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「当時の悔しい気持ちを堪えて意地でここまで来れた」 / Interview with Stubborn Father (by 3LA)

2019年にStubborn Fatherのアルバムをリリースしましたが、ここ最近ではCDが売り切れている状態が続いていたので2ndプレスということで仕様を変えて再プレスしました。
メンバーチェンジを経て新体制となってからレコーディングされた新曲「有形」をボーナスディスクとしてDisc2に収録した2枚組、限定150組でのリリース。
Disc1の内容は初回プレス時の内容の通りで変更はありませんが、フロントジャケットを変更。歌詞カードの仕様に関しても各曲の独立性と作品全体の繋がりをより明確に表現するための大幅な変更が加えられています。独自進化するハードコアが踏破する創造の山、その先へ。
このインタビューはリリース当時、2019年のものになります。

3LA:
まずは1stアルバム、完成した作品を一足早く聞かせてもらっていますが本当に独自進化だなと思いました。録音もいわゆる時代の流れも全部無視して攻めています。ある人にとってはたまらない音、またある人にとっては受け付けない音だと思います。今、この音でやろうとした理由はありますか?今回のこのインタビューはリリース前の回となるので、内容というより、活動の中心となっている大阪や自主企画[孔鴉-koua-]の成り立ちなんかについて聞いていきたいと思っています。

Shige (Vo/Stubborn Father):
"時代"や"今だから"とか、全く意識はしていなくて、意識している事は、僕達だから出来るハードコアの音。音を聴けば僕達の音源だと分かる事が大事だと思っていて、それが楽曲と音量とライブとリンクする感覚、聴いていてライブを想像してしまうようなリアルさを重要に考えています。

ライブではクリアなCDの音のように全てが綺麗に聴こえる訳ではないし、ライブがクリアなCDの様でも面白くないと思っていて、音や音質にも個性は出したいなと。姿勢や精神面でも、自分達のハードコアを追求したいと思っています。ハードコアを肩書きにしたり、激情ハードコアと呼ばれてもハードコアに変わりはない。音や歌詞が過激ではなかったり、アートワークもアパレルブランドのようなデザインのTシャツでもハードコアといわれているのを見ると不思議に感じる時がある。音でも昔の方が個性的なバンドが多かったように感じる。その当時の感覚は忘れたくなくて、メンバーが落ち着いてから、それを追求出来るようになり、やりたかったその感覚がここ数年でやっと出せるようになり、少しずつ形にしていく事が出来ました。

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3LA:
関西シーンの中ではいわゆるエモバイオレンスや激情系の音は、特に大阪からは近しいスタイルのバンドすらほとんど出てきません。Stubborn活動初期は同じような方向性をもっていたバンドはいたのでしょうか?また、活動の時期が長いからこその質問なのですが、一時的にでもそういったスタイルに近しいバンドが出現した時期などはあったのでしょうか?

Shige:
初期は全くいませんでしたね。皆無です。近しいといえばR3N7くらいでしょうか。でも、初期R3N7は、音は全く違うし、停止を繰り返してたので、ガッツリ絡む事まではなくて。メンバーは昔から知ってたんだけど。出現した時期さえもなかったですね。東京は、そういうシーンは根付いてて、音が違うイベントでも成り立っているように見えて。羨ましいと思ったりしたこともありました。

「誰かと同じ事をやって同じような景色をみても面白くない人生」

3LA:
バンドがいない=シーンが根付かない=リスナー絶対数が増えない、みたいな状況ってある意味ネガティブな状況だったとおもうんですが、それでも他地方のバンドとも関係を保ちながらここまで来れたのは何故なのでしょうか?

Shige: 僕が見てきた感覚では、当時の大阪は、音が違えども成り立っていて、それなりの集客もありました。僕らの単独企画[思想信念]も今まで10回行ったのですが5回目くらいまでは、毎回100人くらいは入ってました。でも、どんどん細分化されてきて、音は違えど良いバンドは良いと思って企画を続けてもどんどん集客が減ってきたんです。グラインドならグラインド、スラッシュならスラッシュみたいな流行りもあって、そういうのがどんどん盛り上がってきて、それは良い事だなと思ったけど、どこまでのリスナーに届いてるのかはずっと疑問でした。音に壁なんかないみたいな事を言う人達もいたけど、そう言っている時点で壁を作っているし、昔は誰もそんな事は意識はしていなかった。僕はそういうのは求めてはいなかった。それでもどんな場でも地でも自分達の音を出し続ける事にやる意味があると思っていましたし、誰かと同じ事をやって同じような景色をみても面白くない人生だろうなと思っていました。
でも、その細分化され始めた時には自分達がどう見られてるかの答えは出てたんでしょうね。その後のライブはいつもみんなポカーンて感じですよね笑 よく当時に聞いたのは、「何やってるか分からないけど、何か凄い。」みたいな感じでしたね。それでも感化されず、そういうのは置いてどんどん先へ先へと進もうと研ぎ続けました。そういった間に、ANCHORの鷲尾くんが僕らのDEMOテープをどこかで買ってくれて、電話かけてきてくれて、当時はDEMOテープに携帯番号を載せる時代ですよ笑 TIALA/FIXEDの柿沼くんが昔FIVE KINDS SQUAREってバンドをやっていたんですが、企画やコンピに誘ってくれたりして大阪外の激情ハードコアといわれるバンドと繋がっていきました。大阪ではシーンというものには無縁だったけど、そんな小さい数々の繋がりで存在を保てていたのではないかと思います。

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その中でも受け入れてくれる数少ない人はいました。FORTITUDEのVo.斉藤さんも、その一人で、口だけではない隔りを持たない人でグラインドの大きなイベントにも誘ってくれました。その日はグラインド以外は、僕らとTHE DEAD PAN SPEAKERSだけでしたね笑 SWARRRMの元Ba.フトシさんには、「俺らの音楽が本当に評価されるのは、俺らが死んでからだよ」とか言われてたり笑
2nd DEMOを出した時、右も左も分からない時代、大阪にNAT recordsがあったのですが、そこでWRESTLING CRIME MASTERのVo.グチオくんが働いていたんですが、DEMOを持って行ったら、「格好いいから俺が売るからどんどん持って来てよ!」って言ってくれて、元々知り合いでもないのに凄い売ってくれて本当に嬉しいかったのを覚えています。2nd DEMOはトータル700本くらい売れたのですが、そのうちNATだけで400本くらい売ってくれて本当に感謝しています。その時の、初めて恐る恐るDEMOを持って行った時の気持ちやその時の光景は今でも鮮明に覚えていて、その当時の始めた気持ちは忘れてはいけないと思っていますし、そういう数少ない人達が支えでもありました。

「ある店に委託していたのを余ってたら引き取ろうと思って行ったら、店頭にも出されていなかった」

大阪では僕らにとっては変わらない環境が続き、音楽とは何なんのかさえの疑問を感じながら活動を続けていました。ある時、Tシャツの在庫がなくなったので、ある店に委託していたのを余ってたら引き取ろうと思って行ったら、店頭にも出されていませんでした。売り手、音楽を広げる者としてのプロ意識やプライドはないんだなと思ったし、ここではどんな音出しても結局仲良くしてないと売っても広げてもくれない事の疑問と反面、そういう風に見られてる自分達の力不足を感じましたね。確かに、人との繋がりで成り立っている部分もあるが、そういう為の人付き合いは得意ではないし、そうする事が音楽を受け入れられ、評価される近道になるのならば余計に乗る気はしなかった。
じゃあここでやるにはもう自分達でやるしかないですよね。自分達を見失わず自分達の音を出す事は諦めませんでした。そういう事を経験していくうちに、この街のやり方に合わせようと活動をシフトする事にしました。

まず、大阪でライブをする事を減らしました。大阪のバンドである拘りは必要ないと思いました。そして、今までの小さな数々の繋がりが広がり始めたのがR3N7との企画[覚醒SURU]でした。その後のSeeKとより特化した企画をする為に[孔鴉-koua-]を立ち上げました。今なお出演バンドが県外がほとんどなのなはそういうことです。そろそろ根付いて欲しいですけどね笑

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「昔、僕達を無視してた人に、企画に呼んでくれよみたいな事を言われた時は、何をおかしな事を言ってんだこの人はと思った笑」

余談ですが[孔鴉-koua-]を重ねていくうち、名前も知られてきた頃に、昔、僕達を無視してた人に、企画に呼んでくれよみたいな事を言われた時は、何をおかしな事を言ってんだこの人はと思いましたね笑 当時の悔しい気持ちを堪えて意地でここまで来れたと思っています。しかし、そういう感情にさせてくれた人達がいたからある意味ここまで来れたかもしれないですね。ただそっち側の人間にならなくて良かったと思います。
企画をここまで持ち上げて来れた事を嬉しく思いますし、そうやって来れたのは、こんな僕達に協力して[孔鴉-koua-]に参加してくれたバンドの皆さんのおかげです。その協力があったからこそ、大阪のこの地に、その音、バンド、シーンなどというならばその欠片を提示する事が出来ている。力を貸してくれたバンドには本当に感謝しかありません。力を貸してくれた人達には何かあれば10倍にしてでも返したいと思っています。こういう音が好きなリスナーは大阪にもいるとずっと思っていましたし、企画を続ける事でそういうバンドが出てきて欲しいという気持ちもあります。
また、昔はそういうバンドはツアーで大阪は飛ばすと噂を聞いた事もあります。非常に残念な気持ちになりました。今では、続ける事でそういう事が少しは減ったようにも感じてきたし、今後も引き続き僕達からも協力出来たら良いなと思います。2017年には、東京でも開催させていただく事が出来ましたが、大盛況で終わり本当にありがたかったです。今年も東京、また台湾でも行うので楽しみにしていて欲しいし、[孔鴉-koua-]では、間違いなく素晴らしいバンドが出演するので、是非、足を運んで欲しいです。

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Stubborn Father / Stubborn Father (2nd Press: 2xCD: Ltd150)
下記URLより購入できます。

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