【58歳でFIREする100日前】-78days

クラス会は、とても例の話を切り出せるような雰囲気じゃなかった……
学級委員長のグッチィ……今は大手都市銀行の融資課長……なんとなく委員長のままだ。
医者の息子、ノブオ……予定通り医者になったらしい。
いつも腹をこわしていたコイズミ……相変わらず内臓が弱そうだ。
ひと目見て、名前が浮かぶ奴はまだいいんだけど……顔を見てもちっとも思い出せない奴が何人もいる……誰だっけなんて名前聞くのもなんとなく悪いし……
ヨシツネ、マルオ、おまえら、そいつが誰だかわかってしゃべってんのか？

『20世紀少年』浦沢直樹：小学館

自分が幹事として声をかけた同窓会では、俺が早期退職の予定のことを言わないつもりと書いた。「大学出てから会社員として労働を捧げてきて、60歳で定年、65歳で年金暮らし、食っていくために給料安くても働かなきゃ…」あるいは「学生恋愛して卒業後に結婚、仕事を辞めて専業主婦となって旦那の転勤について地方に行き、やっと子育てが終わったと思ったら今度は実家の親の介護よ…」という世代だ。

「1億円が貯まったので還暦2年前だけどリタイアして、不労所得で死ぬまで好きなことだけして暮らすんだ」なんて言ったらどうなるか。
皮肉混じりに羨望されるか妬まねるか、あるいは説教されるか嘲られるか、いくら考えてもネガティブな反応しか思いつかない。だって俺がたどり着いたこの価値観に、ちょっと話しただけでは共感してもらえる気がしなかったから。

でも、今日考え直した。
意外と、同じような価値観のやつもいるんじゃないだろうか。
自分だけが資本家マインドに気づいているなんて、おこがましいんじゃないか。
むしろすでに先を行っている奴がいて、経験談を聞かせてもらうような展開だってあるかもしれない。