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【超ss】tie.eyes story-夏日

今回のお話は『tie.eyes story』の外伝です。
本編はこちら⬇️雨の香りのする短編です。


8月も始まり、雨の気配はすっかりどこかへ行ってしまった。

連日晴れ。ニュースでは国の中で一番暑いところの話をしている。

恋人のナギが隣の部屋にいるが、買い出しはおろか、足音ひとつ聞こえない。
私の方もそれは同じで、何だか彼女が静かに過ごしてるのにこっちがバタバタするのも...と、相手の心中をわかったように接していた。

3か月前、ナギの仕事のアシスタントである宇宙人の女の子が、低俗な連中からひどい仕打ちを受け、殺された。
宇宙人への迫害の延長ではあったが、体の到る部分を分断、入念に洗浄され、データを取られていた。
それはまさに子供がカエルを解剖するかのような様だったらしい。

「ナギ...ご飯作るけど、たべる」
「うん、食べるよありがとう。」

こうして表面上なんも無いふうに取り繕ってるのが逆に痛々しいったらない。

正直ナギを一筋に見てきた私が、その宇宙人がただのアシスタントでは無いことに気づかないはずがない。
最終的には女同士だということを主張しようとしてたのか、2人のガードはガバガバ。

スケジュールにも私と同じ量、彼女のスケジュールがあったし。部屋には私と同じ量の彼女の私物が隠してあった。


なんにせよ、食わねば私たちも死んでしまう。この暑さなら尚更。
食品の在庫を思い出しながらリビングに到着。
クーラーをつけていないリビングは唸る暑さで、私たちの生活の基盤とはなっていたなかった。

「華菜、いつもありがとう」
「せっかく2人で住んでるんだから、持ちつ持たれつでしょ」

後ろにすり寄ってきたナギの頬に軽くキスをすると、ちょっと冷たくて。私の魂を吸い取って行かれたような気がした。

『tie.eyes story』外伝


ご無沙汰しております。

今回は本編が出来上がってるものにサイドストーリーをつけさせて頂きました。

イヴが殺されたことが紙面の片隅で見つかり、しかし、凪の周りは当たり前のように日常がつづくお話です。

本作を進めてくうちに色々な設定が浮かび上がってきましたので忘れないうちに形にしたいなと思っております。

では、良い日曜日をお過ごしください。

菓子蔵かる

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