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シリア難民キャンプ
今から7年前、僕はレバノンのシリア難民キャンプへ行った。
シリアとの国境近くにあるアルサールという街は、難民で溢れかえっていた。
着の身、着のままでトラックの荷台に乗り込んで、小さい子供から老人まで、沢山の難民が列をなして、シリアからまさに逃げてきているところだった。
僕は衣類や食料を配ったり、テントを建てたりする活動を手伝わせていただいた。
あの時シリア難民キャンプに行かなければ、もっと穏やかに歳をとったと思う。
嘘にまみれた世界を異常なほど憎むようになった。敵の巨大さに精神を削られることにもなった。
アルサールはその後、外務省の海外危険情報で危険レベル4になった。
時は流れ2019年。
仕事をやめて、スーツケースとリュックサックに全財産を入れて、またレバノンへ向かった。
戦争がなくならない世界には失望している。
一方で、何ができるのかを考えた時、あまりにもできることはなかった。
現地へ行ったら何か変えられるわけではないし、募金をしたら変わるわけでもない。知ることで何か変わるかというと、本当にそうなのかと思うところもある。
誰もその答えが見つけられていない。
シリアのことは確かに悲しいけれど、遠く離れた国のことよりも、身近な誰かを大事にすることは立派であるし、確実に手の届く範囲で平和を積み重ねることが1つの正解かもしれないとも思う。答えは人それぞれ。
コロナ禍の今、シリア難民の生活は全く変わっていない。しかしメディアの関心がコロナの方に向いているので、取り上げられることは減ってきた。あんなに騒いでいたシリアの人道危機が、まるで何もなかったみたいに小さなことのよう。
情報なんて所詮はそんなものなのかもしれない。
完成まで随分と時間がかかった。
今、2021年の自分の到達点として
シリア難民キャンプのストーリーテリングをここに置いていきます。