ボカロ嫌いな人にこそ届けたい2022年おすすめ曲10選
2022年に投稿された膨大なボカロ曲の中から、特に歌声のリアルさや聴き心地の良さを重視してボカロっぽさに苦手意識がある人でも受け入れやすそうな10作品を選出させていただいた。
今年で3年目になりましたこのシリーズ。言うまでもなく私の独断と偏見で決めている上に、そもそもこれを多くの人に見てもらえるとは微塵も思ってないが、せめて世界中の誰か一人にでも共感してもらえたら嬉しい。
プレイリストはこちら。曲順はニコニコ動画での投稿日時順です。
1. ホロウ / higma&gaburyu feat.初音ミク
◤おすすめポイント◢
ボカロっぽさが苦手でもクオリティーの高さに負かされる
higmaさんとgaburyuさんという次世代の注目クリエイター同士の合作。
目まぐるしい曲調の変化、高速歌唱パート、無機質な歌声etc…いきなり趣旨に反してボカロっぽい曲です。自分も普通だったら「嫌い!」て言っちゃうかもしれない。だけどこの曲は音の一つ一つが非常に洗練されていて全然聞きづらさを感じず、疾走感と浮遊感が交錯する独特な世界観の虜になってしまった。
2. Loading Memories / せきこみごはん feat.初音ミク
◤おすすめポイント◢
"楽器"としての初音ミクが奏でる最高峰の歌声
『マジカルミライ 10th Anniversary』の楽曲コンテストでグランプリに選ばれたせきこみごはんさんの作品。
せきこみさんの初音ミクの歌声を「ヴァイオリンみたい」と表現してる人を見かけてめちゃくちゃ納得した。感情が込められた素晴らしい調声技術だけど、それは単なる人間っぽさじゃない。人間とVOCALOIDのちょうど中間みたいな絶妙な塩梅が、まるで楽器としての初音ミクに魂が芽生えたかのように感じさせる。
3. 雷・々・来 / RED feat.知声
◤おすすめポイント◢
洋楽風の曲調と歌声のマッチ具合が素晴らしい
2月に登場した新たなAIシンガー「知声」が歌唱するREDさんの4作目。ボカコレ2022春ではルーキー32位にランクインした。
知声、歌い方がリアルなのは分かるけど中性的な声質がちょっと苦手なタイプだと感じていた。だからこそこの曲に出会った時はまさに落雷のような衝撃だった。REDさんの作風と技術、それにソフトウェアの持つポテンシャルが恐ろしいほどガッチリ嚙み合った奇跡的な作品だと思う。
4. グレートフィルター / 伊根 feat.星界
◤おすすめポイント◢
機械とは思えないバケモノ歌唱力
伊根さんが書き下ろした「CeVIO AI 星界」のデモソング。ボカコレ2022春ではTOP100の12位にランクインした。
ボカコレ期間中って一日に何千曲も投稿されるからKiiteのサビ再生機能で新曲ディグりをしてたんですよ。そしたら突然この激ヤバな歌声が耳に飛び込んできたから脳内中「!?」だらけになった思い出。ちょっと残念なのは歌詞が難しすぎて聞き取りにくいことだが、それを上回る衝撃と感動だったので10選入りを決めた。
5. Swing By / YURUGI feat.夏色花梨
◤おすすめポイント◢
お洒落エレクトロポップに似合うめっちゃ自然で甘い歌声
4月に発売された「Synthesizer V AI 夏色花梨」が歌唱するYURUGIさんの作品。
マジで誇張抜きで、今まで聞いたあらゆるボカロ曲の中でもトップクラスに歌が上手い。最近のAI歌声合成ソフトは人間と聞き間違うほどリアルだけど、やっぱり「ああ、これは人間じゃないんだな」と分かる部分がある。しかしそれを全くというほど感じなかったのはこの曲が初めてだった。艶のある声と語尾息がとってもセクシー。
6. 問題ないでしょ! / ラマーズP feat.初音ミク
◤おすすめポイント◢
語尾の可愛さ
今夏のラマーズP怒涛の新曲群からこちらの1曲をセレクト。
同じキャラクターでも使い手によって声質は大きく変化する。だけどラマーズPは一貫して素の声質を大きくいじっていない(ように聞こえる)。それでも細か~い部分の調声にはすごくこだわりが感じられて、聞きやすく特徴的、そして異常に可愛い歌声を作れるところが凄い。特にラストの「イェイ イェイ イェ~~~イ↑↑」の部分とか可愛すぎてヤバくないすか?
7. ハレ / Lumina feat.知声
◤おすすめポイント◢
震え上がるほど美しい歌声
Luminaさんの4作目で、調声は数多くの神調声カバー動画を投稿しているハチナナさん。
初めて聞いたときは本当に心が震え上がったし、ラスサビのコーラスで泣いた。特に好きなのがサビの部分で、「この空の」の裏声から「この青さに笑って」の地声に移り変わる所の力強さが素晴らしすぎてもう…(惚)自分の中では今年の10選どころかこれからの人生でずっと大切に聴き続けたい思い出の曲になった。
8. 此の世で一番碧い空 / 内緒のピアス feat.すずきつづみ
◤おすすめポイント◢
王道アニソンっぽい壮大なオケやメロディがとてもカッコイイ
9月に発売された「CeVIO AI すずきつづみ」が歌唱する内緒のピアスさんの作品。
良すぎる曲に出会った時って何故か笑っちゃうんですね。ロボットアニメか何かの主題歌になってそうな疾走感と壮大さ、低音から高音までしっかり芯が通った歌声、メロディーへの歌詞の乗せ方、どこをとってもハイクオリティで痺れる。ラスサビの「だってどんな夜もきっと〜」を「夜もぉ↓」って下げる部分が大好きなんだけど伝わるかなあ…
9. 燕 / ftrygry feat.初音ミク
◤おすすめポイント◢
これぞ空を飛んでいるような感覚
nu_imiさんと雨男さんのユニットftrygry(ふたりよがり)のボカコレ2022秋投稿作品。
この曲のどこがどう良いのかをうまく伝えられる知識のなさが悔しい。そのぐらい直感的に凄いと思った曲だった。出だし一音目からパッと青空が広がり爽やかな風を受けるような開放感&解放感に魅了され、それとは裏腹に「燕」と「僕ら」の生き方を対比した歌詞がずっしりと心に響く。
10. SnowMix♪ / まらしぃ feat.初音ミク
◤おすすめポイント◢
澄み渡った歌声やファンタジックな音色がまさしく「冬麗」
ピアニストのまらしぃさんが手がける『SNOW MIKU 2023』公式テーマソング。調声はこれまでも様々な有名曲で調声を担当しているびびさん。
びびさんが調声する初音ミクのボカロでも人間でもないけど生き生きとした歌声が雪ミクという妖精みたいな存在感を演出してるようでもあり、2曲目「Loading Memories」との聞こえ方の違いに調声技術の奥深さを感じた。冬のワクワク感をそそる音色も相まって、今年の衣装がイメージする「冬麗」らしさにピッタリの曲だ。
圧倒的なリアリティーを武器とするAIシンガーが次々と登場した2022年。しかし本家VOCALOIDも4年ぶりの最新バージョン「VOCALOID 6」で遂にAI技術を取り入れ、2023年はリアルな歌声を目指す争いがますます過熱していくだろう。
最後に、ボカロシーンを支える全ての人々に最大級の敬意と感謝を申し上げる。今年もたくさんの素敵な出会いをありがとうございました。