さよなら、エコバッグ。
読んでいる本を、電車を乗り換えるたびに、カバンから出し入れするのが、ちょっと面倒くさくなり、カバンの中にある、いくつかあるエコバッグのうちの一つを使って、本だけではなく、なかにいろいろ入れる。
そのまま電車を降りて、家に帰って、茶色のエコバッグの一部の色が変わっていた。白い。ちょっとだけ驚いて、そこをさわったら感触が違っていて、バッグの中に入れた布製の何かなのはわかった。
自分が、帰り道の時間の中で、何を入れたのかを忘れていたのも、ちょっと悲しい気持ちになったのだけど、それよりもエコバッグが破れていた。
大げさに言えば、半永久的に使えると思っていたので、ちょっと気持ちが止まった。
コンビニ
ローソンからロールケーキが発売されて、個人的にも社会的にも一つの印象に残る出来事になった頃か、それより前かはっきりとはしないのだけど、今回、破れたエコバッグを手に入れたのは、もう10年以上前になる。よく見ると、2013年という文字がある。
家から最も近いコンビニがローソンだった。時々、春のパン祭りのような企画をしていて、特定の商品を購入し、シールを規定の枚数集めると、プレゼントがもらえた。
今から考えると、どうしてそれだけ欲しくなったのかも分からないけれど、買って、食べて、シールを集めて、プレゼントをもらう。そのサイクルを何度も繰り返していた。
だいたいが、何かしらのキャラクターを全面に押し出したモノをもらえるのだけど、そのキャラクターが特に好きなわけでもなく、ひどい場合は、そのキャンペーンが始まってから、その存在を知ったりもしていたのに、それが欲しくなったのは、シールを集めて、何かもらえるシステムに対して、子どもの頃から長く習慣化されてしまっていたせいかもしれない。
今回のエコバッグは、リラックマをモチーフとしているもので、ベースの茶色は渋めだったのだけど、キャラクターはピンクで描かれて、しかも、この2013年は、10周年だったらしく、その上でアロハがテーマになっているから、その場面はハワイ感だけでできているようなものだった。
だから、それほど強く意識をしていなかったのかもしれないけれど、そのバッグを使うたび、この色とデザインが目に入るたび、思った以上に気持ちが少しゆるんでいたのかもしれない。
破れたとき、これでもう捨てることになると思うと、だから、ちょっと悲しかった。
さよなら、エコバッグ
いくつもエコバッグはあるし、ずっと使い続けていられると思っていたけれど、どういう理屈かわからないけれど、その素材自体が、ちょっと薄くなって、向こう側が微妙に見えてきたような気もしていたので、だから、破れたことで捨てることにした。
だけど、やっぱり、記念に写真を撮りたいと思っていたら、それが妻にも通じたせいか、いったん捨てたんだけど、待てよ、写真に撮るのではないか、と思い返して、とっておいてくれたので、撮影できた。
さよなら、エコバッグ。
日常的に使っていて、すごく大事にしていたわけでもなかったのだから、そんなことを言う資格もないかもしれないけれど、それでも、こうして捨てるとなると、ちょっとさびしい。
本当は、これも補修して使い続ける、といった方法が、エコバッグだけにふさわしいのもしれないけれど、この素材を直すのはちょっと難しいので、申し訳ないけど、今回は捨てる、という方法をとらせてもらうことで、よろしくお願いします。
誰に向かって、というのではなく、エコバッグに向かって、そんな気持ちになった。
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