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どうでもいい話

どうでもいい事が書きたい。

否、「どうでもいい事でもいいから書きたい」だろうか。

毎日焦っている。書かなければ、書かなければ、と強迫観念に襲われている。
それなのに、反比例するように頭も手も働かない。
モチベーションがほぼゼロである。
書かなければならない。
「書く」こと自体に嫌気がさしてる訳では無い。
でも、書けない。
メモを開いても、下書きのページを開いても、書けない。
書きたいことはあるし、だいたいの内容も固まっている。
でも、書けない。
手が動かない。
言葉が降りてこない。

なんで?
どうして?

焦っている。
自分自身に憤っている。
苛立っている。

僕に残されているのは書くことだけなのに。
僕から書くことを奪ったらもう何も残っていないのに。

何をしているんだろう。
こんなことをしている間にも、書きたいと思っていることについての記憶が薄れていくというのに。
人間は忘れていくことには抗えない。
こんな時に限って、何故かどうでもいい事ばかり思い出すのに、肝心なことが思い出せなくなる。

彼の言葉も。
あの日の景色も。
口ずさんだ曲も。
彼女の表情も。

忘れたくない、と思うほど、
忘れていく。

怖い。怖い。怖い。

忘れたくないから、思い出せなくなる前に書かなければならない。

相変わらず、
手は動かない。
言葉は降ってこない。

苛立っている。

死んでしまえ、と自分自身を罵っている。

眠りたいのに、
寝ている暇などない、と自分自身に殴られている。

高麗人参+L-カルニチン+D-リボース+L-アルギニン

⚫原材料名:…… (略) 高麗人参根エキス (略)……

栄養成分表示(100ml当り)

カフェイン40mg


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無機質な文字を指と目でなぞる。
つい数ヶ月前までは知らなかったアルミ缶とヘンテコな味にいつの間にか慣れてしまっていた。

高麗人参(ニンジン)を含むブレンド茶(ドリンク剤)は甲状腺機能亢進症/バセドウ病症状増悪の危険。

いつか読んだ記事に書いてあった持病についての文を頭の中で反芻しながらアルミ缶に口を付ける。

「※よいこはマネしないでね」
なんて、よく見るテロップが頭を過る。


自傷行為。

破壊衝動。

馬鹿みてぇだな、って笑えてくる。

もうどうにでもなれ、と体に悪そうな色の液体を一気に流し込む。炭酸で胃が脹れていく感覚が、妙に心地よくて、恍惚とした表情を浮かべているのが自分でもわかる。
何も解決していないのに、現実逃避に過ぎないのに、何故か救われたような気がした。


僕は、ボクは、













泣いていた。








多分。恐らく。

そんな気がする。
頬を伝う温かい感触に覚えがあったから。



それから数時間後、案の定眠れなくなってこの文を書いている。
一時の快楽もとうに過ぎ去ってしまって、あるのは暗闇と虚無。

明日は何か変わるだろうか。
明日は何か書けるだろうか。

何度裏切られても未来に希望を持ってしまう。
明日に縋ってしまう。

僕は弱い。

死にたいけど死ねもしないから明日も生きるしかない。
日付はもうとっくに変わっているけれど。

変わらなければいけないのは僕自身だよな、なんて思いながら、人は簡単に変われない、と言い訳を零す。

僕は弱い。

眠れないのはブルーライトのせいだからいつまでもスマホいじってないで早く寝た方がいいよ。

五月蝿い。

何も知らないくせにわかったような口を聞かないでくれ。

お前ら如きに僕の苦しみがわかってたまるか。

そうやって自ら塞ぎ込んだくせに、誰かに救って欲しいと願っていた。

僕は弱い。


ああ、これではエンドレスだ。

無理矢理にでも眠ってしまおう。

睡眠導入音楽とエナジードリンク。
どっちが強いか勝負しよう。
メルカゾールとエナジードリンク。
どっちが強いか勝負しよう。



明日は何か書けますように。