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ナニモノ
ずっと
ナニモノかになりたかった。
いや、現在進行形で、ずっとそう思っている。
そのくせ、人と違うことに怯えた。
皆が当たり前にできることが僕にはできない、何故?何故?僕はおかしいんだろうか……
とても、とても怖かった。
いや、これも現在進行形で今もそう思っている。
「普通じゃない」と「非凡じゃない」の狭間で、生きづらさを抱えて息をした。
中途半端な立ち位置にいる自分に嫌気がさす。
死んでしまえ、と罵ってしまいたくなる。
いつだってナニモノかになれた人に憧れていた。
僕の瞳にはいつも誰かしらヒーローが映っていて、彼のような人になりたいと常に思っていた。
ある時は、SEKAI NO OWARIのFukaseが僕のヒーローだった。
彼は変な人だった。
そこが好きだった。
僕は彼のインタビューを読み漁り、彼の作った曲を聴き、彼の歴史を思想を知ることから始めた
そしてある日学校を辞めた。
彼も高校を中退していた。
彼の背中を追った。彼の残した道を辿ろうとした。
そうしたら、彼のようにナニモノかになれると思った。
ある時は、ボカロPでヨルシカのギターとコンポーザーをつとめているn-bunaが僕のヒーローだった。
やっぱり彼も変な人だった。
そこが好きだった。
僕は彼の作る音楽が好きだ。
彼の綴る言葉が好きだ。
そして、彼の思想が好きだ。
彼はミュージシャンでありながら、作家のようで脚本家のようであった。
彼の作る音楽は非常に小説的である。
物語である。
他にそんな音楽をしてる人はいない。
そこが好きだ。
唯一無二だ。
それが憧れだ。
やっぱり彼の背中を追った。
インタビューなどで彼が口にした作家の本や、ミュージシャンの音楽を自らに取り込もうとした。
やっぱり、そうしたら彼のようにナニモノかになれる気がした。
だが、ふと気づいてしまう。
それはただの真似事である、と。
唯一無二になりたいと望みながら誰かの模倣をしているという矛盾。
なんの意味があるのか、と途方に暮れる。
唯一無二の道は無いのだ。
自らで切り開くからそれが道になる。
誰かの轍を辿るだけでは唯一無二になどなれやしないのだ。
自分の価値は?
自分だけが持っているものは?
自分の魅力は?
問う。
答えは未だに見つからない。
人と比べることでしか自らを評価できない僕に答えなど見つけられるはずがないのだ。
所詮その程度だ。
そのへんに転がっている石ころと同じだ。
こんなんじゃ誰にも見向きもされない。
死ぬまで書き続けることを決めた。
だから、文章で食っていかなければならない。
決めたのだ。
だから、変わらなければならない。
○○みたいだね、なんて誰にも言わせない。
僕が僕になれるように、今日もただひたすら
書く。
打つ。
綴る。
紡ぐ。
言の葉を。