第109回薬剤師国家試験(実践問題)
皆様、お疲れ様です。
前回までに引き続き、実践問題の見直しをしていきます。
前回までと同様に、間違えた問題と個人的に気になった問題だけを大雑把に見直していきます(よくわからない問題もあります)。
以下、第109回薬剤師国家試験の実践問題です。
https://filescore.yakuzemi.ac.jp/yz/wp-content/uploads/109questions-jissen1_02.pdf
https://filescore.yakuzemi.ac.jp/yz/wp-content/uploads/109questions-jissen2.pdf
https://filescore.yakuzemi.ac.jp/yz/wp-content/uploads/109questions-jissen3.pdf
間違えた問題
150問中136問正解(得点率90.7%)でした。
・問204
解答✕:②、⑤ 正解〇:④、⑤
放射性医薬品の問題。
陽電子放出核種との違いを理解しているかが問われている…。
①✕:食事の制限があるのは(18F)フルオロデオキシグルコース。ただし、食事制限があるのは実施4時間前から。
②✕:動態に影響があるのかな…と思ってこの選択肢を選んだが、特にそのようなことはないらしい…。
③✕:「膀胱部の被ばくを軽減させるため、撮影前後にできるだけ患者に水分を摂取させ、排尿させること」と添付文書に記載あり。
④〇:半減期の短いポジトロン放出核種の記述かと思った…。ポジトロン放出核種ならサイクロトロンで必要な時にその都度作れる…?
⑤〇:「投与後3~6時間に頭部のシンチグラムを得る」と添付文書に記載あり。分布するのに時間がかかる模様。
・問216
解答✕:①、② 正解〇:①、③
よくわからない問題。
予備校の解説待ち。
①〇:記述の通り。
②✕:過去にワクチンを接種した(そのような記載はないけど)から抗体が陽性なのか…?と思ってこの選択肢を選んだ…。感染の既往があり持続感染状態…?
→HBs抗原ワクチンを接種すればHBs抗体のみが陽性となる。
HBc抗体も陽性になっているのでウイルスに感染したためHBs抗体も陽性となった。
③〇:HBs抗原が陰性だからキャリアーとは言えない…? ウイルスが検出されるならキャリアーなのかと思った…。
→HBs抗原が陰性なのでキャリアではない。
④✕:急性期ならHBs抗原が陽性になるはず…。
⑤✕:HBVのDNAを直接検出しているものと思われます。
・問235
解答✕:③ 正解〇:②
NPC=(30kcal/kg×46kg)ー(60g×4kcal/g)=1140kcal
N比=60g×0.16=9.6g
NPC/N=1140÷9.6=118.75≒120
②が正解。
(60g×4kcal)を引くのを忘れて144≒140…③を正解としてしまった…。
凡ミス…😭
・問241
解答✕:②、⑤ 正解〇:②、③
問204、205と続いて放射線医薬品の問題…。
放射線医薬品に関してノーマークだった人もきっと多い…。
①✕:β-壊変が正解。β+改変は明らかに誤り。
②〇:約8日と覚えております。以下のサイトに載っている覚え方がお勧めです。
③〇:組織に直接埋め込む密封小線源のヨウ素は前立腺がんの治療などに使用。今回のヨウ素カプセルは経口投与なので非密封…。甲状腺に直接埋め込むのか…?と思い✕にしてしまった(甲状腺に埋め込むタイプなんて聞いたことがないけど何を思ったのか…?)。
④✕:ヨウ素と言えば甲状腺…骨に集積するなんて聞いたことがないということで✕。
⑤✕:ヨウ素の放射性核種を使ったもので甲状腺以外に使用するものもあったよな…と思いこれを正解としてしまった…。脳腫瘍に使うものはないらしい…。
・問256
解答✕:③、⑤ 正解〇:②、③
オマリズマブは抗IgE抗体製剤。
①✕:体表面積で投与量を決めるものと言えば抗がん剤。
②〇:選択肢の中で選ぶとすれば普通にこれを選べたと思うが…。体重ではなく年齢かな…?とか妙なことを考えて✕にしてしまった…。
③〇:抗IgE抗体製剤なので血清中のIgE濃度が重要。
④✕:IL-5は好酸球の活性化などに関わる。
⑤✕:好酸球の数が重要となるのはベンラリズマブやメポリズマブなど。なぜこれを選んだのか…。
・問258
解答✕:①、② 正解〇:①、④
①〇:リード文から普通に追加されて併用されていることが分かるので、おそらく重篤な相互作用などはないのだろうと考え選択。
②✕:抗体製剤は妊婦に禁忌でない…と思っていたので選択したが不正解…。禁忌ではないが「気にしなくても良い」とまでは言えない…。
③✕:免疫を抑制するので感染症のリスクは当然ある。
④〇:成分栄養剤…アミノ酸なので浸透圧が高く下痢が起こりやすいため腸に負担がかかるだろう…と思って選択したが不正解…。消化の必要がないから消化態栄養剤より腸への負担が少ない…という考え…?
⑤✕:ちょっと悩んだ…。時間をかけず一気に飲むと下痢するよな…と考え選ばなかった。溶解後24時間は大丈夫らしい…。
・問266
解答✕:②、⑤ 正解〇:①、⑤
Aがタモキシフェンだと分からないと解けない問題。
閉経前でホルモンレセプター陽性、リュープロレリンと併用ということから判断。
①〇:なんで間違えたんだよ…😭 タモキシフェンは乳がん細胞に対してはエストロゲン拮抗作用、子宮内膜に対してはエストロゲン刺激作用→子宮体ガンリスク上昇。
②✕:リュープロレリンの副作用としてうつ状態になることが有名。月経周期や更年期障害とかでもメンタルが乱れるし、性ホルモンとメンタルは関係している。基本的に副作用で鬱になるなら中止でしょうね…冷静に考えれば…。
→抗うつ薬を追加することもあるが、SSRIはタモキシフェンとCYP2D6と相互作用があるため不適。
③✕:ビスホスホネートではなくNSAIDsで対処。
④✕:添付文書に「ホルモン剤以外の避妊法を用いること」と記載あり。ホルモン拮抗剤を投与しているのにホルモン剤を投与するのはどう考えてもおかしい…。
⑤〇:エストロゲンの作用を抑制する薬剤なので、長期投与で骨密度が低下する恐れあり。
・問283
解答✕:⑤ 正解〇:②
これも予備校の解説をしっかり読んでみないとはっきりしたことは言えませんが…。
半減期が3.56時間と記載あり。
選択肢のグラフの1目盛りは4時間。
剥離後の1目盛りで濃度が約半分になっているものに絞られる…。
つまり、この時点で②か④が正解とわかる。
ツロブテロールテープ(ホクナリンテープ)では結晶レジボアシステムという薬物放出方法が応用されています(数年前の模試にも出題されていた覚えあり)。
ツロブテロールテープの基剤中にはツロブテロールの分子と結晶が共存しており、分子が血中に吸収されて基剤から減っても、すぐに結晶が溶解します。そのため、基剤中の分子濃度を一定に保つことができ、持続的な薬物放出が可能となります。
④の選択肢では、2段階で血中濃度が上昇しており、これはまず考えられない(基剤中に結晶が存在する場合は吸収速度が一定、無くなって分子だけになった後は吸収速度が下がる一方である)ので、②が正解…という感じでしょうか…。
焦ってしまい見当違いな⑤を選んでしまっておりました…。
・問284
解答✕:③、④ 正解〇:②、④
①✕:抗真菌薬(フルコナゾール)と特に相互作用なし。中止する必要もない。以前仕事でこのような処方も見かけた記憶があります。
②〇:食後の方がAUCやCmaxが高いらしい…。PEPTで吸収されるから食事後だと食事中のペプチドと拮抗してどちらかというと下がりそうだけど…。
③✕:✕で良かったのか…。生ワクチンでも大丈夫なのだろうか…? バルガンシクロビルを飲んでいること自体は大丈夫でも患者背景的に生ワクチンはマズいと思いこの選択肢を選んだ…。
④〇:催奇形性あり。
⑤✕:どう考えても✕。
・問303
解答✕:①、③ 正解〇:①、④
①〇:胃がんは腺がんなのでCEAやCA19-9が上昇。
②✕:グリーソンスコア✕→ボルマン分類。グリーソンスコアとは、生検により採取した前立腺がん組織の悪性度を分類して点数化したもの。
③✕:パクリタキセルに筋肉痛の副作用があったので、横紋筋融解症もあるかも…と思い選択。特に起こらないらしい…。
④〇:動脈ではなく静脈の引っ掛け…?と思いこれを選択。動脈でも血栓塞栓症は起こるらしい。
⑤✕:HER2が陰性なのでトラスツズマブは使用されない。
・問317
解答✕:③、④ 正解〇:③、⑤
①✕:かかりつけの医療機関✕→市町村〇。
②✕:医師の意見書が必要。
③〇:記述の通り。
④✕:面接は認定調査の段階で行うらしい。最後に行うのではない。
⑤〇:記述の通りだが、学識経験者以外の人もいるのかな…と思い✕としてしまった…。学識経験者以外が必用なのは治験審査委員会。
・問329
解答✕:①、④ 正解〇:①、⑤
ちょっと複雑かも…?
ネフローゼ症候群で加療中、9/6の検査値は比較的安定。
イトラコナゾールを追加して1週間後の9/13の検査値は記載がないが、腎機能は悪化しているものと思われる。
処方内容はイトラコナゾールのパルス療法+シクロスポリンの併用。
最初の1週間はイトラコナゾール400mg+シクロスポリン100mg、その後の3週間はシクロスポリン200mg。
イトラコナゾールのCYP阻害効果を考慮して最初の1週間はシクロスポリンの用量をあえて減らして服用している…。
本来ならイトラコナゾール400mg+シクロスポリン100mgを服用しているはずであったが、今回の患者は飲み忘れてしまったためかイトラコナゾールを服用せずにシクロスポリン100mgのみで服用していた…。
結果、シクロスポリンの血中濃度は目標値よりも低値になってしまい、ネフローゼ症候群の状態が悪化してしまったものと考えられる。
①〇:おそらく下がっている。処方通りイトラコナゾールと併用していれば安定していた…?
②✕:イトラコナゾールの血中濃度は特に測定する必要なし。
③✕:このまま継続。中止する必要なし。
④✕:まずはシクロスポリンの血中濃度を安定させることが重要だった…。
⑤〇:とりあえずシクロスポリンの血中濃度を上げてネフローゼ症候群の病態を安定させる。
・問342
解答✕:②、⑤ 正解〇:②、④
OTC薬剤師としての仕事を意識させた問題。
しかも漢方薬を選択させる問題。
薬局や病院だけでなく、ドラッグストアで働くことも一般的になっている…ということが実感できます。
①✕:防風通聖散✕→葛根湯や麻黄湯〇。ただし、タムスロシンを服用中(前立腺肥大)の患者なので、マオウによる尿閉に要注意。
②〇:小青竜湯は鼻炎などに使用される。
③✕:グリチルリチン含有製剤服用中なので、カンゾウを含む補中益気湯の服用は偽アルドステロン症のリスクが高く適切ではない。
④〇:⑤と迷ったがこっちが正解だった…。ファモチジン服用中なので胃に問題があることが分かる。八味地黄丸はジオウを含み、胃腸障害を起こす可能性があるため適切ではない…と思ったが…。
⑤✕:スピロノラクトンを服用中なので低カリウム血症のリスクあり。芍薬甘草湯を服用するとさらに低カリウム血症のリスクが上昇するため適切ではない。というよりも就寝中の足のつりがスピロノラクトン服用による低カリウム血症の症状である可能性もある…。④と迷ったが、重篤度がより高いこちらを選ぶべきだった…。
・問345
解答✕:① 正解〇:②
アロプリノールでスティーブンジョンソンシンドローム…。
ラクツロースシロップやBCAA製剤を服用中なので肝障害のある患者とわかる。
処方内容から患者の背景を推測し、それを念頭に置いて選択肢を吟味する必要がある。
①〇:特に浮腫などが悪化したようなことは記載がないので変更する必要はないよな…と思いこれを選択。変える必要はないけど変えてはいけないわけではない…?
→トルバプタンは他の利尿薬で効果が不十分な場合の肝硬変による体液貯留に使用。
スピロノラクトン投与では浮腫が起こっているため切り替えは妥当。
②✕:ベンズブロマロンは肝障害のある患者に禁忌であるためこの選択肢が✕。ちゃんと患者背景を把握しておけば選べたんだが…。
③〇:化学構造は異なるのでフェブキソスタットに変更可能。
④〇:目の症状に使用可能。
⑤〇:蕁麻疹に使用可能。
気になった問題
問題数がかなり多いので、簡潔に感想だけ…。
・問196、197
本来なら衛生で問われるような内容を物理の分野として出題。
実務問題は学校薬剤師としての業務について。
CO2の測定原理や方法を物理の内容として出題。
やはり、科目の壁を越えたような出題が増えている印象です。
・問210、211
第103回問339のリメイク問題。
問211は過去問を勉強していれば解けたはず。
問210はせめて①と②に絞り込めるように…。
グルクロン酸の反応部位は1位の炭素原子。
・問218、219
症状から何が起こっているかを読み取って、副作用を起こした医薬品がどこの部位にどのように作用しているかを問いかけている。
問329と同様に、日にちを示して時系列的に示している問題が多い印象…。
今後もこのような問われ方が増えそうです。
・問220、221
エンレスト(サクナトリルバルサルタン)に関する問題はまず間違えなく出題されるな…と思っていたが、このような問われ方をするとは…。
サクナトリルバルサルタンという医薬品ではなく、BNPについて…。
医薬品の作用機序を勉強するときは、その作用部位に関しても併せてしっかりと確認しておく必要があります…。
問220は①は予備校の講義などで習っているのでは…?
④はネプリライシンがBNPを分解する酵素であると知っていれば図から判断できるかな…?
他の選択肢は分からなくても仕方がない…。
問221の②は正解とすぐに解ると思うが、⑤はBNPが利尿ホルモンであるということから判断できる。
・問224、225
消去法で正解を導きましょう…。
問224…グラム陰性ということなので④黄色ブドウ球菌と⑤破傷風菌は✕(①リステリア菌もグラム陽性菌らしいが知らなくても仕方がない)。
火傷から感染ということなので食中毒菌である①リステリア菌と性感染症原因菌である③淋菌は✕。
消去法で②緑膿菌が〇。
問225…セフタジジムに感受性がないので④のセフタジジムは✕。
アモキシシリンアレルギーがあるということなのでペニシリン系の⑤ピペラシリン・タゾバクタムは✕。
3歳の小児であるためニューキノロン系の①シプロフロキサシンは✕。
消去法で②メロペネムと③アミカシンが正解。
ニューキノロン系抗生剤は基本的に小児に対して禁忌ですが、例外的にノルフロキサシンとトスフロキサシンは使用可能です。
「ニューキノロン系抗生剤は小児禁忌、not(否定)ノルフロキサシン、トスフロキサシン」と覚えておいてはいかがでしょうか…?
・問228、229
レジオネラ菌感染…。
ポンティアック熱が特徴的…数年前の模試で出題されていたのを覚えております。
ポンティアック熱は意外と予後良好なようです…。
問228…呼吸器感染症にはニューキノロン系やマクロライド系の抗生物質が使用されることが多く、今回の場合も①のレボフロキサシンが正解です。
問229も原因菌がレジオネラ菌と分かればそれほど難しくないと思います。
・問232、233
回答自体はそれほど難しくないと思いますが、何故そのような治療が必用か…?ということを問う出題。
薬理の問題でもなぜそのような副作用が起こるか…?、どこの部分に作用した結果作用が現れるか…?というような出題が多い印象。
表面的な知識だけを習得するのではなく、その背景にあるメカニズムも突き詰めて勉強しておく必要がありますね…。
・問236、237
去年の夏は暑かったからOS-1も売れたことでしょう…。
実際に薬局やドラッグストアで働いている薬剤師はOS-1に関して患者さんから質問を受ける機会も多かったと思います。
そのような背景から作られた問題なのかも…?
問237…特別用途食品のマークを選ばせる問題。
特保マークを選ぶ人も多かったのではないでしょうか…?
今回のような経口補水液は病者用食品に分類されます。
特定保健用食品と同じ特別用途食品の一種です。
問4と同様に、普段目にする何気ないことを覚えているような映像記憶能力が高い人なら迷わず解けたかも…?
・問248、249
問248…メロペネムがカルバペネム系の医薬品と分かればバルプロ酸Naとの併用はマズイ…と分かります。
カルバペネム系抗生剤の覚え方は以下のゴロで…
問249…バルプロ酸Naの作用機序に関する問題。
GABAトランスアミナーゼの阻害以外の効果なんてうろ覚えでした…。
聞いてくることが細かい…。
T型Caチャネルの遮断効果もあるようです。
第107回の問251で、メトトレキサートのアデノシンA2受容体を介した作用について問われている文章を思い出しました。
これからの薬理の勉強は、メジャーな作用機序以外もしっかり添付文書などで確認しておく必要がありますね…。
・問259
これまでとは問い方が違う問題。
処方されてきたのとは異なる医薬品の作用機序を文章で選ばせる…。
①はベドリズマブの記述…新薬です。
②はアダリムマブ。
③はウステキヌマブ
④はアザチオプリン。
⑤はプレドニゾロンなど…。
・問268、269
問268はグラフを見れば解ける問題…。
ただし、文章とグラフで2ページ分も使っており、焦っている状況では冷静に判断できないかも…。
落ち着けば簡単な問題です。
問269は⑤の選択肢に少し迷うかも…。
意識が回復すれば血糖値は十分上がっているだろうから追加で糖質を摂取させる必要はないだろう…と考えてこの選択肢は選ばなかったのですが、実際は「仰臥位で」の部分が✕のようです…。
・問280
またしてもバルプロ酸Naの問題…。
今年の出題者達はバルプロ酸Naが好きなのでしょうか…?
計算すれば②か③に絞り込めますが、分2か分1か…?
徐放製剤でも分2のものがあるので悩みました(感で分1を選んで正解)。
・問286、287
文章を読めば解ける問題ではありますが、焦っている状況ではわりとミスリードしてしまうかも…?
この問題に限りませんが、症例問題はしっかりとリード文を読まないと解けないように作られております…。
問286…不整脈あり、ワーファリン服用→心房細動。
物忘れなどの認知機能の低下、歩行障害などはないのでレビー小体型認知症ではなさそう…また、梗塞巣所見がないとのことなので血管性認知症でも無さそう…。
海馬の萎縮があるとのことなのでアルツハイマー型認知症と判断。
問287…ワーファリン服用中なのでビタミンK製剤の①メナテトレノンは✕。
男性なので②ラロキシフェン塩酸塩は✕。
④テリパラチドは投与が24か月までと決まっているため(既にテリパラチドで治療歴があることがリード文に記載されている)✕。
・問296、297
回答するためにリード文を読む必要があります。
問297…②レパグリニドと④ボグリボースを食後に服用するということはまずありえないので✕。
低血糖を普段起こしているような患者に③グリメピリドが追加されるということもまずないので✕。
さらに、BMIに着目すると30.1と肥満体形です。
SGLT2阻害剤①エンパグリフロジンとGLP-1作動薬⑤セマグルチドは体重を減少させる効果もある医薬品なので、そこからも①と⑤が正解であるということに対して確信が持てることでしょう。
・問298、299
学校薬剤師を意識させる問題ですね…。
先日、僕が学校薬剤師で小学校を訪れた際に、エピペンの使用方法についての説明会をお願いされそうになりました(保留になりましたが…)。
実際に食物アレルギーでエピペンを学校に持ってくる生徒もいます。
養護教諭の先生などから何か質問された際には答えられるようにしておけ…ということですね…。
ところで、食物アレルギーと言えば、アレルゲンとして食品表示基準で定められる品目はこれまで、えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生の7品目でしたが、最近それに追加してクルミが追加されて全部で8品目になりました。
来年度以降の薬剤師国家試験に出題されるかも…?
・問310、311
問310…研修医に提案する薬剤を選ばせる問題…。
普通の医師ではなく研修医というところがリアル…???
入眠障害があるので①エスゾピクロンと⑤ラメルテオンを選べば正解。
問311…病院薬剤師が医療保険の相談を受けることがあるのだろうか…?
実際にスムーズに答えられるのだろうか…?
この問題では患者が75歳以上なので後期高齢者医療制度に加入しております。
・問320、321
濫用性のおそれのある医薬品の販売についての問題。
第108回問312、313の改変ですね…。
僕が以前作成したオリジナル問題でも、中高生に販売する際は氏名や年齢を確認する必要がある旨について出題しておりました。
ちょっとだけヤマが当たった👍
・問326
第104回問341の改変問題…というよりほとんど同じ…。
内容も特に難しくはない…。
・問330
単位が間違っていたということで解なしになった問題。
単位が正しければ②と⑤が正解?
①✕:定常状態1.6mEq/mLの2.25倍(3.6mEq/mL)までしか上がっていないので、半分もは吸収されていないのではないでしょうか?
半分吸収されていたら…常用量800mgの25倍(200mg×100T)の半分…12.5倍…1.6mEq/mLの12.5倍まで上がる…???
詳しい解説は予備校の解説待ち…。
②〇:リチウムに活性炭は無効ですね。
③✕:CHDを中止した第2病日12:00時点でQTcが0.96なので、正常化していない。
④✕:グラフより非線形ではなく線形であることが分かります。線形2コンパートメントモデル。
→線形でした…。
左の目盛りが対数だと勝手に思い込んでしまっていた…。
普通の目盛りなので曲線状に降下…1次速度で減少しています。
⑤〇:血清リチウム濃度は第1病日22:00時点で2.42mEq/mL、第2病日12:00時点で0.96mEq/mL…つまり、14時間で1.46mEq/mL(2.42-0.96)→1時間当たり約0.1mEq/mL低下している。
第2病日12:00(CHD終了後)は全身クリアランスが半分になると記載があるので、それ以降の血中濃度低下速度は1時間当たり0.1÷2≒0.05mEq/mL。
第2病日12:00から第3病日12:00…つまり24時間で0.05×24=1.2mEq低下している計算になるので、第3病日12:00時点より前の時点で0になっている…?
→上の考えは間違っていました…。
左の目盛りを勝手に対数グラフだと思い込んでいたためです…。
正しくは…血清リチウム濃度が第1病日16:00に3.6mEq/Lから第2病日12:00に0.96mEq/Lまで低下する点に着目すれば解けます。
約20時間で血清リチウム濃度が1/4まで低下しています。
血清リチウム濃度は1次速度で低下していくので、半減期(t1/2)は約10時間であることが分かります。
このt1/2はCDH終了前の時間です。
CDH終了後にはCLtotが1/2に低下すると記載がありますので、CDH終了後のt1/2は約20時間となります。
第2病日12:00の血清リチウム濃度が0.96mEq/Lであり、そこから20時間後の第3病日8:00には血清リチウム濃度が0.48mEq/Lまで低下していることが予測されます。
この時点で血清リチウム濃度が0.5mEq/Lを下回っておりますので、第3病日12:00時点でももちろん0.5mEq/L未満となっております。
・問339
検査値を読み取って判断する問題…。
問334や他にもいくつかあったと思いますが、第109回では血清カリウム値がポイントとなる問題が多いような気がします…。
特別に難しい問題というわけではありませんが…。
#薬学ゴロが役に立った?問題
・問231
ジクロロメタンとジクロロプロパンは胆管がんの原因となります。
覚え方「プロもめっちゃ簡単洗浄丸」
・問272、273
フルボキサミンはCYP1A2を阻害、チザニジンはCYP1A2の基質。
それぞれ「フル〇ンアニキ、フルボ〇キ」、「家におってイクラぷちぷち」というゴロが使えます。
・問290、291
慢性心不全に対するfantastic4と呼ばれる処方内容。
「アニキ、ブスにムラムラ」というゴロがあります。
・問305
体重が増加する医薬品の覚え方「バカみたいに黒いグリンピース、食え、オラ!!」
・問325
ヒゲナミンを含む生薬はドーピング禁止物質に含まれます。
「髭生えた最後の天才武士超強い」と覚えておきましょう。
・問344
塩基性で吸収の落ちる医薬品の覚え方「ゲイに縁あった知人」
全体的な感想
物理
・計算問題は簡単。
・衛生色の強い問題が最初に出題されていた。
・問200はどちらかというと薬剤っぽい。
・実務の内容は使用法などに悩むかもしれないけど、全体的には比較的易しめかな…という印象です。
化学
・問207は理論問題で出題されても不思議ではない…多少難しめかな…。
・生薬を写真で判断させる問題の出題は数年前にも出ていた記憶。
・過去問を勉強していれば実務はだいたい解けるはず。
・全体的な難易度は例年並みかな…という印象です。
生物
・B型肝炎について詳しく問われていた。
・問219は薬理っぽい問題。
・エンレスト(サクナトリル バルサルタン)の問題は出題方式が予想外。
・全体的には若干難しめかな…という印象です。
衛生
・数年前の模試の問題を勉強していればレジオネラ菌だと判断できる問題あり。
・問232、233は実際に服薬指導する際のことを意識させるような問題。
・フレイルや褥瘡など、高齢者に対する医療を意識させるような問題が出題されやすい印象。
・難易度は例年並みかな…という印象です。
薬理
・問われ方の傾向が少し変わった印象。医薬品を直接選ばせるのではなく、その医薬品の作用機序で選ばせるという…。
・近年では毎年出題されているが、最初の問題で間違えると次の問題でも間違えるようになっている出題もある。
・過去問を勉強していれば解ける問題も多い。
・多少問われ方は変わったかもしれないけど難易度的には例年並みかな…という印象です。
薬剤
・図やグラフなどの出題が多い。
・計算問題は既出問題で対処可能。
・リード文が長くても本当に重要な部分は一部であることが多い。
・個人的には多少難しめかな…と思いました。
病態・薬物治療
・統計の問題は出題されなかった。
・リード文や検査値をしっかり読まないと解けない問題が多い。
・ファンタスティック4の出題あり。
・難易度的には例年並み…という印象です。
法規
・介護や地域包括ケアシステムなど、高齢社会を意識した問題が多い印象。
・OTCの問題も数題出題あり。
・薬局薬剤師やOTC薬剤師の業務を意識した問題が多い印象。
・全体的には例年並みの難易度だったと思います。
実務
・過去問を勉強していれば解ける問題も多い。
・計算問題は特別難しいわけではないけど最後の方で疲れているときに出くわすとしんどいかも…。
・実践問題もやたらと文章の長い問題が多かった。
・難易度は例年並みだったと思います。
第109回薬剤師国家試験の全体的な感想
・全体的な難易度は例年並み。
→今年がそれほど難しくなかったという意味ではなく、基本的に毎年難しいので今年も例年通り難しかった…ということです。
・問い方が例年とは少し変わっている。
→だから難しく感じる…。ただし、しっかり理解していれば表現法や問い方を変えられても問題なく対処可能なはず。
・科目に囚われない出題が多い。
→今年は特に多かった印象…。思考を柔軟に…。
・過去問からの出題も少なくない。
→やはり過去問ベースの勉強は有効。
・グラフや図、化学式を用いた問題が多い。
→冷静に読み取って考えれば解ける問題も多い。ただし、実際の試験で焦っている状況では難しいかもしれないので、冷静に解けるよう訓練が必用。
・リード文がやたらと長いが、重要な情報は一部であることが多い。
→問題を先に読んで、そのあとにリード文から必要な情報を探す…というやり方もアリかも…。ただし、慣れていないと失敗する可能性が大きい…。
・時事的な問題も多かった印象。
→ニュースや新聞で話題になった医療系の出来事を軽く調べておく習慣をつけておくと役に立つかも…?
・個人的には梅毒が出題されるかな…と思っていたが外れた…。
→代わりにHIVの出題が数問…。HIVに関しても感染者が増加傾向な模様。
・OTCに関する出題が多かった。
→薬局、病院だけでなく、ドラッグストアに勤務する薬剤師が増えているという背景やセルフメディケーション推進に関する意向は国家試験にも反映されている。これからもOTCに関する問題は増えていくかも…?
・薬理が細かい。
→薬理の勉強は参考書や過去問だけではなく、添付文書や指導せんなどにも目を通しておくことをお勧めします。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
この記事で記載している簡単な解説は間違っているかもしれませんので、参考程度に…。
これから勉強する人は予備校の解答解説を待ちましょう…。
以上