20.ぺトリコールとマールボロ
「俺は先に地獄へ行くから、お前も悪いことして地獄に来いよ。待ってるから。」
地獄のような絵が描けたら、ふと
彼の言葉を思い出した。
彼はたぶん、悪い事をした人だった。
孤独を愛しつつも、とても寂しがり屋だった。
彼は傘が嫌いだった。
青く澄み渡る空が好きだった。
ぎこちない沖縄訛りは
魅力をより一層引き立たせた。
本心が見えない人だった。
体温の低い言葉を交わす日々だった。
だからわたしの想いを、彼のピアス穴に詰め込んだ。
ぺトリコールとマールボロ
雨曝しの愛煙者。
もう二度と、会うことは無いでしょう。