会社を辞めた、そして起業した③(全3話)
生み出し、そして手放した
「会社を辞めた、そして起業した」
エピソード③
(エピソード①はこちら)
この話は、
サクセスストーリーではない。
だけど、
僕にとって
本当に愛おしい
大切な経験だ。
きっと今必要な誰かには
感じてもらえることがあると思う。
今日の話の結末は、
生み出した、
だけど手放したという結末。
会社を辞めて、
2ヶ月間、人の悩みを聴き続ける日々。
夢中になって
いたけれど、
焦りも不安も
本当は感じていた。
だけど、
「俺は今これをやりたいんだ」
と、もう1人の引っ込み思案な僕に
協力させた。
ある日、
点と点が繋がる。
僕にはアイデアも、
実績も、
専門性も、
肩書きもなかった。
ただ、
「相手の悩みを理解して、
それを相手が手に入れる役に立つ」
という在り方と、
「僕のできることで
誰かの役に立てるだろうか?」
この答えあわせをするだけだった。
悩みを聞いていた人たちの中に、
いろんな知識やスキルを身につけて、
たとえ実績があっても、
進めない人たちが
いることに気が付いた。
僕には何もなかったが、
2ヶ月の間で、
僕という人間を
信用してくれるようになっていたんだ。
話は変わるけど、
僕は自転車の乗り方を
教えるのがうまい。
いや、乗せ方がうまい。
4人の子どもたちは
3、4歳の頃、
数時間で自転車を
乗れるようになったし、
親戚の子どもや、近所の子どもも
乗れるようにしてしまうほどだ。
理屈はこうだ。
自転車の乗り方を
いくら教わっても
自転車には乗れない。
自転車に乗る
唯一の方法は自転車に乗ることだ。
「体得」という言葉がある。
文字通り、体験で会得する、
または体で覚えることだ。
僕は営業も、柔道も、料理も、
文章を書くことも、愛することも、
やはり自転車に乗ることも、
体で覚えた。
だから、
僕が手助けしてあげることは
教えることではなく、
自転車に乗せることなんだ。
この理屈で、
僕はその人たちを
一週間無料で
サポートすることにした。
誰だって、
自転車に初めて乗ることは怖い。
でもその先に
見たことのない景色が待っている。
スノーボードを始めた時、
僕は乗り方を教わらず、
リフトに乗って、
上からまっすぐ板に乗って滑り降りたんだ。
幸い怪我はしなかったけど、
乗る前と乗った後では、
得たい情報が変わる。
体験が新しい課題を見せてくれる。
そういうわけで、
行動した先に答えがあり、
その答えとは、
いいも悪いもない。
ただ成果への一歩を踏み出している。
体験が視点を変えてくれる。
一週間サポートした人の中には、
直後に売上が上がる人もいたし、
掲げた目標を達成する人もいた、
本当にやりたいことを
見つける人もいた。
一方、僕に方法を求めた人は
結果が出なかった。
当然だ。
自転車に乗らないから。
そして、
ポイントがわかったんだ。
「行動できない人はいない。
だけど、行動できない。」
そして、
信用は信頼に変わっていたんだ。
僕はその人の悩みを
今一番近くで理解していて、
その人が助けを求めるとしたら、
目の前の僕しかいないんだ。
「人は信頼で買う」
僕は、「アクションマスタープログラム」
という商品を生み出した。
それは、
「レンタルなんもしない人」ではなく、
「レンタルアクションさせる人」だ。
方法は役に立たないから、
方法を売らない。
解決策は自分で見つけるものだから、
解決策も売らない。
僕は、
僕とこれから一緒に進む
体験を売ることにしたんだ。
自分そのものの商品ができた。
小さな起業が始まったんだ。
「行動した先に答えがある」
この言葉をこの後、
何度も何度もサポートする人たちに
伝えることになるんだけど、
この言葉は
自らとサポートした人たちが
体験した生きた言葉になったんだ。
もともと何もなかった。
でも、ゼロから
生み出すことができた奇跡。
そして、
その人たちと一緒に進んだ日々、
喜び合った日々、
劇的に変化した人や、
成長した人たちが、
僕に体験したことのない喜びを
もたらしてくれた。
だけど、1年半後、僕はこれを
手放すことにした。
体験が視点を変えた。
僕はもう一度、
スタート地点に立っていた。
もう一度、
何も持っていなかった。
もう一度、
誰もいなかった。
僕はまだ何にも体得できていない。
体得する途中なんだ。
それは自転車に乗ったからこそ、
視点を変えてくれた。
最初に言ったけど、
これはサクセスストーリーではない。
過去の栄光にしがみついた話ではない。
途中なんだ、ということ。
「僕は嫌だ」と言ったあの時から
ずっと続いている道だ。
追伸:
何もないと言ったけれど、
それはもう一度態度を改める戒めなんだ。
僕には会社を辞めてから、
いやその以前も、
素晴らしい経験を
させてくれた人たちがいる。
それは、
僕の人生の宝物だ。
僕の引き出しには
いっぱい入っている。
その全てが愛おしいんだ。
その全てが愛おしいんだ。
(エピソード②はこちら)
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