ミュージカル『ジェイミー』を見てきた
(2022.09.02追記あり)(1年経って読み返したら付け足したいところがあったので)
初ブリリア。2回行ったけど田村芽実ちゃんのFC先行だったのでどちらも1階の良席で噂の謎の柵は体験できませんでした。しなくていいけど。
公式サイト
あらすじ(公式サイトより)
初日と26日のソワレに行ったので、キャストは森崎ジェイミーと田村プリティ固定でディーンがW両方という感じでした。正直なところあんまり期待してなかったんだけど、個人的には大ヒット。定期的に見たいなあという感じです。
開演前、幕間、終演後は撮影OKでした。
初週はカテコも撮影タイムがありました。
興奮しすぎてブレてるわぼけてるわ笑
以下感想。
ジェイミー
全体的に結構前向きで強いなという印象。楽しい自分を作ってはいるけど、それが冷静な自分の延長にある感じ。
途中でミミと出会ってから、自信がないジェイミーがいつものジェイミーを作るよりも、武装したミミでいる方が良いのではないかってなる辺りは高校生っぽい純粋な脆さがあるなあと思った。変身願望的なね。自分じゃないから強くなれるという感じ。
父親と再会した後のヒューゴと話して、そう思いたいのになんでこんなに痛いのって言っているのも、そう在りたいのを認めてもらえないことの痛みと、どんなに痛くてもそうでしかいられないっていう葛藤を感じてめちゃくちゃ泣いた。
最後の「僕がエスコートするの!」は最高に彼らしくて笑っちゃった。
プリティ
最初のカミングアウトに引いていながら「普通じゃないけどそれが私たち」というのがすごく素敵。最初から最後まで"ただのジェイミー"が好きな本当に良い友達。個人的には「馬鹿なんじゃない。脳みそが学校向きにできてないだけ」が大好きでそういう前向きな切り返しができる辺り本当に賢いんだなって思う。
ジェイミーと同じようにプリティもクラスの輪にあんまり馴染めていない子だけど、そこに入りたいとも思っていない気がするしそう在る自分もあまり嫌いじゃない(どころか気に入ってる)のだと感じた。
あと、自分をちゃんと持っている強くて素敵な女の子。ジェイミーのことを全肯定するわけじゃなくて、ずっとそのままのジェイミーが大好きで、貴方のままじゃだめなの?って言い続けてくれる。自分がしっかりしているからこそ、自分の大切にしたいものは持っているべきなんだって人のことを支えられるのかなと思う。
ディーン
めちゃくちゃ嫌な奴だけど個人的には嫌いじゃない。
自分が小さい人間だと誰よりも分かっている。だからジェイミーにすごく突っかかってる。前向きなキラキラした人間のことが大嫌い。
プロムのところで、今まで散々ジェイミーのこといじめてきているんだけど、一人になったときに「どうせお前だって」っていう言い方をするのは、自分のことをそう見られる人間なんだと思っているんだなって思った。
どうせ最後だから楽しく終わろうと言われて、少し吹っ切れたところがあるのかな。自分からちゃんとジェイミーを誘ってプロムに向かうのが、吹っ切れた彼らしいと思う。本当はちゃんとしたい人。ジェイミーが一歩踏み出したように、ディーンはそこで一歩踏み出したんだろうなって。彼が救われてよかった。
Wディーンそれぞれプロムの印象は、流司くんのディーンはそれまでのディーンを受け入れたジェイミーのありのままをしっかり受け止めて誘う感じで、昌暉くんのディーンはいい所も悪い所も全部認めあった友達同士になって歩き出す感じだった。相互受容↔対等って感じ??
親からのクレームのくだり、ディーンが仕掛けてるんだけど、多分ディーンが親に言う→親が学校にクレーム入れるの流れだとすると、そういう家庭で育っているからはみ出した人に対して当たりが強いんじゃないかなって思った。
ジェイミーとディーンは友達なのかな。分からないけど、きっとジェイミーはディーンのことなかったことにしたくないと思っている気がする。だって「気付かないわけない」から。
プリティは親友で、ジェイミーを支えてくれる人という感じだけど、殴り合って友情を深めるのはディーンなのかなと思った。
クラスメイト
2幕冒頭から結構平然と受け入れている。
結構みんな高校生っぽく「楽しければ何でもいい」というムーブだから、新しい楽しいことを見つけたら"最高"ってなる。そういう子たちだから、ドレスを着てプロムに来ることを「いいじゃん!」って平気で言えちゃうところがよかった。
プロムでプリティが言い返してるときに後ろでいい笑顔になっていくベックスとかディーンの嫌がらせがどんどんエスカレートしていくのにわりと序盤から怒っていそうなベッカとか、こういう子いるわ~って感じですごく好き。
男子も楽しいことがしたいから一緒にいるって雰囲気がとても好きでめちゃくちゃ可愛かった。
ミスヘッジ
どのシーンも靴が素敵。
「ここであなたたちに進路指導をするのが本当に私の第一希望だったと思う?」という台詞。大人になるにつれて現実を受け入れるという名目で色々なものを諦めてきた人なんだと思った。
ミスヘッジ自身が、「まともな大人になるということは、自分らしさを少なからず捨てる、周りが認めてくれる形である必要がある」と思っているのではないかと思う。
ミスヘッジは先生=世間が認めるまともな大人である上でそういう靴を履いている。周りが受け入れてくれる自分を作ったうえで、自分の好き、こう在りたいを表現しているのかなと思った。(って書いたけどもしかしたら諦めきれなかった何かかもしれない)
周囲は認めてくれないかもしれないけど自分らしく生きたいというジェイミーと、世間に認められる形の中で自分らしさがほんの少しだけ滲み出るミスヘッジが対照的。自分らしく在るときのジェイミーとミスヘッジの靴が似ているのはそういうことなんだろうなあって思った。
何よりスーツに馴染んだ黒パンプスしか履いていないのなら、彼女の物語上の役割は無くなってしまうよね、という感じ。
最初は靴を褒められて「ありがとう」と返すのに、最後靴を褒められて「あなたも」と返すのがよかった。彼女がジェイミーの現実をちゃんと認めてくれたんだなって。
あとあと考えてみたけどこの台詞たぶんプリティの「私は絶対着ないけど、あなたにはとっても似合ってる」的なやつと対になってるんですね。立場が違っても同じ靴を履いてお互い褒め合うことはできるし、同じ立場で仲が良くても同じ服を着る必要は無い。だけどその靴を、服を身につけているあなたはとても素敵だと認め合うことはできるんだよなぁっていう簡単そうで難しい多様性の受容の話なのかもしれないしそうじゃないのかもしれない
ドラァグス
多分ジェイミーと同じように壁を越えてきた人たち。中の人たちはミュージカル界のすごい人たち。歌唱力の暴力でもう圧巻の一言だった。全員レミゼで見た!!って感じ。嘘。吉野ジョルラスだけ見てないです。そんな話はどうでもいい。
ヒューゴのバス停のシーンが優しすぎる。察してくれて、やさしいこと言ってくれるのが本当に良い大人だなあと。
落ち込んでいるというか、どこに向かえばよいのかという漠然とした不安感、孤独感に寄り添った上で「始まりも終わりもあなた次第」って背中を押してくれるの。本当に最高だった。
ジェイミーの全部捨てて逃げてしまいたいっていう言いようのない気持ちとか、孤独感、どうしろってんだよっていう気持ち。そういう時にああやって言ってもらえたら強くいられるよなと思った。
アフトでめいめいも言っていたけど、人生の先輩たちが人生の先輩の役で「乗り越えるの」って歌うの本当にすごい。すごかった。
全体的に
自分自身をさらけ出す時の覚悟とそれを否定される痛み。何かを伝えようとかわかってほしいと思った時に一歩踏み出す孤独感とか、ジェイミーが感じている気持ちは、(全く同じではないけど)誰しも感じたことがあるのではないかなって。でも、そういうことがあっても彼が明るく前向きだし、「それでもこれがやりたい」と言えるという強さは、ママやレイがちゃんと受け止めてくれているからなのだろうなと思いました。
自分らしく生きるのって難しいなって思うのと同時に、自分らしく生きたいなと思うし、それってすごくかっこいいなと。その分大変なことはあるし、越えなきゃいけない壁もある。でもそれを超えた先は、多分すごく生きやすい、とか。そういうしがらみを「どうでもいい」と思えるようになったらその分強く生きられるのかな、とか。
ジェイミーの落ち込んだときの痛さも分かるし、その時に助けてもらえる言葉も、一言一言素敵だった。本当に自分が落ち込んでいるときとか、つらかった時に、この言葉がほしかったなというのを的確にもらった気がしました。初日で隣の席のお姉さんがめちゃくちゃ泣いてるのを感じながら、分かる、分かるぞ……!ってなってました。
ここまで書いておいてママやレイに触れるのを忘れたことに気づきました。2人ともとっても素敵な大人でした。大好き。
結末的には最高にハッピーなやつです。このご時世というのもあって追いチケしなかったけど、本当はあと2回くらい行きたかった。頼む再演してくれホリプロさん。せめて円盤化してくれ!と言う気持ち。
さて、次に推しが見れるのはいつになるだろうか。