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怪談GPTにおけるKnowledgeデータベースファイルの活用

怪談GPTを更新した。怪談GPTは簡単に言えば、ChatGPTを用いたAIによる出まかせ創作怪談エンジンである。OpenAIのGPTs機能を用いている。

怪談GPT
https://chat.openai.com/g/g-acEl5DPE4-guai-tan-gpt

創作、つまり実話怪談風の短編怪奇小説なので単に読んでもらえばいいという文章系エンタメなのだが、AIが吐き出す文面がちゃんとエンタメになっているかの実験でもある。

よくわからんので実験するよ

さて、今回はGPTsの設定にKnowledgeという項目があるので、これを使ってみる。ちょっと(3分ほど)調べてみたところ、どうやら出力時に参照するデータベースを用意することができるらしい。

最初はこれに書籍の本文とか突っ込んでおけば、ファインチューニングできるのかなと思ったが、どうもそうではないようなので(詳細はしっかり調べていないのでよく知らない)、場所とか名前とかのデータベースを用意すればいいのかなと実験することにした。

簡単な実験なのですごく単純に都道府県名や県庁所在地名を入れてみた。今までは都内とか山梨とかに偏っていた。なおまだ人物名はデータベースとして収録していないので、やたらと佐藤さんと鈴木さんが出てくる(設定のサンプルに入れているから)。

その結果が反映されているのかを確認するために何話か出力させてみた。今までよりも少しは全国規模でいろいろなことを言ってくるようになった。しかし、単に地名を入れているだけなので、例えば埼玉県に海がないとかそういう情報まで反映してくれるかについては疑問。運用しながら考えるしかないかな。

とりあえず変更後のサンプルを数話あげておく。

サンプル1

岡山県のひっそりとした山間部にある古い民家の話である。この民家は、長年にわたり無人で、地元の人々は不気味な噂を囁いていた。ある日、東京から引っ越してきた若いカップル、佐藤さん夫妻がこの家を購入し、新たな生活を始めた。

引っ越してきた初日の夜、佐藤さんは家の奥から不思議な音を聞いた。彼は妻にそのことを話すが、妻はただの風の音だろうと言った。

しかし、夜が更けるにつれ、家の中の雰囲気はどんどん不気味になっていった。深夜、佐藤さんはトイレに起きた際、廊下の突き当りに白い着物を着た女性の幽霊を見た。彼女は長い黒髪で顔を覆っており、静かに浮遊していた。

「誰だ!?」と佐藤さんは叫んだが、幽霊は応えずに消えた。彼は急いで妻を起こし、二人で家の外に出た。外は濃い霧に包まれており、家の周りには曲がった木々が不気味にそびえていた。

翌日、佐藤さんは近くの村の人々にこの家について尋ねた。すると、昔この家で若い女性が不幸な死を遂げたという話を聞かされた。それ以来、この家には不気味な出来事が続いているという。

佐藤さん夫妻はその日のうちにこの家を離れ、二度と戻ることはなかった。この古い民家は今もなお無人のままで、地元の人々は誰も近寄らない。そして、この家にまつわる不気味な噂は今もなお囁かれ続けている。

サンプル2

青森県の海岸沿いの小さな漁村での話である。この村には、昔から「幽霊船」の伝説が語り継がれていた。ある晩、村の若者、伊藤さんが海岸で釣りをしていると、霧の中から古びた木造の船が姿を現した。

伊藤さんは最初、船が漂流してきたのだと思った。しかし、船の甲板には人影が見え、その姿は霧に煙るように不鮮明だった。船は静かに村の近くまで漂い、突然、不気味な歌声が聞こえてきた。

「これは…幽霊船の…」と伊藤さんは恐怖に震えた。その歌声は、昔この海で遭難した船乗りたちのものと言われていた。彼は急いで家に戻り、家族に話をしたが、誰も信じなかった。

翌日、村の漁師たちが海に出ると、海岸には古い木製の船の残骸が打ち上げられていた。それはまさに伊藤さんが見た幽霊船だった。しかし、不思議なことに、その船の残骸は何十年も前のもののように朽ち果てていた。

この出来事以来、村人たちは海に出るのをためらうようになった。そして、その年の冬、村は大きな漁業の不漁に見舞われた。伊藤さんはこの出来事が幽霊船の呪いではないかと恐れ、村を離れた。

この話は今も村で語り継がれており、霧の深い夜には村人たちが恐れを感じるという。幽霊船の伝説は、青森県のこの小さな漁村にまつわる不気味な謎として残っている。

サンプル3

北海道の山間部に位置する小さな村の話である。この村には、遠くからも見える古い洋館があった。かつては裕福な商人が住んでいたが、今では誰も住まない廃墟となっていた。村の人々は、その洋館には怪しい噂があると囁いていた。

ある冬の夜、大学生の中村さんと友人たちは、この洋館の探検を計画した。彼らは興味本位で洋館の中に入り、廃墟の探索を始めた。館の内部は埃が積もり、古い家具がそのままになっていた。

彼らが2階に上がると、一つの部屋のドアがゆっくりと開いていた。部屋の中は驚くほど整頓されており、古いピアノが置かれていた。突然、ピアノの音が響き始めたが、誰も触っていなかった。彼らは恐怖に震えながらも、さらに奥の部屋へと進んだ。

奥の部屋には、壁一面に古い肖像画がかけられていた。その中の一つの絵に、中村さんは釘付けになった。絵には、彼の曾祖母とそっくりの女性が描かれていた。彼はこの家のことを曾祖母から聞いたことがあり、この家には彼の家系に関連する何かがあると感じた。

その時、彼らは上階から物音を聞いた。急いで上階へと向かうと、そこには見知らぬ老婦人が立っていた。彼女は中村さんに向かって微笑み、「ようやく来てくれたわね」と言った。彼女の姿は霧のように消えていった。

中村さんはこの出来事を調べるため、曾祖母の日記を探し始めた。日記には、曾祖母がこの洋館の主人の愛人だったこと、そして彼女が不幸な出来事に巻き込まれたことが書かれていた。彼女はこの家に縁を切られ、その後不幸な死を遂げたとされていた。

この発見により、中村さんは家族の過去に隠された秘密を知ることとなった。しかし、その洋館には今もなお不思議な出来事が報告され続けており、村の人々は誰も近寄らない。中村さんの体験は、彼と彼の友人たちにとって忘れられない怖い思い出となった。この洋館と彼の家族の秘密は、今もなお謎に包まれたままである。

実験を終えて

地名については今までのサンプルでは出てこないような場所が出てくるようになったので、knowledgeデータベースファイルを参照しているようだ。となると、もう少し活用したくなるね。

なお、挿絵を描いてくれない場合もあるけど、その場合は「挿絵を描いて」とするとすぐ描いてくれる。有能。偉い。それなら忘れるな。

それはともかく、とりあえずはそこそこの長さの不思議な話を書いてくれる。まぁ、陳腐なものも多いが、これをどうやってもう少しエッジの立ったものにしていくかが現在の課題になっている。その辺り、knowledgeデータベースファイルの活用次第でもう少し楽しめるものになると嬉しいなぁ。

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神沼三平太@怪談を書く人
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