書いて良かった。
あるお店での話。お客さんの会話から、わたしの話が出たらしい。何かやらかしたかなと思ったら、前に書いたコラムの話だった。
「寿命を渡したいほど、心揺さぶられる言葉を持つ人に出会った」というコラムを書いた。その人は佐賀出身で東京で活躍するCMプロデューサー。佐賀のクリエイターを紹介する企画の取材を、帰省のタイミングでお願いしていた。当日は取材に同行し、動画を撮影しながら人生や思いを傍で聞いた。
そしたら、その人の言葉が面白いほど、わたしの中にするすると入ってくるもんだから、それに驚いて心臓の高鳴りからくる手の震えを、カメラがブレないよう抑える事に必死だった。半世紀を生きてきたその人と、四半世紀ちょいの自分。こんな貴重な言葉を求めてる人がたくさん居る。ならば今すぐに、この繋がった地面からわたしの寿命吸い取ってくれんかな、と思いながら。結局寿命は受け取ってもらえず。当たり前だけど。
そんなことを書いたコラムを「ラブレターを貰ったようだった」と受け止めてくださり、わたしの知らないところで色々な人に話してくださるなんて。胸張って言える。「書いて良かった。」