人は視界に見える物全てを注視することはできない、視野の中心部しか意識できないので、高速で目玉を動かしてサーチライトのようにスキャンしているのだ。サッケード運動という。この本を読んで、優れた絵にはこの視線を動かす道筋を誘導するような仕掛けがあるのだと知った。静止した絵を見ているはずなのだが、実は場所から順番に一筆書きのように視点を移動していくようにうまく設計されているのだという。また、横書きの文章を読む際には視線は左から右、また左に戻って少し下からまた右、というようにZ字状に素早く目を動かしている。したがってまず左上の方から最初に見ることに慣れているような気がする。