読書途中感想 #10
司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』の4巻。
4巻は、黄海海戦前からバルチック艦隊がついに動き出すあたりまでのお話。
いや〜〜〜
この4巻はずっとストレス。。。
日露戦争を『勝ったという印象を世界に与え、第三国の仲裁を受け入れてさっさと終わりたい』日本にとって、旅順という地点の攻略が必須であるのに。。。
ここの攻略を受け持った『乃木第3軍』の参謀長である『伊地知幸介』という人物の頑迷さにより、大量の日本人が死んでいくというのが何度となく描かれている。。。
司馬遼太郎さんも『無能者が権力の座についていることの災害が、古来これほど大きかったことはない』と書かれている。
4巻の時点では第3回の旅順総攻撃が実行されれいるけど、その3回で3万人近い日本人を殺している。
しかも、今後に全くつながらない、完全な無駄死にとして。。。
旅順という場所は、ロシアの旅順艦隊が隠れている地点であり、海軍としてはロシアの本体であるバルチック艦隊が日本海に辿り着く前になとしても撃破しておきたい。
旅順艦隊が生き残ったままでは、バルチック艦隊との決戦で勝つことが出来ず、そこで負ければ日本という国が無くなる、というその当時の『共通認識』がある。
そのため、海軍から見た旅順の弱点である『二〇三高地』という場所を確保してほしいと陸軍に依頼するが、結局、無能者伊地知幸介は、その重要性を理解できず、攻略が全く進まないどころか、微々たる戦力で軽い攻撃をしてしまうことで、ロシア軍にその地点の重要性を教えてしまう、というまさに週刊少年ジャンプ的なあるあるをしてしまう。。。
マシで4巻はストレス!
もしかしたら、現代でも起こり得ることなのかもだけど、この伊地知幸介を更迭すると末端の士気にかかわるってことで、ずっと続投させている。
司馬遼太郎さんによると、この時代から第二次世界大戦が終わるまで、日本陸軍は世界情勢やら、その中での日本の位置やらという情報を全く無視して突き進んでいたらしい。
それは時代によるってこともあるかもだけど、無能とわかっていながら更迭出来ないって、現代の大企業病に陥ってる会社にも言えることなのかなと。
孫子も『兵は詭道なり』と言ってるし、その当時の『参謀長』が孫子を知らないはずがない。
最初の攻撃で要塞に対する認識が低く多くの兵士を死なせてしまったのであれば、自分のたてた作戦の失敗を認め、認識を改めて情報収集し、周りの助言を聞き、2回目以降の攻撃に備えるべきじゃない?
なぜ、大失敗した作戦に固執し楽に勝てる戦を難しくしてしまうのか。
自分の小さな自尊心を守るために何人死なせれば良いのか…
4巻は辛すぎる。
伊地知幸介という人とは会ったこともないしどんな人かも実際には知らないけど、4巻を読むと全く好きになれないし、直接出会わなくて良かったと思ってしまう。
『人の振り見て我が振り直せ』
何かしら自分が上手く行ってると思った時は、この言葉と伊地知幸介という名前を思い出して生きていこうと。
今も日本が存在するってことは日露戦争には負けてないんだろうけど、5巻もまだ、伊地知幸介がいると思うと…読むのが辛い…