【J1第18節】vs名古屋 2022鹿島アントラーズ

スタメンはこんな感じ。

新加入での開幕から、ここまでのリーグ全17試合でスタメンだった樋口が、鹿島に来てリーグ戦初のベンチスタート。

CBには関川ではなく水曜日の天皇杯でパフォーマンスの良かったキムミンテを起用。
常本はおそらく頭部への負傷による影響を考慮しベンチスタートとし広瀬がスタメン。

そして鈴木優磨&上田綺世コンビが約1ヵ月ぶりに復活。

そんな鹿島のスタメン。

対する名古屋は3-1-4-2。



試合開始。

鹿島がこの日やりたかった事は前半4:00~に凝縮されてるので、ここだけはしっかりとやる。

まず名古屋がボールを持ってGKからビルドアップ開始。
まず名古屋は3バック3人がかりで横にボールを揺すり、鹿島の2FWを外して前を空ける。
そこからサイドで鹿島のSHとSBがボールホルダーに向かって前に飛びついてくるのを利用して縦ズレを起こし、その裏を突いて押し込む。
サイドでズらされるのを鹿島が嫌がって、ブロックを横に広くしてきたら、中央のレオシルバ・稲垣・仙頭が間受けで中央から一気に打開。



それに対し鹿島。先の広島戦から始まり、これまでは前述の通り外の縦ズレを使われてプレスを外されて来たが、この日はプレスの形を変えてきた。


これまではCHが縦関係となり、前に出た方のCH(この日でいう和泉)が、相手のアンカー(この日でいうレオシルバ)を監視する形の守り方を取ってきた。

しかしこの日和泉はレオシルバを対象にせず、FWである優磨-上田の間の位置まで前に出て行き、優磨-和泉-綺世の横並びに。

これにより相手3バック3人に対し、鹿島は最前列3枚がチェイスを行う形となり、ボールを横に揺すられてもホルダーの前を空けずに対応できるようになった。

そうして名古屋は3CBが運べないので、パスを内に出すor外に出すのどちらかを選ぶ状態に。

もちろん攻撃の優先順位としてまず内から探るも、この日の鹿島は、和泉が高い位置を取る代わりにSHがいつにも増して中に絞る形をとった。


これにより、レオシルバ・稲垣・仙頭の内前進役は常に鹿島のSHの監視下に置かれうまく機能せず。

この和泉最前列出し→両SH内絞りによる4-3-3可変前プレが、割と上手く行った。


名古屋の3CBはボールを横に揺すっても前が空かず、内を見ても監視が厳しく、結局外を使う形になる。

そうなれば鹿島の思惑通り。CB→WBの外への逃げのパスを全体のプレススイッチに設定し、SHがWBにアタックするのをキッカケに全体がそのサイドに一気に圧縮して、狭さで押し潰す。

SBが前に飛びつくのを抑えつつ、サイド圧縮できる。

SBが前に飛びつくのを抑えられる。
これがなによりも大きい。
なんでかは過去に散々やってるのでそっち読んで。



というわけで開始早々のこの前半4:00~で、名古屋のビルドアップに対し鹿島の4-3-3可変前プレが刺さる。

優磨-和泉-上田のチェイスで徐々に名古屋の3CBの横揺すりを苦しめ、それが限界に達し右CB中谷→右WB森下に逃げの外パスが出たのをスイッチとし全体がサイド圧縮。

これまではWBを捕まえに左SB安西が前に飛び出してた所を左SHのカイキがアタックし、左SBの安西がサイドバックらしい適正の守備位置で守ってボールを奪う。

リスク的な観点からも、ボール奪取効率の観点からもこれの方が圧倒的に良い。



そして4:30にボールを奪ったピトゥがGKにバックパスを送り、名古屋の守備重心を前に寄せてからGKスンテがダイレクトで最奥にロングボールを送る。



するとあーら不思議。
いとも簡単に、名古屋陣地で名古屋の守備4人vs鹿島のアタッカー5人のチャンスに。


これがヴァイラーのサッカー。去年までとは明らかに異なるポイント。


去年までの4-4-1-1は、土居や遠藤康や荒木がトップ下に入って攻撃における起点の大半を担っており、中盤に4枚を配置してもその4人が機能してボールを握り再現性を持って相手陣地に押し込む保持構造は構築できていなかった。

保持しきれないので、結果的にせっかく置いている中盤4人がすっ飛ばされる形になる。
そうなれば4人で一番後ろを守ってから攻撃に転じても、4-4-1-1なため基本的には1番前には1人しか居ない状態に。

そしてその1人が、後ろが追い越してくるまでのタメを作るのが前提となっていた。

ただ今年は違う。中途半端になって結局機能させきれない(機能させきるための土台構築に時間がかかる)中盤4枚体制をやめる。
そこは広く動き回れる1人で良い。どうせ基本使わないから。

そこの人手を薄くしたぶん、それを今度は最前線に回す。
1番奥の、1番相手ゴールに近い所に5人置いて、そこにボールを送る。
5人がかりの圧力とスピード感でゴールを奪う。


この

まずは相手に合わせた守備を仕掛けてボールを奪い、
圧倒的なスピード感で最前線で待つアタッカー陣にボールを届け、
人数的な厚みと高い質が生み出す迫力をもって相手ゴールに襲いかかる。
さらにそこから走力に長けたCHと両SBが素早く第二陣として前線に駆け上がり、被カウンター潰し&二次攻撃の起点という役割のため相手陣地になだれ込む。

という戦略。


これが鹿島を現在リーグ2位まで持って行ってる。


それがよく表れてるのがこの前半4:00~のシーン。
4:00~で相手に合わせて守備を噛み合わせてボールを奪い、
4:30~で厚みのある最前線のアタッカー陣に最速でボールを届け、相手ゴールに襲いかかる。
4:50~で押しこんでからSBとCHが即座に高い位置まで押し上げて即座奪還を狙い、
5:15~で最前線でボールを奪い返して2次攻撃開始。

最後は右SBの広瀬が、5人の攻撃陣が待つペナルティエリア内にクロスを入れ、フィニッシュは後ろ側CHのピトゥがアタッキングサードまで出てきてロングシュート。

これが4:00~5:30に起きた出来事。



疲れた。

このあと圧倒的な展開にできなかったのは、鹿島にとってのボール保持時のこの激アツスポットが、

名古屋の守備重心が低かったことにより狭くて



手詰まっちゃったのが大きいかなと。

先制シーンなんかまさにこれ。
普通にやってても縦幅が狭くて、攻撃に深さが出せずに上手く攻められないところから始まり、名古屋のパスカットが乱れてたまたまボールが鹿島陣地深めの所に転がる。

健斗がそれを拾いに行き、名古屋の重心がそれに引っ張られて高くなった事で激アツスポットが広くなって、ロングボールのリフレクションがそこに飛んで行った事であっさりゴールになった。

これは偶発的だったけど、ガッツリ重心低くされた所からの崩し方はもうちょっと詰めていきたいなっていう試合だった。






あと綺世のゴール取り消しのジャッジは、到底納得がいかない。

主審山本雄大は、事象に対して一度ゴールという判定を下した。

そうなれば、VARが介入しその判定を覆せるのは
「はっきりとした明白な間違い」である場合
のみだ。

もう一度言う。
「はっきりとした明白な間違い」である場合
のみだ。

実際に綺世の左腕にボールが触れたかどうか?の完全な答えは、これは誰にも分らない。
触れたかもしれないし、触れてないかもしれない。

ただそれと同時に、「誰が見ても触れている」とも「誰が見ても触れていない」とも言えない。


しかし主審山本雄大は、VAR佐藤隆治,AVAR川崎秋仁らの助言をもとに、これを「はっきりとした明白な間違い」として判定を覆した。


恐らく彼らは、VARの基本理念をすっかり忘れてしまったか、もしくは講習中にヨダレを垂らして寝ていたんだろうから、ここで基本理念を、JFAの公式サイトから原文そのままに引用するので、100回声に出して読み上げ是非次に生かしていただきたい。



※以下、JFA公式サイトより引用

『VARを担当する審判員が自身に問うことは、「その判定が正しかったのか?」ではなく、「その判定ははっきりとした明白な間違いであったのか?」です。
すなわち、ほとんど全ての人が「その判定は明らかに間違っている」と思う以外は、VARがその事象に介入することはしません。』

『Q.ほとんど全ての人とは具体的にどの程度?
10人いたら10人全員または9人か、8人まで含むかという感じです。』


以上。原文ママ。


報道によると、この日が上田綺世が海外移籍前の鹿島ラストマッチになる可能性が高いとのこと。
このクソジャッジにラストゴールが取り消されたかと思うと、なんとも胸糞が悪い。

試合の内容より遥かに、主審山本雄大,VAR佐藤隆治,AVAR川崎秋仁のレフェリングへの感情が大きい試合になってしまった。マジで最悪だわ



次は勝つ。

以上