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人間が人間を作り上げていく

長女、中学3年生。
多くの受験生と同様に彼女も塾に通っている。
ある日、いつもより10分少々早く家を出て塾へ向かった。
ん? (今頃)やる気出てきたの?
いやいや、それはない…ない…

…なかった。
パンをこよなく愛す彼女は、お気に入りの焼き立てパンの店に立ち寄りパンを購入していたのだ。
しかもパン店のカフェスペースでそれを食し、(ギリギリの時間に)塾へ行ったのだった。
私には内緒で、だ。
もちろん、私に全てを知られていることも、今こうやって原稿に書かれていることも本人は露知らず。

成長してる。
好きなパンをトレーに乗せレジへ進み、店内で食べると意思表示し支払いを済ませ、席につき食べる。
トレーを片付けることも忘れずに完了させたと信じている。
これら一連の行動をインプットされた情報を元に自分の意思で行ったと言うわけだ。

成長してる。

成長する姿を見ると私は時々、怖くなる。
人間が出来上がっていく過程に私は畏怖する。
正確には、成長していくことにではない、
それに自分が大きく影響していることに怖気付いているのだ。

なぜなら
私は、ちっぽけな人間だ。
イライラして怒鳴り散らしたり、不安に押しつぶされそうになったり、失敗を繰り返したり、
とにかく、ちっぽけだ。
そんな人間が一個の人間を作り上げているのだから
空恐ろしい。

自分の行動を見返ってみた。
反省もしてみた。
そして、
いい人間になろうと心に決めた。
「成長」の影響にふさわしい人に。
私自身もしっかり成長してることに嬉しくなり
ほくそ笑んだ。

実は
今私が原稿を書いているのは長女お気に入りのパン店のカフェだ。
どの席に座ったのだろう、
何を想っていたのか、
パンはどれを選んだのだろうか。
店内をぼんやり眺めながら思いを巡らせた。

何が影響し、変化し、どのように育っていくのか。
私にはまだわからない。
ただ、思う心、つまり「愛」が
成長に作用しているように感じる。

人間は「心」によって作り上げられるのではないだろうか。

by Degu

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