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読書途中感想 #12

司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』の5巻。

5巻は、旅順をようやく攻略し、いよいよ、コサック騎兵との対決がはじまるかもというあたりまでのお話。

4巻で登場した『乃木第3軍』の参謀長である『伊地知幸介』という読者に極度のストレスを与える天才のおかげで遅々として進まない旅順攻略が、いよいよ待ったなしという状況になり、『陸軍大将・満州軍総参謀長』の児玉源太郎が旅順に向かうことで一気に攻略に向かう。

戦場の後方に陣取り、現場を見ることなく、自分の『間違った』方針を頑なに改善しようとしない『伊地知幸介』という参謀長のおかげで、6万人という膨大な死傷者を出した旅順攻撃がようやく完結した。

児玉参謀長が第3軍の指揮権を『譲り受け』日本兵を殺しまくる作戦から転換させたことでようやく完結した。

その際のやり取りの中で『第一線の状況に暗い参謀は、物の用に立たない』という言葉や『諸君は昨日の専門家であるかもしれん。しかし、明日の専門家ではない』という言葉が非常に印象に残っている。

財務や経理を得意として経営者の『参謀』でありたいと常に思っている私のような人間には特に刺さる言葉だと思う。

常に物事は現場で起きており、その現場を見ずに経営の方向性を指示していては、間違った方向に進むんでしまうのも当然だと思う。

さらに『昨日の専門家』になってしまっている可能性を常に考え併せないといけない。

専門知識は、現在の変化が速い時代においては、そこにあぐらをかいている人間にとっては、自分の価値を下げるものになってしまっているのかもしれない。

常に現場をみて、意識して、専門分野の情報収集を怠らず、新しい考え方にアップデートしてく。

これが出来ないと会社の成長を止める参謀になってしまうのだと。
肝に銘じておこう。

本当にようやく旅順が攻略できた。これで、東郷艦隊も一時帰還し戦艦のメンテができる。いよいよ、バルチック艦隊が迫ってきているという状況でギリギリのタイミングだったのだと思う。

一方、そのバルチック艦隊は、日本との同盟国であるイギリスの妨害を受け、なかなか先に進めない状況に置かれていた。

当時の戦艦の燃料である石炭を補給したくても、港に寄るたびに『中立国の港に入らないでくれ』とか『石炭の積み込みは公海上でしてくれ』とか言われ、かつ、その当時、もっとも質が良いと言われた石炭はイギリス製だったので、当然手に入らず、泥のような石炭しか入手できなかったらしい。

さらに、長期間の航海な上、港に寄ることもできず、寄れたとしても下船できず、不慣れな気候などなどから、乗員のストレスが半端なく、発狂するもの続出という状態だったらしい。

そんなこんなでバルチック艦隊はなかなか日本海にたどり着けない。

物語も後半に入っていくのだが、主人公の秋山兄弟がなかなか出てこない(笑)弟は黄海海戦での活躍が描かれたが、兄はほとんど酒を飲んでる描写ばかり(笑)

戦争物の小説は結果はわかっているんだけど、その結末に至るまでの人間模様が面白いし、この年齢になって読むと、経営に活かせることばかりだと改めて感じるものが多い。本当に勉強になる。

今後の展開も楽しみだ!

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