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12字40行の息

 星の数ほどある言葉の中に、何度寝ても思い出せる言葉がある。メモを取りたくなる言葉がある。そんな言葉だけを残して書いたコラムは、わたしの真実だった。今思えばわたしは絵を描くよりも、コラムを書いていた時の方が本気だったようにも思える。

 言葉は絵よりも、的確に相手に伝わってしまう。印刷された言葉の責任は、クリック一つで簡単に消えるSNSの投稿よりはるかに重い。人は日々様々なものに影響を受け、考え方もどんどん変わって行くだろう。だがその日に世に出た言葉が、その日それを読んだ人が受け取る筆者の「全て」だ。印刷された言葉に対し、考えが変わったからと数日後に「訂正」なんて出せないし、次また自分のコラムを読んでくれるとも限らない。まさに一期一会。その日の自分は、相手への全てなのだ。だからこそ「あなたのコラム好き=あなたの事好き」なんて解釈して受け止められるくらい言葉にも自分にも、自信と責任を持ちたい。

 そんな意識で書いていた、12字40行の480文字で綴られた新聞のコラムは、書くことをやめた今も未だ色褪せることはない。今も「筆者」と共に、呼吸を繰り返している。

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「12文字、40行」
週6日掲載される、社員が書くコラムの制限文字数。
記者以外の社員が唯一、文章で表現することを許される場所。

わたしはこの制限が
好きで、嫌いで、好きだった。

言いたいこと、書きたいこと、無くはないが
言葉にすることが難しかった、けれど

文字を綴ること、多分
好きで、苦手で、結局好きなんだと思う。

言いたいことがなくなるまで、あの日々のように
12字40行の制限をかけて、自由に更新していくつもり。

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