【日記】闇バイト、あんまり他人事じゃなかった
10月28日 曇りと雨
今日すれ違ったわんこ:プードル
個人情報を特定されないようある程度フェイクを混ぜています。
今、世界を駆ける大谷翔平と同じくらい世間を騒がせているのが闇バイト。確かに無法地帯インターネッツで「高額! 短期! 即入金!」を謳ったツイートをよく見かける。実際にギリギリ手前までやり取りをしてみた人なんかもいて、あれに釣られるとああなるのか~などと呑気なことを考えていた。
先日までは。
闇バイトの特徴の一つとして、高齢者がターゲットになっている。だから年齢層が高い地域に足を運び、襲いやすそうな家(特に独り暮らしや夫婦どちらかが家を空けがちなところらしい)を探る。
黒田ちゃん、の祖父母が住む地域は確かに比較的年齢層が高い。だが他の詐欺にもよく標的にされているため、警察がマークしているし、よく黒田ちゃんが御邪魔した時に「こういう詐欺が流行っているのでご注意ください」という注意喚起の電話がかかってきていた。お疲れ様です。
とにかく、そんなに警察が目を光らせているなら大丈夫。でも最近こういうことがあるから油断はしないでね、と口酸っぱく祖父母に伝えていた数日後だった。
祖父母の家に一通の電話が入った。
祖父母が仲良くしているご近所さんだった。
このご近所さんは祖父母とかなり長く親交を深めており、普段からよく祖父母と話す。し、何かあれば祖父母に電話を入れてくれる。旦那さんが少し前に亡くなってしまったので、良いお喋り相手だと冗談交じりに本人が語っていた。
ご近所さんは以前「年金の支払額が少ないことが判明したのですぐ振り込んで欲しい」という電話が掛かってきた事があり、その際もすぐ祖父母に連絡を入れた。その時ちょうど私が居たので、掛かってきた電話番号を調べたり、祖父母が実際に最寄りの年金事務所に電話して確認を取って、しっかり詐欺だと判明した。だから今回も違和感を感じてすぐに一報入れてくれたのだろう。
ご近所さんが遭遇した手口だが、まず男性一人がインターホンを鳴らす。ご近所さんが出ると「●●(市の名前)市役所の者です。最近、悪質な事件が起こっているので、防犯のため一軒一軒点検をして回っている」と頼まれる。
ご近所さんは「何をするんですか?」と尋ねると、
・窓ガラスの強度をチェック
・家の鍵が壊れていないか確認
・必要があればこちらで無償で交換する
と回答が返って来たらしい。ここまでの流れを祖父母から聞いた黒田ちゃんは背筋が冷えた。
今回幸いだったのは前に祖父母とご近所さん、の共通のご友人が(田舎特有の謎に広いネットワーク)似たような手口に遭遇していたのを、ご近所さんが思い出したことだった。このご友人さんは少し前に「市役所の者」を名乗る謎の人物が家に訪れ、水道が~と謎の理由で調べようと家に上がろうとしてきたらしい。たまたまいたお子さんが全力で止めて、こと無き事を得た事例があった。
その話を聞いてから市役所の者を名乗る人物を全て警戒するようになったらしく、今回も黒田ちゃんの祖父母に一旦確認するため、「今は息子たちが泊りに来て大変なので保留でいいですか?」と返したらしい。そして男性は了承してそのまま帰った。
もうここまで書いて分かる人は分かると思うが、ここまでの流れは完全に泥棒が家に侵入するための計画の段取りだ。家に入った後は、どれだけ防犯意識があるか・脱出ルートを探るために玄関扉や窓ガラスがどれだけ防犯対策されているかチェックされる。鍵の交換なんてあっても犯罪グループの仲間が都合の良いように鍵を作って、その合鍵をこっそり犯人に渡して侵入されて終わりだ。もしくは自分はこの人の子供だと偽って鍵を交換し、合鍵を作るようこっそり業者に依頼して入手。多少の出費は痛いが、即日6桁万円が入る、と思い込んでいる人間にはどうにも感じないのだろう。
あとは家にあるものや会話の中でで何人暮らしなのか・子供や孫が帰って来たりするのか・持病はあるか、などを聞き出すのだろう。そうして理想的な犯行時刻を割り出すのだろうか。
というか、市役所が家を一つ一つ回ってしかも無償で交換なんて絶対にあり得ない。しかも全国的にやってなきゃおかしいしニュースで一切放送されてない。
祖父母は念のため市役所の方に確認の電話を入れたが、「絶対にないので出ないでください」とお墨付き。警察の方にも共有されるらしく一安心。
なわけないだろ!!!!
私は一連の出来事を語り終えた祖父母に「最近、ペンキの匂いがしないか確認している。みたいな変な訪問なかった?」と聞いた。しかし祖父母は否定。でも祖母が思い出したように「そういえば●●さん(祖母の超親しいお友達、ド近所)の家がそんなのあったって電話で言ってた気がするわ」と教えてくれる。祖父は覚えていないらしく言ったか言って無いかの議論を横に、この地域が狙われていることを踏まえ、下見する人たちが犯罪しやすい・しやすくないの判断基準がどこなのかを考えていた。
最も有力な仮説は、インターホンにカメラが付いているかどうか、だと思う。祖父母の家にはカメラ付きインターホンが備えられている。カメラは録画付きで、履歴にはしっかり残る。他にも玄関に動作検知付きカメラがあり、家の前を通った人物を全て証拠に残している。この動作検知付きカメラ、加えて良いと思ったのはカメラの映像がアプリで共有できることだ。だから万が一カメラが破壊されてもアプリに履歴がしっかり残るし、削除される心配がない。
とにかく、来訪者の顔は残る。それを避ける為に、カメラが付いていないインターホンを狙い、かつなるべく独り身の家を狙っている…のかもしれない。本当にただの仮説だが、犯人もこちらと同じ知識がある、と考えるとそんなリスクはきっと避けて通ると思う。
怖くなった私は祖父母の家を出た後に情報提供しようと考え、色々調べた。
そしたらご丁寧に警視庁が案内出してた。
匿名通報ダイヤルに「こういう事案があったので闇バイトかもしれません。この辺のパトロールを強化してください。一応、市役所の方からも連絡が入っているかと思います」と投稿。電話や直接相談は陰キャなので出来ませんでした。あと「相談・対応を希望される方は」とあったので、緊急性が高い人の邪魔しちゃいけないなと思ったので…でもちゃんと相談した方が良かったのかな…。
何はともあれ、どこに潜んで、いつ被害者になるか分からない状況。市役所を筆頭に国の機関や大きい会社、謎のサービスを名乗る人物が現れて甘い言葉に惑わされず、少しでも不安になったらまずは相談。それこそ祖父母のケースのようにご近所さんや、警察でも市役所でも、何ならALSOKみたいなセキュリティ会社でもいい。今回の件で信頼できる相手・相談先がいるかいないかで未来がかなり大きく変わるとめちゃ思った。おわり。
こんなところ読む暇があるなら今すぐヘルシングを読んで下さい。