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思考加速装置
思考加速装置、それはなに?
と、多くの人は思うかもしれない。
自分の内面を吐き出すようなエモめな文章を書きたいとき、誰かの感情を揺さぶるような言葉を探しているとき、ぶっ飛んだ仮説を探し求めるとき、
.....まあつまりわたしが何かの思いや考えを言語化するときはたいてい、ソレのお世話になる。このnoteも例外ではない。
思考加速装置、それは酒。
シラフでも別に書けないわけじゃない、ライターとしての仕事で書く文章やエモさよりもロジックが求められる文章であればむしろシラフでなければならないだろう。
だけどこれはnoteだ。さらにいえば、これは「呑兵衛マガジン」なのだ。酒気帯びで書かない理由が見当たらないじゃないか!
論理よりもエモさ、情報の真偽や質よりも自分自身の想いを伝えたいとき、わたしは酒を飲み、文章を書く。
建築学科の大学生だったときから、缶ビール片手にアイデアスケッチを書いていたし、簡単な模型も作ったりしていた。
「酒を飲めばインスピレーションが降りてくる」とその頃から堅く信じていた。わたしがそう信じるようになったのには、ちょっとした理由がある。
思考加速装置、それは霊感を呼ぶ。
アブサンという酒がある。英語で書くとabsenceであり、「不在」を意味する。薬草系のリキュールの一種で、かつては幻覚を引き起こす成分が含まれていたとされ、インスピレーションを得ようとした芸術家たちがこぞって飲んでいたらしい。
ゴッホもロートレックも、太宰だって飲んでた。
自分の中に存在しないもの=インスピレーションを、「酒」の力を借りることで手に入れようとする。そしてその酒の名前の意味が「不在」であることは、なにか感傷的な気持ちにさせられるというか...なんというか皮肉めいている。
わたしは皮肉や矛盾を孕んだ存在が好きだ。かよわくて切なくて消えてしまいそうなものにどこか惹かれてしまう。まあそんなときもあるよね。
思考加速装置、それは破壊と創造。
「酒は百薬の長」という言葉がある。適度な飲酒は心身の健康になるよ、ということだ。だが量や頻度が多すぎる飲酒は身を滅ぼし思考を狂わせる、というのは言うまでもないだろう。
だけどそれでも、身を削り思考がバカになっても、酒を飲む。
それはなぜなのだろう。
それはきっと、壊れないと見えない世界があるからだ。
シラフのまともな頭なんかじゃ決して出てこない答えや、千鳥足じゃないとたどり着けない場所が、きっとあるのだ。
アルコールを帯びた頭と身体の、限られた時間でしか感じ取れない、形にできないもやもやした何かを掴み取ろうとして、いや実際摑み取れないんだけど、その空気感のようなものと目を合わせたくて、こっちを見て近づいてほしくてお酒を飲んでしまう。
思考加速装置、それは最後のひと押し。
文章を書くとき、PCの横にグラス。度数の高い酒をちょこっとだけ注いで、ちびちびと呑む。ひとつのテーマについて深く書きたいとき、エモさを気にして、この言葉はどうだ、あの言い回しは使えないか、などとひとつのことを表現するのにうんうん頭を捻る時、度数の高い酒をゆっくり呑む。
あるいは、とにかくアイデアがほしいと思った時はコンビニで酒とツマミを買ってふらふら街中を歩き回る。ハイボールとかチューハイとか、軽めのものをゴクゴクと呑む。
そうして1時間くらいならあっという間に時間が過ぎる。その1時間で舞い降りたアイデアは時給1500円のバイトよりもずっと価値があると、個人的には思っている。
あと、「自らを破壊する行動を取れるのは人間だけだ」って誰か偉い学者が言ってた。つまり酒を飲んで自分をめちゃくちゃにする行為はとても人間らしい行為なのだ。
そう考えるとなんだか誇りたくなる気持ちになってくる。
そうして今夜も酒を呑む。
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今回の酒:アブサント55
https://amzn.to/2IwNJ58
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