊のうちのどちらかを読むようにしています。
パラパラとページをめくりながら、本が私に語りかけていることを見て、眠る前に数ページ読みます。それは人間関係の項目かもしれないし、私が対処しようとしている感情にまつわる項目かもしれないし、単純に深呼吸をして落ち着くことを思い出させてくれるリマインダーでもあります。本は私により大きな視点を与えてくれます。自分が宇宙の一部であること、そしてその中のほんのひとかけらに過ぎないことを思い出させてくれるのです。
Q6. あなたが、自分が何かについて間違っていると気づいたのはいつですか?
私は、自分が何かについて間違っていると気づくのは簡単だと思っています。難しいのは、それを受け入れることです。例えば、採用した人に対して何か思い違いをしていた時などです。普段は採用した人が完璧にフィットしていなかった時、そのことを伝えられるのですが、彼らの履歴書があまりにも素晴らしく、私が仕事に追われておりCEOとしての仕事を果たさなければならない時はそれがうまくいきません。直感に逆らったときはいつでもうまくいかないのです。
失敗は苦痛を伴うものですが、同時に意義ある成長の瞬間でもあります。失敗は成功よりも多くのことを私に教えてくれました。私は正しい人を採用するために長い時間を耐え忍ぶことが大切さを学びましたし、またあまり会社に合わない人を採用してしまった時にどうするべきかもたくさん学びました。以前はただ切り捨てるだけでしたが、彼らに改善のための明確な機会を与えることがリーダーとしての私の仕事だと気がつきました。そして私は、多くの人がそれを改善するところを見てきたのです。
Q7. あなたにとって最も重要な時間の単位は何ですか?またそれはなぜですか?
この瞬間です。起業家として、私たちは多くの時間を過去と未来に費やしています。すなわち過去の失敗を振り返り、未来への計画を立てることです。ある日顔を上げて、「これまでの8ヶ月はどこへ行ったんだ」というのは本当に簡単です。次の四半期の戦略を立てることと、実際にその期間に戦略を実現することのバランスが重要だと思います。
そのために、私は定期的に瞑想をするようにしています。少しの間自分自身を自分の思考から自由にしてあげるのです。また、毎週木曜日の夕方に街に帰ったときは、ブリッジのトーナメントにも出ています。試合の最中に一瞬でも心が迷うと、90代のプレイヤーたちにたちまち完敗してしまいます。なので、私は今この瞬間を生きるようにしています。それが私の脳の他の部分にとって良い休息になるのです。
Hard-won advice(努力して得た教訓)
1. Trust your gut(直感を信じろ)
2. Learn to listen(聞き方を学べ)
3. Eat well(よく食べろ)