いじめられた。だから殴ってやった。①(全3話)
最初に言っておくけど、
暴力は反対だ。
そして、これは
ヒーロー誕生の物語ではない。
この後ずっと続く
僕の人生のほんの第一幕で、
このことがこの後の
人生に大きく影響している。
実はこの20年後、
「会社に行くのが怖くなる」
という出来事が待ち構えている。
「いじめられた、
だから殴ってやった。」
小学校の時、
初めて嫌なやつと出会った。
僕はもともと大人しい、
引っ込み思案な子だった。
すぐに泣く子だった。
そいつは、
僕の反応を見ながら、
ちょこちょこ嫌がらせをしてきたんだ。
僕だけじゃなく、
周りにもそうしていた。
毎日毎日、ネチネチと、
ヒットアンドアウェーのごとく、
押しては引き、
引いては押すを繰り返す、、、。
真剣に悩んだんだ。
今でもあの時の感情が蘇ってくる。
「このまま大人しくしているか、
あるいは、、、、」
意を決して、
ある大胆な作戦を立てた。
決行する場面を
想像した時、
心臓はバクバク、
唇は震えた。
作戦決行の時、、、
それは授業中だ。
突然立ち上がり、
一直線にツカツカと
そいつのもとへ向かう。
当然クラスメートの
全注目が集まった。
僕は拳を大きく振りかぶり、、
ガツン。
次の瞬間、
そいつは椅子ごとぶっ倒れ、
唖然として天井を見ていたんだ。
その日から周りが一変した。
僕を見る目が変わった。
でも変わったのは僕だった。
僕はその日から
負けるのが怖くなった。
もう大人しくしていられない。
大人しくしていたら、
付け込まれる。
だから、強くなるんだ。
負けられなくなった。
本当の自分を忘れて、
僕はどんどん鎧を纏った。
中学に入って、
柔道部に入った。
もう誰も
僕をいじめたりしない。
でも、もう本当の自分を
忘れていたんだ。
20年後のある日。
僕は会社に行けなくなった。
自分で言うのもなんだけど、
売れっ子営業マンだった。
そして、
勝手にエースを背負っていた。
負けるのが怖かった。
売上を落とすのが怖かった。
誰にもいじめられていないのに、
震えていた。
僕は完全に無理をしていたんだ。
あの日から。
そのことに気づいたのは、
20年経ったその時なんだ。
でも、大切なことを学んだんだよ。
全ては必要なことだったんだ。
嫌なやつや、嫌なことは
これからもある。
だけど、
それは怖くないということなんだ。
それは教えてくれている。
その次の展開があることを。
僕を創る重要な要素は、
嫌なやつが創ってくれた。
そのストーリーの
重要な登場人物で、
重要な出来事なんだ。
そのことが今の僕を創り、
これから起こることに
必要なことなんだ。
嫌なやつや、
嫌な出来事には、
戦ってもよし。
逃げてもよし。
そして、
何もしなくてもよし。
なんだ。
そこは
エンディングじゃない。
君のストーリーを
進めてくれる重要な出来事なんだ。
これを知っていたら
自由になれる気がする。
このことを書くことも、
必要な出来事なのかもしれない。
追伸:
僕はその後、
この嫌なやつと友達になった。
いっぱい一緒に
いろんな思い出を共有した。
でもその話に触れたことはない。
もしかしたら、
忘れているかもしれない。
周りからすれば
小さな出来事だったかもしれない。
僕にとっては
重要な出来事だった。
ごめんなさい。
そして、
ありがとう。