弁橋青春物語
♪ブザー
♪アナウンス『これより、劇団さば弁旗揚げ公演。開演でございます。皆様、何卒温かい目でご覧ください。』
舞台はとある高校の一室
なぜか高座があり、高座には現代落語論が置かれている
♪音楽(ワンピースのOP曲)
ナレーション
『飲む、うつ、買う。この世の全ての業を肯定した演芸。落語。そんな落語に魅入られた少年、弁橋が落語を通してさまざまな困難と戦っていく。これはそんな物語である』
弁橋、颯爽と登場
弁 オッス!オラ、マサハル!!福山マサハ ル!!
なんちって!!!!!!
俺、弁橋!生まれも育ちも、山梨は韮崎
親からバラエティ番組を止められていた僕
ラジオのスイッチをひねって流れてきた
落語!!
そこから、僕の人生は変わった
この高校に落語部をつくるため
この部室を用意したんだ
これは、『高く座る』と書いて
『高座』!!
ここから僕の落語ライフが始まるんだ
人間国宝に、俺はなる!!!
♪音楽、カットアウト
ガラガラと教室に入ってくる不良(仁馬)
あたりを訝しげに眺め、弁橋にガンをつけ、現代落語論を手に取る。
物欲しそうな弁橋に渡そうとするが、フェイントをかけて渡さない。
弁 かえしてよー、僕の現代落語論
仁 なんだこんなの読んで、落語?きめえ!
落語?ああ、あれだ!日本語であそんでろ!
弁 かえしてよー
仁 いやだね!俺は人の大切なものを
奪いとるのが大好きなんだ!ハッハー!
弁 かえしてよー
仁 というかなんだこの部屋は?
でっかいお雛様?(お雛様の歌を歌う)
弁 先生に頼んで作らせてもらったんだ
ここで僕は部員を集めて落語部を作ろうと
してるんだ!
部員はまだ僕1人だけど…
感動する仁馬。
仁 そうか…お前実は熱いやつだったんだな
すごいよ…お前は…(フェイントを入れるが、本は
返さない)でもそれとこれとは別だよー!
弁 かえしてよー
仁 ふははは、たまんねえ。ふははは
桜子登場
桜 ちょっとー!
腰に手を当てた良いポーズでキメる桜子
桜 やめなさいよー!(ぷりぷり)
仁 やっべ!委員長だ!にげろ!
仁馬、高座の後ろに隠れる。その時現代落語論を高座に投げ捨てる。
弁 委員長、ごめん。いつもいつも
桜 ううん、いいのよ。あれ、それって
現代落語論
弁 委員長、知ってるの?
桜 知ってるも何も、私も持ってるもの
弁 えー!…だったら委員長、一緒に落語部に
入らない?
桜 落語部?
弁 うん…まだ、部員が足りないんだけど…
仁 ちょっと待ったー!
仁馬、姿を現す
仁 そういうことだったら、もう1人いる
ぜ!!
おーれーだよ!!
おーれーーー!!!!
弁 (仁馬を無視して)委員長、これからよろしく
ね!
桜 うん!
仁 って、おーーーーいーーーーー!!!!
…ハッ(笑顔)
♪音楽(ダースベーダーのテーマ)
桜 こうして、私たちの落語部が始まった。
規定では、部員が4人必要だったので、
バスケ部のアレックス君に助っ人をお願いして、
晴れて正式な部活動として発足した。
アレックス君は、『黒人のバネでどんな部活の助
っ人もこなしてみせるぜ!』と言っていたが、バネは関係なかった。
正直、落語にはなんの興味もなかったけれ
ど、陰キャ2人とはいえ、男2に女1、チヤ
ホヤされて嬉しかった。
自分でも初めて気づいた。
私は、オタサーの姫になりたかったのだ。
そう、わたしは、オタサーの姫に、なりたかった
のだ!!!
弁 大変だー!落語部の甲子園的なイベントがもうすぐあるぞー!
桜 (即決)やりましょう
桜子、おもむろにサングラスをかけながら
桜 それからの私たちは特訓につぐ特訓。
猛特訓の日々だった。
弁 寿限無寿限無ごぼうのすりこぎ…
桜 ちがう!!ごこうのすりきれ!
何回言ったら分かるんだ薄汚いメス豚が!
仁 あー、また夢になるといけねえ
桜 死ね!
弁 寿限無寿限無…
桜 声がちいせえ!
弁 寿限無寿限無…
桜 うるせえ!!!さっさとハケろ!!〇〇がっ!!
弁 ひぃー!
弁橋、桜子、ハケる。
♪ダースベーダーのテーマ、フェードアウト
仁馬登場。
アフロのカツラを被って泣いている
続いて、弁橋、桜子登場。
桜子はサングラスをかけたまま。
弁 終わったね
桜 終わっちゃったね
仁 俺、悔しくて
弁 泣くなよ、うちの高校が優勝したんだから
仁 だけど、優勝したのは、バスケ部の助っ人
アレックス。もとい、アレキサンダー亭大
王だから(泣く)
弁 喧嘩と不純異性交友とクスリでバスケ部は
出場停止だったけど、落語だとそういうの
加点されるからな。
仁 あいつの牡丹灯籠最高だった。
弁 よく11分にまとめたよな
桜 ごめんね、私がアフロオネエ関西弁でやっ
たらなんて、変なアドバイスしなければ
仁 いや、委員長は悪くないよ
弁 悪いよ
桜 普通に芝浜やっとけばよかったね
弁 でも、2人のおかげで、いい思い出ができたよ!ありがとう!
桜 (しんみり)
仁 (しんみり)
仁馬と桜子、友情の証として弁橋にアフロとサングラスを装備させる。
3人ともハケる
ハケぎわに仁馬が『そして10年後』と言う
茶光、教師っぽく登場。
茶 (教師っぽく)なんだなんだーこの部屋はー
まったく、こんなものまで…なんだなんだー
茶光、教師っぽい。ワイシャツの上にジャージを羽織って部屋を物色。教師っぽい。
先生(弁橋) おい、お前こそ何勝手に入ってるんだ。
それおれのジャージだろ。かえせ。
ぱつぱつじゃねえか。
茶光、本物の教師が登場して態度を急変させる。
茶 へへへ、すんません。すんません。
尊敬する先生の真似したかったんです。
…それにしてもなんですのん?このへや
先生 これはな、昔あった落語部の部室だよ
茶 落語?おれ落語大好きなんですよ!
先生 本当か?誰がすきなんだ?
茶 ほらほら、あの、アレキサンダー亭 大王…
先生 あいつかあ…!(嬉しそうに)
茶 先生!
弁橋 な、なんだ
茶 この高校に落語部があるなんて運命や!!
落語部復活させて、江戸の風ふかせまくるでー!
茶光ハケる
先生 面白くなりそうだ。昔を思い出すな(しんみ
り)…あれ、江戸?
先生、ハケる
おしまい