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やっとサカナクションのライブに行けた感想

サカナクションの音楽を好きになったのは高校生だった8年前。「新宝島」が大ヒットしたのをキッカケに聴き始めた、おそらく典型的なニワカファンだ。

しかし当時の私は超がつくほど内向的な性格で、ライブで大勢の人と一緒に盛り上がるなんてとても考えらなかった。だけどサカナクションのライブ映像を見たときに「行ってみたい」という気持ちは確かにあった。


そんな私は20歳を過ぎてから初めて音楽ライブというものを体験し、やっと性格が超内向的から内向的ぐらいに改善した。そして他のアーティストのライブも行ってみたいな~と思っていた時に舞い込んできたのが、山口一郎さんの療養のため活動休止していたサカナクションの”完全復活ライブ”。

これは行くっきゃない!ということで、サカナクション約2年ぶりの全国アリーナツアー『SAKANAQUARIUM 2024 "turn"』に福岡と広島の2公演参加しました。セトリや演出の細かいところは割愛して、初めてサカナクションのライブを観た人として驚いた事や感じた事を書いていきます。


ライブの構成

ライブの時間は本編+アンコールで2時間半程度。まぁこれは一般的だと思うんですが、本編はMCが全然ない。ひたすらノンストップで駆け抜ける。これが一番の驚きポイントだった。

逆にアンコールではたっぷりトークの時間を取って、ファンへの感謝の気持ちを語ったり、メンバー4人に1人ずつ話を振って観客の笑いを取ったりしていた。(ほかの4人、しゃべる時はちゃんとしゃべるんですね…)

まさに音楽の力だけで観客をサカナクションの世界に取り込み、ラストは言葉でしっかり気持ちを伝える。何というかとてもメリハリのある構成だなと思った。

客層や会場の雰囲気

客層は思ったよりも幅広い年齢で、とにかくイケてる人が多い。たぶん周りから見れば自分は浮いていたと思う。

とはいえ、ガラの悪い騒がしいノリになるのかと思っていたらそうでもなく、(上から見てた限りでは)皆が思い思いのノリ方で体を揺らしながら楽しんでいるという感じだった。そういうところも含めて全体的に雰囲気が上品。やっぱり客層の良さが表れているのだろうか。

私は2公演ともスタンド席だったが、アリーナはオールスタンディングブロックなので、そこでMCなしの音楽を浴び続けるという構図はクラブの雰囲気に近いのかもしれない(行ったことないから知らんけど)。

そういえば福岡公演では自分の後の列に3人組?の外国人が居て、開演前はずっと英語で喋っているので曲知ってるのかな~と思っていたら、ライブが始まるとめちゃくちゃしっかり大声で

「どぉぉぉしてぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇええーーーーー!!」

と歌い出してビックリした。この方たちが一体どんな経緯でサカナクションと出会ったのかとても気になる。

音響

サカナクションのライブと言えば何といっても音響のこだわりが有名。今回のライブでもオリジナル音響システム「speaker+」を採用し、ステージの左右だけでなく客席の頭上にも多数のスピーカーを備えていた。

音が凄い!!という触れ込みはテレビなどでもよく耳にしていたのでとても期待していたんですが、結論から言うとごめんなさい、具体的にどう凄いのかよく分からなかった。

ただこれは私の経験不足によるもの。私は去年初めて"実在する歌手のライブ"を体験したばかりで、それも「Kアリーナ横浜」という常設で200台のスピーカーを備えている最高級の音響を味わえる会場だった。つまり私は一般的なライブの一般的な音響がどんなもんなのかを知らない。なので比較ができません。ごめんなさい。

確かに全方位からズシズシ響く感じは凄かったけど、その分ボーカルの声が埋もれて聞きづらいと感じていた(特に福岡)。でもライブとは通常こんなもんなのかもしれない。今後精進します。

セットリスト

セトリはもう言うことないです。"完全復活"の名にふさわしく初心者にもやさしいベストアルバムのような構成で大満足!

代表曲の「アイデンティティ」「ミュージック」「新宝島」あたりはもちろん、私が本格的に聴き始めるよりも前から好きだった「Aoi」を聴けたのが一番嬉しい。それと「ユリイカ」のあの演出はなんですか。良すぎる。。。

しかし意外だったのはアンコール最後の曲。序盤からクライマックスのような2時間超のラストを、スクリーンに流れるエンドロールと共に、一郎さんが「5人で演奏したかった曲」と語る「シャンディガフ」というしんみりした曲で締めくった。

本人たちにとってもファンにとっても長かった2年間のフィナーレ。まさしくそんな雰囲気でライブは幕を下ろした。



ずっと行ってみたかったライブを"完全復活"という節目のタイミングで初体験できたことはより特別な思い出になりました。

でも今回のライブはきっと誰しもが「これが当たり前じゃない」と考える機会になったはず。


5月5日に放送されたNHKスペシャル「山口一郎 “うつ”と生きる〜サカナクション 復活への日々〜」は、山口一郎が体調不良の正体「うつ病」と向き合い、乗り越え、そして今回の全国ツアーに挑むまでを記録したドキュメンタリー番組。

私はこの番組を見る3日前、福岡公演で初めて山口一郎さん本人の姿を見たばかり。ステージでアグレッシブに歌い踊るあの姿を。

でもそんなサカナクション・山口一郎と、この番組で映し出されていた山口一郎という人間は、同じ人物とは思えなかった。

うつ病を克服したわけじゃない、現在進行形でうつ病と戦っている人間が、これだけ大勢の人の前に立っていることの恐ろしさ。

日本中、世界中の人々に「自分の音楽」を届けることがどれほどの重圧か。

"2人の山口一郎"の姿を見てそれを痛感した。


"turn"というタイトルの通り、新しいサカナクションに生まれ変わり、うつ病と共に生きながら音楽を続けていくと決意した一郎さん。

どうかその決意を気負い過ぎないように。

私が今回のライブを通して最も感じたのはそれだけだ。

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