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【日記】オタク、人生初のSkebに挑戦。の巻




今日の天気:晴れ時々曇り
すれ違ったわんこ:トイプードル





 推し作品推しキャラクターの新規グッズが途絶えて早20年が経過した。

 20年である。

 20年前に子供が誕生したらちょうど成人式を迎えたか迎えるレベルの時間が経った。

 絶え間ない変化に微笑む家族を横に、私の推しキャラクターには供給が無く思い出の中で生き続けている。

 耐えられなかった。

 他にも色々と理由はあったがとにかく言えるのは「耐えられなかった」という事だけ。

 そして悪魔が囁く。


 「Skebで依頼して許可が出ればグッズ作っちゃえよ」と――。



 
 Skebというのはオタクにとって理想のサービスだ。
 大好きな絵師さんを札束で殴れば理想のイラストを描いてくれる。しかも場合によっては高そうな額縁に入れてグッズ化してくれる。
 絵師さん側も依頼料を自分で決めることができるし、万が一のトラブルに備えてSkeb運営が厳しい規則を設けてくれるおかげで双方安心してやり取りすることが出来るのである。最高かよ。

 そんなこんなでストレスとフラストレーションが貯まりまくった黒田ちゃんは最推し作品の最推しCPグッズを作成することにした。もちろん二次創作ガイドラインに則って。


 が。


 20年も同じカップリングを好きで居続けるととある問題が生じる。
 時間が経ちすぎて「性癖が歪みまくっている問題」だ。

 王道系のネタは全て食い尽くしたし、この世にある性癖ジェネレーター的なやつで出てくる単語やシチュは全て網羅してしまっていた。ファンタジーパロディも、学パロも、ここでは書けないようなギリギリなネタも。全部、脳の中に作品として記録されてしまっている。
 何よりヤバいのが既存の王道系ネタを自分の都合のいいように改変してしまうのだ。「このネタ気に入ってるけどもうやったんだよね。せや自分の好きな性癖入れて再考したろ!」である。このせいで20年間好きでいられたのもあるが、このせいで現在非常に困っているのも正しい。

 黒田ちゃんはその中でも特に気に入ってるのがざっくり言えば「学パロ」である。一見普通そうだがとてもとても広義に解釈すればの話なので深堀しないでください。

 とにかくこの王道パロの皮を被ったどす黒いオーラを放つ「学パロ」をどうしても絵師さんに依頼したかったのだが、このド性癖を他人に話さなきゃいけないのが非常につらい。でも話さなければ伝わらないし、頭の中を覗ける装置があったとしても余計に恥をかくどころか気持ち悪さに絵師さんにトラウマを植え付けかねない。まさに特急呪物。

 言葉にしていく過程で「私はこんな二人が好きだったんだな」と気付く半面、なまじ中途半端に知名度がある作品だから「公式にない展開が好きなんて絶対引かれる」という恐怖。解釈違いという理由で殺されないだろうか? 加えて依頼用のメッセージの文字数はまだ完成していないにも関わらず500文字オーバー。完全にオタクの悪いところ出てる。しかも相手にこの長くて頭のおかしい文章を読ませている上に性癖暴露している。参考がてら他の方のリクエストを覗かせていただくと丁寧な文書と参考URL添付、そして熱すぎず冷たすぎない程良いメッセージ。対してこちらのリクエストを見直したが、気持ち悪すぎて1行目から全部消した。知らない相手に送っていい内容ではない。20年という長い時間をかけて
生み出されたのは熟成されすぎて香りが強烈なナニカ。歪んだ性癖を普遍化する技術がこの世に存在するのか? そう思いChatGPTにメッセージの感想を聞いても『とても好きなことが伝わってきます!』と遠回しに熱量のキモさを指摘され余計に凹んだ。

 相手への申し訳なさとこれから恥をかくという抵抗感と推しのイラストが見られる高揚感でテンションはバグり散らかしていた私は、推敲に推敲に推敲に推敲に推敲を重ね、なんとかメッセージが完成。これで850文字。1人で広辞苑でも作る気か。存在しない展開と推しが着たことのない衣装だけでこんなにも語れるんなら現実であんなに他人と喋れないのは何なんだろうと自分の人生をつい振り返ってしまいそうになるがそんな事はどうでもよく私は震える手でリクエストを送信した。あとお金も。

 承認された。

 あのクソ長いオタクの怪文章を読んで下さっただけでなく了承してもらえた。この時の天にも昇るような気持ちと相手にアレを読ませた上に形にしてほしいとお願いしてしまった罪悪感は凄まじく、1時間に1回ハイと欝が交互にやって来た。なぜか読み込んだはずのガイドラインを5回は読み返した。
 同時に「この性癖が仕事としてでも受け入れてもらえるならもっと推しCPの小説量産してもいいんじゃね?」という考えに至りなぜか作品が完成しかけている。何故?

 とにかく完成はまだまだ先だがなんとか依頼を達成した。20年越しの初の推しのグッズ、しかも同人でさえ出たことが無い推しCPのグッズ。楽しみという感情よりも緊張しかない。20年間煮詰めに煮詰められたオタクの愛憎は「初めてのグッズ化」を前にどうなってしまうのだろうか。

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黒髪ダサ子
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