未知なる生命体
ある星に、
おどろくべき進化をとげた
優れた生命体Aがいた。
その生命体Aは、
進化の過程で
必要な器官を残し、
不必要な器官を退化させた。
Aは、
科学を進歩させ、星を支配していた。
Aが星を飛び出し、
他の天体にも
移動できるようになった頃、
Aと同じルーツの生命体が
不必要なものを残したまま
別の星に存在していることを知る。
それは、Aが別の道を辿った場合の
Bという生命体の結果だった。
Aはその生命体Bが暮らす星へと
降り立った。
AとBはまるで違っていた。
Aにとっては
不必要になってしまった器官が
Bには揃っている。
それはかつての
Aにも存在したとされる
五感とよばれる器官を揃え、
何より「カラダ」というパーツが
大部分を占めていた。
Aにとっては、
全く奇妙な生物で
原始的な存在だった。
Aという生命体は、
脳が大部分を占めていて、
それを支える触覚のような
か細い肢体があるだけだ。
知覚は全て脳が直接行うため、
Aのような不必要なカラダは存在しない。
Aはその奇妙な生物Bと対峙した時、
その奇妙な生命体に驚いていたが、
Bはためらうことなく、
即座にAを捕獲し、
やがてAを食卓に並べて
美味しく食べた。
「このタコうめーーー」
何万年も前、地球を汚してしまった
一部の人類が星を飛び出した後、
Aという生命体に進化を遂げたが、
絶滅されるとされたBという生命体、
「人類」は
その後地球を守り、
「カラダ」という感覚を残して
未だ存在していたのだった。
(終わり)
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(あとがき)
また「タコ」というのは
どこからかやってきて、
未だに地球にいる存在だったりして。
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