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【新刊】『tie.短編集①』宣伝・解説
初めまして、百合界隈でそのうち有名になるであろうかも知れなくもないがならない確率とかけて考えてみても結果は変わらない菓子蔵(かしくら)かるです。
今回のnoteでは、私が今年の2月に世に送り出す漫画『tie.短編集①』の宣伝と、解説(ネタバレあり)をしていきたいきます。
宣伝
今回のこの短編集は”詩集”をイメージしました。
文字で伝えることは、どの作品でも意識しています。
今回はそれに加え、絵で”詩集”特有の「もわっと、しかし深く伝わる感じ」を表現しました。
人の感情の、声には出せないところや、音にならない思い、伝わらない表情を、今回の短編集では意識して描きました。
【#COMITIA143 お品書き・新刊サンプル(1/2)】
— 菓子蔵かる/コミティアき08a (@KaruMe40689901) February 12, 2023
「出会って、別れて
それでも想いはここに...」
詩集のような、美しく儚い3編収録の短編集です。#創作百合
¥1000/116p/A5/き08a pic.twitter.com/x7rvrNsrlH
解説
ここからは多少ネタバレが入ってきます。
でも、先ほども言った通り、この作品で感じて欲しいことは、ストーリーより雰囲気なので、ネタバレを読んだ後でも、また別のベクトルで本編を楽しめると思います。
!!ネタバレありです!!
ではスタート!
『エーデルワイス』
あとがきでもお話してる、短編集の”詩集”らしさは、この物語に多くあると思います。
真面目が取り柄の歌手と、キャバレーの作曲家の短くも深い愛の物語
この物語の一番のポイントは、恋を捨て、夢をとるという点です。
作中で、歌手であるイヴは、素晴らしい歌声を見せますが、それは作曲家のナギ以外誰にも認められず、途方に暮れます。
2人は手を組み、高めあうことに。その関係は、次第に友人より深いものとなっていきます…
しかしイヴはナギの足を引っ張ってしまっていたのです。
ナギ1人だったら十分に認められる曲が作れるから。
それに気づいて、イヴは凪から離れることにします。
愛とは、自分勝手に自分を捨てられる、不思議なもの。
自分の利益を自分勝手に踏み躙っていいとすれば。
自分の利益を、考えないで行動できるとしたら。
それはもう、愛でしょう。
叶わない恋も、相手を想って傷つけてしまっても、愛ならいいんです。
そう思いませんか?
その後、2人はお互いの存在は胸の中にあると信じて、それぞれで生きていきます。
それでも、作曲家と歌手、ナギとイヴは、最終的に同じところに行くと思います。
それは、希望でも運命でもない。
2人が望んだことだから当たり前です。
イヴの喉が枯れて、ナギの右腕が疲れたら、きっと同じ屋根のした、失った時間を取り戻せる。2人がそうしたければ、そうなるんです。
『スタアチス』
賢い大人たちは ついに戦争をなくすことに成功した
みんな それがいいことみたいに
まるで それがもう終わったことのように話す
物語の軸となる文章を漫画の一番最初に持ってきています。
そう、これは戦争がなくなった世界の物語です。
戦場カメラマンだった凪は、職をなくし、不本意にもスタジオでカメラ専門家として、アーティストモデルのイヴを撮影しています。
本当は戦場が恋しい...?
恋しいという表現は違いますね。
なぜなら、彼女は戦場で自国の兵士に乱暴をされた過去があるのです。
戦場カメラマンになった時点で、死を覚悟していたし、この事件も理不尽ではありませんでした。
戦場は、魂の世界。
凪は完全に、魂をそこに置いてきてしまっていました。
そんな凪がアーティストモデルのイヴに恋をしたのはなぜなのでしょう?
この真実は、物語の中では明確にされていませんが、私の中でははっきりしています。
凪は、カメラの代わりになったんです。
写真で、外の世界に戦場を伝えるのが、戦場カメラマン。
しかし戦場はなくなり、伝えること自体無意味なのです。
加えて、技術が進歩し3Dが主流化した未来のお話なので、写真自体使われなくなっています。
しかし、凪の魂は戦場にあり、今も叫んでいます。イヴはそれを受け取ったんです。
凪はカメラの代わりになり、イヴに戦場の残酷さを伝えたのです。
そして、それを受け入れてくれたからこそ、凪はイヴを好きになりました。
戦場はそれを知る者がいる限り、なくならない。
戦争がなくても、その過去は忘れてはいけません。
戦場がなくなったからといって、喜ぶだけでは、その人たちが報われることはありません。
そういうメッセージを込めてこの作品を描きました。
今まで書いてきた作品の中で、一番素直で、優しい2人になったんじゃないかなと思います。
『リナリア』
制服のデザインがとても好評だったこの作品、主人公が悪漢に刺されて死んでしまうところから始まります。
死んだ母親と会話をするなかで、自分の人生に終わりを付ける物語です。
この物語は母と娘のストーリーから展開しています。
もともと親子愛を描きたくて描き始めたんです。
「命より大切なものはない」と大人は言いますが、私はそんなことないと思うのです。
上手いことは言えませんが、命が一番大切って決めたら、私の命は何のためにあるのか迷子じゃないですか。
命より大切なものはあります。
それは形としてあるときもあれば、信念のように形ない時もあります。
それを守るためなら、死んだっていいと思える何か。
それが、命より大切なものです。
リナリアで言えば、娘であって、親友です。
私の魂はふたつある 一つは自分の中に
もうひとつは 外にある
それは誰かへ託すため
大切な命。
でも、本当に大切なものを忘れちゃいけないよ。
生きるとは、命より大切なものを見つけることだと思います。
そのためなら死んでもいいと思える何かを、見つけるための旅だと思います。
そんなメッセージを込めました。
最後に
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
大晦日元旦も休まず描き、4ヶ月で116ページ描くという、暴挙の末書き上げました。
どうぞお楽しみください。
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