「夢を形にしたショップがあった」、ように見えた。
たまに、人にプレゼントを買うときなどに、品川のエキュートに寄る。
コロナ禍が始まってから、家族の持病のこともあるので、外出を控えてきた。2022年になり、なんとなく「コロナ明け」みたいな空気も出てきたけれど、実際には感染者数は減りそうで、また増えるの繰り返しで、自分のような人間には、ずっと外出自粛を続けるしかないから、駅の中のビルとはいっても、よけいに、とてもキラキラして見える。
たぶん、実際に照明の明るさも強いのだと思う。
夢が形になっていた
人に贈るための菓子などを買い、あとはまた電車に乗って帰ろうと思ったら、目の前にキラキラした場所があった。
うわ。
吸い寄せられるように近くへ行ったら、そこは洋菓子屋だった。
宝石をテーマにしているようだった。実際の宝石には興味が持てなかったのだけど、そのショーウインドーに並んでいるお菓子も、ケーキも、キラキラしていた。
すごい。
気持ちの中で、そんな独り言をつぶやくほど、完成度が高く見えた。
さらに、見てみる。
これだけの可愛さを形にするのは、たぶん、大変だと思ったのだけど、それでも、そこに実現しているのは、改めてすごいと思った。
誰かの夢が形になっているようだった。
この駅ビルは期間限定のショップも多いので、思わず、店員さんに聞いてしまった。
「ここは、いつまであるんでしょうか?」
柔らかい笑顔で、即答してくれた。
「こちらは常設店ですので、ずっとございます」。
じゃあ、今日は無理でも、今度来て、買おう。
そう思って、家に帰った。
ピンクブーケ缶
そのショップのチラシのようなものをもらって、家で妻に見せた。
すごい店だったと伝えた。
とても興味を持ってくれた。
それから数日たって、妻も久しぶりに出かけたとき、帰りに品川駅によって、その「ベリールビーカット」に行き、「ピンクブーケ缶」なども買ってきた。
お菓子もおいしかった。
ちょっと幸せな気持ちになれたし、妻の方が、もっとうれしそうに見えた。
ケーキ
それから、もう少し経ってから、私の誕生日が来た。
妻が毎年のように祝ってくれて、とてもうれしかったのに、その後、買い物のことでケンカになってしまった。すごくうれしかった気持ちと、祝ってくれて本当にありがたい思いまで、なんだか、台無しになったようになったら、とても残念だったこともあって、あやまったりもしたのだけど、次の日に、品川へ寄った。
ケーキの完成度もすごく、キラキラしていた。
妻と私の分で、二つで十分なはずだったのに、その造形を妻にも見せたくて、3個買った。
迷って、形優先で選んだ。
ハロウィン期間限定のクロネコのケーキ。
苺と木苺のルビー仕立て。
それから、モンブランは、その造形はすごいと思ったのだけど、これから持ち帰ることで、形が崩れたら嫌だなと思って、確認をしたら、「きちんと箱に入れますので、大丈夫です」と言われたので、もう一つ買った。
バラ科のモンブラン。
本当にバラの花を模していたから、モンブランとしては新鮮だった。
デザート
すごく丁寧に、そして、箱の中に仕切りもきちんと入れてくれたので、それには安心感もあったのだけど、ケーキを買って帰る、といったことに慣れていないから、また電車に乗って、そーっと右手で持って、ビクビクしながら、周囲をいつもよりも注意して、ちょっと傾くたびに、う、と焦りながらも、家に持って帰った。
ケーキを買っていくことは伝えていたのだけど、家に帰り、妻に袋を見せただけで、「あ、あの店で買ってくれたんだ」と喜んでくれた。
身内に送ってもらったコーヒーと一緒に、ケーキを食べた。
私は、どこかで、この造形を見せて、妻が、喜んでくれただけで、達成感もあったのだけど、食べたら、しっかりしたデザインでありながら、柔らかく、おいしかった。
妻も、「すごくおいしい」とうれしそうだったので、よかったと思った。
古い木造の家の中でも、ケーキはキラキラしていた。
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