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耐震性の低い建物:見分け方のポイントは1981年(昭和56年)

田中美咲さんと社長による研修記録


受講者:田中 美咲(たなか みさき)
年齢:22歳
職業:不動産会社の新卒社員
指導者:不動産会社社長
背景
田中美咲さんは大学卒業後、不動産業界に興味を持ち、地元の中堅不動産会社に就職しました。業界での経験が浅い彼女は、特に不動産調査や業務の基本的な流れについての理解を深め、一人前の営業担当として独り立ちすることを目指しています。そのため、今回は社長直々の指導のもと、業務に欠かせない基礎知識や実践的なスキルを身に着けるための研修が行われました。
社長は、不動産業界における豊富な資格や実務経験を持つスペシャリストであり、これまでに数多くの不動産プロジェクトを手掛けてきました。その知識と経験に基づき、田中美咲さんに対して、不動産調査や重要な法律、実務に即した調査方法などを丁寧に指導していきます。
以下は、田中美咲さんが社長との研修を通じて学んだ内容の記録です。

田中 美咲(たなか みさき)さん

年齢:22歳
性別:女性
職業:不動産会社の新卒社員
学歴:大学卒業(経済学部)
バックグラウンド
美咲さんは、大学を卒業したばかりの新卒社員で、不動産業界に興味を持ち、地元の中堅不動産会社に就職しました。しかし、業界での経験はまだ浅く、特に不動産調査や基本的な業務の流れを一から学びたいと強く考えています。
目標

  • 不動産業界での基礎知識を身に着け、自信を持って業務を進めたい

  • 1年以内に一人前の営業担当として成長し、顧客から信頼される存在になりたい

課題

  • 専門用語や手続きに対する理解が浅く、業務で戸惑うことが多い

  • 忙しい業務の中で十分な学習時間が取れない

  • 初心者向けのわかりやすい資料が少ないと感じている

ニーズ

  • 要点をまとめた、簡潔でわかりやすい説明を求めている

  • 実務に直結する具体的な例や手順が記載されたガイドが欲しい


社長

経歴

  • 土地家屋調査士、行政書士、不動産コンサルタントなど数々の不動産関連の資格を取得

  • 不動産に関する広範な業務実績を持つ不動産調査・開発のスペシャリスト

不動産業務の実績

  • 宅地造成や分譲開発、事業用地の開発、用地仕入れ、テナント誘致、土地の買取やコンサルティングなどの豊富な経験

  • 市街地再開発やCRE(企業不動産)業務、資金調達、不動産証券化なども手掛けている

  • 開発許認可、重要事項説明書作成、現地調査、測量設計、地盤調査など、不動産に必要な調査・分析業務も幅広くこなす

社長は、不動産の基礎知識から高度な専門知識までカバーするプロフェッショナルであり、美咲さんが目標達成のために学ぶべきことを多く持っています。以下は、美咲さんと社長の「耐震性の低い建物の見分け方」についての会話です。


美咲:「社長、今日は地震に強い建物について教えていただけますか? 最近、お客様から耐震性について質問されることが増えてきて…」

社長:「不動産業者として耐震性についての基本知識を持つことは、とても大切だよ。まず、地震ってどんな仕組みか知ってる?」

美咲:「えっと…プレートが動くことで起きるって聞いたことがあります。でも、詳しくはよくわからなくて…」

社長:「その通り! 地震はプレートが動いてエネルギーが解放されることで発生するんだ。日本は特に地震が多い国だから、耐震性のある建物が求められるんだよ。実は、地震は活動期と静穏期が交互に訪れるんだけど、阪神淡路大震災以降、日本は地震活動期に入ったとされているんだ。」

美咲:「そうなんですね。では、耐震性が低い建物はどうやって見分けるんですか?」

社長:「ポイントは3つあるよ。まず1つ目は『建築年度』だね。1981年に新しい建築基準法が施行されて、それ以降に建てられた建物は耐震性が高いと言われているよ。」

美咲:「建築年度が大事なんですね。2つ目は?」

社長:「2つ目は『構造材料』。鉄骨や鉄筋コンクリートでできた建物は、木造建物よりも地震に強いんだ。材料がしっかりしていると、それだけ強度も高いからね。」

美咲:「なるほど。では、3つ目は何ですか?」

社長:「3つ目は『設計と構造』だよ。設計段階で耐震基準に適合しているかどうかが重要なんだ。例えば、柱や梁の配置がしっかりしていると、建物全体の耐震性が高くなる。」

美咲:「具体的に耐震性を評価する方法はありますか?」

社長:「耐震性を評価するには、専門の技術者に調査を依頼する必要があるよ。最近は、耐震診断を受けることが一般的になってきているから、不動産業者としてその必要性をお客様に伝えるのが役割だね。」

美咲:「耐震性が低い建物を改修する方法もあるんですか?」

社長:「もちろん。耐震性を向上させるには、建物の補強工事を行うのが一般的だね。例えば、壁や柱を補強したり、設計を見直すことで地震に強い建物にすることができる。」

美咲:「すごく勉強になりました! 最後に、耐震性についてお客様に説明する際のポイントを教えていただけますか?」

社長:「一番大切なのは、分かりやすく説明すること。『建築年度』『構造材料』『設計と構造』の3つのポイントを伝えて、耐震診断や改修の重要性をお話しすれば、お客様も安心して物件を選べるはずだよ。」

美咲:「ありがとうございます!これからお客様に正確な情報を伝えられるように、もっと勉強していきます!」


美咲:「社長、耐震性の低い建物についてお客様に説明する必要が出てきたんですけど、具体的にはどうやって見分ければいいんですか?」

社長:「まず、耐震性の低い建物の見分け方を知ることが大切だ。特に1981年(昭和56年)以前に建てられた建物は、新しい耐震基準が適用されていないから注意が必要だよ。」

美咲:「昭和56年以前の建物は、具体的にどんなところに問題があるんですか?」

社長:「木造建物の場合、こんな特徴があるよ:」

  • 昭和56年以前の建築:古い耐震基準で建てられている。

  • 平面形状の不成形:L字型やT字型の不規則な形状は構造的に弱い。

  • 壁の配置:2階の壁が1階の壁と重なっていない場合は要注意。

  • 1階が駐車場:柱だけで支えられている部分が弱点になりやすい。

  • 吹き抜け:大きな吹き抜けがあると耐震性に影響が出る。

  • 耐力壁の偏り:壁が一方向に偏っているとバランスが悪くなる。

  • 重い屋根:瓦葺きの屋根は地震時に負荷がかかる。

美咲:「なるほど!木造だけじゃなくて鉄筋コンクリートの建物にも特徴はありますか?」

社長:「もちろんあるよ。鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートの建物では、こんな点をチェックしよう:」

  • 昭和56年以前の建築:これも古い基準で建てられていることが多い。

  • 平面形状の不成形:木造と同じく、不規則な形状は弱点になる。

  • ひび割れや亀裂:壁や柱にひびが入っていれば、構造の問題があるかも。

  • ピロティ:1階が柱だけで支えられている場合、地震に弱い。

  • 吹き抜け:大きな吹き抜けも耐震性に影響する。

  • 耐力壁の偏り:壁の配置が偏っている場合は注意。

  • 液状化のリスク:地盤が悪い場所では、地震時に液状化する可能性がある。

  • 短柱や極短柱:柱が短すぎると地震で損傷しやすい。

美咲:「そんなにたくさんポイントがあるんですね…。お客様にはどうやって説明したらいいですか?」

社長:「1981年以前に建てられた建物は、耐震診断を必ず受けるようにすすめるのが大事だね。そして診断の結果次第では、耐震改修を検討してもらうことを提案しよう。」

美咲:「耐震診断や改修を説明するときに気をつけることはありますか?」

社長:「そうだね、難しい専門用語を避けて、お客様が安心して理解できるように話すこと。例えば『この建物は古い基準で建てられているから、耐震診断を受けることで地震に備えられますよ』と伝えれば、納得してもらえるはずだよ。」

美咲:「ありがとうございます!これからは自信を持って説明できそうです。」


美咲:「社長、耐震診断についてお客様から相談を受けたんですが、どこに相談すればいいのか分からなくて…。信頼できる相談先ってあるんですか?」

社長:「もちろんだよ、美咲さん。まず、耐震診断に関する公的な相談窓口が都道府県や市町村にあるから、そこを案内するのが基本だね。これらの窓口では信頼できる情報を提供してくれるし、適切な業者を紹介してくれることが多いよ。」

美咲:「公的な窓口以外にも相談できるところはありますか?」

社長:「そうだね。一般財団法人日本建築防災協会や一般社団法人日本建築構造技術者協会(JSCA)といった専門機関もあるよ。こうした機関では、耐震診断や改修について相談できるだけでなく、信頼できる建築士事務所を教えてくれるんだ。」

美咲:「なるほど!でも、実際に耐震診断をお願いする業者を選ぶときに気をつけるべきことって何ですか?」

社長:「いい質問だね。業者を選ぶときは、次のポイントに注意するといいよ:」

  • 信頼性:業者の評判や過去の実績をチェックする。

  • 資格:建築士などの資格を持っている業者を選ぶ。

  • 説明の明確さ:診断方法や改修計画をわかりやすく説明してくれるか確認する。

  • 見積もりの透明性:費用の内訳が明確になっているかを見る。

美咲:「なるほど!特に費用の内訳が分かりやすいかどうかは重要ですね。」

社長:「その通りだよ。それから、設計事務所とリフォーム会社の両方に相談するのもおすすめだ。設計事務所は耐震補強に関する専門的なアドバイスをしてくれるし、リフォーム会社は助成金や補助金の申請を手伝ってくれることが多いんだ。」

美咲:「設計事務所とリフォーム会社、それぞれの役割があるんですね。助成金って具体的にどんなメリットがあるんですか?」

社長:「助成金を活用すれば、耐震診断や改修にかかる費用の一部、あるいは全額をカバーできる場合があるんだ。特に一定の条件を満たせば、無償で耐震診断を受けられることもあるよ。」

美咲:「それはお客様にとって大きなメリットですね!耐震診断自体の意義も改めて知りたいです。」

社長:「耐震診断の意義は、建物の耐震性を正確に把握して、大規模地震に備えることだ。診断を受ければ、どこを補強すべきか明確になるし、お客様の安心感にもつながるよ。」

美咲:「ありがとうございます!これでお客様にも自信を持って案内できそうです。」


美咲:「社長、地震対策の構造についてお客様に説明しなきゃいけないんですけど、耐震構造とか免震構造とか、違いがよく分からなくて…。教えていただけますか?」

社長:「いい質問だね、美咲さん。地震対策の構造には、耐震構造、免震構造、制震構造の3つがあるんだ。それぞれ特徴があるから、順番に説明するよ。」


耐震構造について

美咲:「まず、耐震構造って何ですか?」

社長:「耐震構造は、柱や梁を強くして、建物全体で地震の力に対抗する仕組みだよ。一番基本的な方法で、コストも比較的低いんだ。」

美咲:「それだと、建物は地震に強くなるんですか?」

社長:「ある程度強くなるけど、地震の力をそのまま受けるから、特に上の階では揺れが大きくなるリスクがあるね。」


制震構造について

美咲:「じゃあ、制震構造はどう違うんですか?」

社長:「制震構造は、建物の中に『制震装置』を設置して揺れを軽くする仕組みだ。超高層ビルやマンションでよく使われているよ。」

美咲:「耐震構造と比べて、効果はどうなんですか?」

社長:「揺れを減らす効果は耐震構造よりも高いけど、免震構造ほどではないんだ。コストは中程度で、耐震構造よりは高いけど、免震よりは安いんだよ。」


免震構造について

美咲:「じゃあ、免震構造が一番地震に強いんですか?」

社長:「その通り!免震構造は建物の基礎部分に『免震装置』を取り付けて、地震の力を建物に伝わりにくくする仕組みだ。揺れがとても小さくなるから、病院や超高層マンションでよく使われているよ。」

美咲:「でも、それだけ効果があるなら、全部の建物に免震構造を使えばいいんじゃないですか?」

社長:「それが、コストが高いんだ。だから、地震の影響を特に避けたい建物に限られることが多いね。」


まとめ

美咲:「社長、簡単にまとめると、こういうことですか?」

  1. 耐震構造は、柱や梁を強化して地震に耐える仕組み。コストが低いけど、揺れは直接受ける。

  2. 制震構造は、制震装置で揺れを軽減。効果は中程度で、ビルやマンションに多い。

  3. 免震構造は、基礎に免震装置を設置して揺れを大幅に減らす。コストは高いけど効果抜群。

社長:「その通り!これを頭に入れておけば、お客様にもわかりやすく説明できるはずだよ。」

美咲:「ありがとうございます!これで安心して説明できます!」