ドキュメント72時間『冬の東京 あのたい焼きをもう一度』
好きなテレビ番組のひとつ、『ドキュメント72時間』(NHK)。
毎回異なる1つの場所に3日間(=72時間)、定点観測的にカメラを置き、そこに来る色々な人に話を聞くというドキュメンタリー番組だ。
普段出会わないような境遇、職業の人、色々な事情を抱えていたり抱えていなかったりする人たちの本音を窺うことができるようで、興味深いと同時に、私はなぜか少しホッとする。みんな色々あるんだなあと。
さて、12/1放送の『ドキュメント72時間』の舞台は、(私の大好きな)たい焼き店だった(2019年放送の再放送←このときも見ている)。
舞台は、四谷の「たいやき わかば」。人形町の「柳屋」、麻布十番の「浪花家総本店」と並び、東京三大たい焼きと称される、有名なお店。
上の記事によると、小説家(直木賞作家)・演劇評論家の安藤鶴夫氏による「鯛焼きのしっぽにはいつもあんこがありますやうに」を社訓としているらしい(なんて素敵な社訓だこと!)。
今回も色々な人がマイクを向けられる。お子さんを亡くしたことで死生学を学び始めた人、会社勤めを辞めて舞台俳優になり、とても充実した人生となったと話す人、塾帰りに親子でたい焼きを頬張る人・・・など。
個人的に興味深かったのは、自分以外の誰かのためにたい焼きを買いに来た人が複数人いたこと。
子供のため、いつもお世話になっている近所の人のため、一緒に働く部下のため・・・など。
特に、焼き立てを食べさせてあげたいからと足早にカメラの前から去る人の姿は印象的だった。
ふと我が身を振り返ると、私がたい焼きを買うのは基本的にいつも自分のため。よくて、一緒に暮らしている家族に買うくらい。
たい焼き店で買うたい焼きって、たいていは簡易な包装で、保存にも不向きだから、他人にプレゼントするのなら、すぐに渡せる相手に、計画的に、買っていかないといけない。
だから、もらった方からしたら、「この人、私のためを思って買ってくれたんだな」と感じることができて、一層嬉しいかもしれない。
素敵なことだ。
でも私は、やっぱり、自分のためだけにたい焼き店に並び、渡されたたい焼きをその場で、またはイソイソと帰って家で、たったひとりで食べるのも結構好きなのだ。大好きなものはシェアするのも素敵だと分かっていつつ、いや、大好きだからこそ、独り占めしたいとも思っている。
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