コニシ課長。いったい、なんのはなしですか。
私はこの日、コニシ木の子課長の記事を見ていた。
学生時代に学校でよくある体育館での表彰式。課長はあの日の思い出を語るように、それでいて思考を垂れ流すようにフラフラと、あの表彰式で面白かった彼の話を記事にしていた。
やっぱ課長の友達ってヤバい人ばっかりだなと私は思わず笑った。
記事に登場した彼の名前はもう忘れた。ポップさんでもバザーさんでもない。忘れてしまったから今回は適当に今思いついた綾鷹くんという名前にする。
課長曰く、綾鷹くんは超人だった。彼は表彰状を取りに行くために登壇するのだが、校長が待つ壇上までを『けんけんぱ』で向かった。
そう、階段も全てけんけんぱである。1歩たりとも歩きはせず、なんなら『高速けんけんぱ』だ。彼は降壇する時も1度たりとも気を抜かずけんけんぱで駆け下りた。さすが課長の友達だ。強者である。
世の中侮れないな。なんの話しかも分からないその記事に私は思わず唸った。
そんな記事を読んでいたので、左斜め後ろの席に座る課長からの質問には秒で答えることができた。
「蒔倉くん、綾鷹のことは知ってたかな?」
私は課長のその問いを待っていたのかもしれない。
「あぁ、けんけんぱの話ですね。読みましたよ」
「読んだんだ。さすが蒔倉くんだね」
課長は満足気に笑っていた。
あんな面白い記事、最後まで読まずにいれる方が🦑れている気がする。
そんな事を思いながら私は前を向いた。
ここはどこだか分からないが、とある教室。いや講義室か?割と広い。
そこには机が何列にも並べられ、沢山のnoterが座っていた。どうやら何か講義を受けるようだった。主催者は課長だろう。
私は最前列の一番左端に居た。私の列が一列目であり、その列から左斜め後ろに一人飛び出た形で課長は席に座っていた。つまり、課長が主催者である事に間違えはないと思った。
するとまた課長に声をかけられた。
「そこでなんだけど、蒔倉くん。蒔倉くんの好きなnoterは誰かな」
私は、何がそこでなんだか、ここがどこでなんだか分からないまま、真剣に悩み答えた。
「んー文章が好きなオススメnoterさんは…豆島さんと…」
そういうと右のかなり後ろの方から、わっと驚きつつも歓喜している豆島さんの声が聞こえてきた。豆島さんもここにいたんだ。
私は立て続けに名前を挙げていった。
「あとは、青豆さんと…」
青豆ノノさんは同じ最前列の真ん中側に居た。たぶんあれは青豆さんだ。というか、青豆さん以外ありえないと思った。青豆さんは例の表情のまま、スンと姿勢よく前を向いて座っていた。
青豆さんの名前をあげるとあの表情のまま、青豆さんは私を見た。私はあの目にじっと見つめられて一瞬固まったが気を取り直して続ける。
「ティコさんと…」
ティコさんは私の右隣の列のやや後ろの方に居た。アイコンのままの美しさである。呼ばれたことにも気づかないほど机に向かって何か取り組んでいる。さすが教師、真面目なのかもしれない。…いや、コニシ木の子課長主催だから真面目なのかもしれない。もはや、緊張して固まっているだけの可能性すら考えられる。私はなぜか真剣な姿勢のティコさんが可愛く思えた。
「藤本柊さんも好きです」
残念ながら柊さんの姿は見つけることができなかった。もしかすると、三姉妹のお母さんだから忙しくて参加できなかったのかもしれない。
「もう一人…オススメさんがいるんです…」
だが、テンパっている私はなかなかあと一人が思い出せない。あと一人、伝えたい人がいるのに、思い出せないのだ。もどかしさが全身を駆け巡る。諦めたくない、あと一人、私の五本の指に収まる人があと一人いたのに…。
「すいません、思い出せないそうにないです」
残念ながら時間内に思い出すことは叶わなかった。
しかし、この質問が何を意味するというのだろうか。私は再び前を向いた。
1枚のプリント用紙が配られる。そこにはいくつか問題が書かれていた。
そういう事か。いや、どういう事だ。
確かに問題と文章的な関連性はあるかもしれないが、私がみんなの前でオススメnoterを言う必要はあったのか…
…。
あぁ、そうか、これは夢か。
みんなに自分のオススメnoterさんを伝えたいという深層心理が夢に現れたのか。
そしてたぶん、豪華メンバーが揃うnoteの表彰式が羨ましくて、自分も参加して会ってみたくて、こうして夢にまで見たのか。
この辺りで思い出した。
表彰式、そうだ。あの時思い出せなかったもう一人。吉穂みらいさんだ!!!
なんであんな文才溢れる人を思い出せなかったんだバカヤロー!
私はもう一度、指折り数えた。ピッタリ5人だ。そう、今、私の中で創作における憧れの人。この5人だ。最後の欠けていたピースが埋まり私の心が満たされる。
名前をあげるだけで満たされるなんて
#どうかしているとしか
ちなみにコニシ課長は路地裏の雲の上の宇宙を飛び回っているため含めていない。特別枠だ。あの功績は尊敬してもしきれない。憧れる人というか『憧れ』そのものである。もう数えなくても入っているから。0から1を生み出したのだから。もはやゼロの人。始まり、原点にして頂点なのかもしれない。ここから更に頂点を超えて原点に戻るのかもしれない。よく分からないけど、とにかくヤバい人だから指に収める必要はない。そう数えるなんて無意味なのかもしれない。流動性。時が経てば何事も変化する。つまり、#どうでもいいか
こうして、私は良い目覚めとともに早朝から、この路地裏で記事を書き連ねている。
ただ一つ、気になっている。
ノノさんは本当にあの顔だったのだろうか。
そこだけが夢で唯一気になったが、あのノノさんや他の皆さんにも夢で会えたのだからもういいのかもしれない。次会う時まで心穏やかに過ごせる気がする。私はなんだか得した気分になった。
#なんのはなしですか
#どうかしているとしか
#どうでもいいか
#賑やかし帯
#パンにゃ鑑
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