ボートレースの場外舟券売場は変なお客さんが多かった
公営ギャンブルの1つ、ボートレース。
そして競艇場に足を運ばずとも舟券が買えるし、同時に何場ものレースが楽しめるのが場外舟券売場。
ここで警備員のアルバイトをしているときに出会った個性豊かな(?)お客さんたちのエピソード。
脚が綺麗な女装おじさん
毎週末来ていた、女装おじさん。おじさんといってもおじいさんに近いくらいの年齢で、割と若い女性の服装をして週末に来ることが多かった。
ロングヘアーのカツラをかぶり、ミニスカートの下に網タイツ、ヒールのあるパンプスを履くのがテッパンの格好。無駄な肉がなく綺麗なふくらはぎが印象的だったものの、歩き方はガニ股でまさにおじさんのソレなのが残念。
特に周りの人に害はないものの、やはり目立つ。
ある日、場外舟券売場とは全然関係ない駅でそのおじさんを見かけたときは「ここまで遠征しているのか!」とちょっと関心したなぁ。
セクハラで会社をクビになりそうなおじいさん
券売機の前で立っていると、いろんな人が話しかけてくる。といってもほとんどが誰かと話したいだけの寂しいおじさんなのだけど。
ある日も例のごとく立っていると、突然顔がほんのり赤らんでいるおじいさんが近寄って来た。
「酔っ払いかな、めんどくさいなぁ」
と思ったものの、話しかけられたので要件を聞くことに。
「俺なぁ、今会社をクビになりそうなんだわぁ。なんでだと思う?」
突然始まったクイズに戸惑いを隠せない。
おじいさんはそんな反応を気にする様子もなく
「会社の女性にセクハラだとか言われちまってよう。わけわからんよなぁ」
とのこと。ぼーっと聞いていると、
「飲み会の時に『下着何色?』て聞いたのがいかんかったらしいんだわ。まったくなぁ」
って、そりゃ訴えられるわ!アウトアウト!
思わず吹き出してしまった。あのおじいさん結局どうなったのかなぁ。
盗撮が下手な青年
その日も館内の平和を守るため職務を全うしていた私。すると無線で突然
「不審な動きをしている人発見」
「館内を盗撮していた模様」
との連絡が。ほかの警備員とザワザワしながら続報を待っていると
「データを消すから警察は勘弁してほしい」
「盗撮していた理由も言いたくないとごねている」
など不穏な様子。何事かと思っていたけど、結局盗撮の理由が明らかになり
「探偵になるための専門学校の課題で隠れて撮影をしていた。絶対バレないようにと言われているので秘密にしたかった」
ですって。入館して割とすぐに不審者と思われた挙句に盗撮開始後即バレていたので、探偵のセンスがないのでは?と無線を聞いていた誰もが思っただろうな。
ボートレース中毒ブラザーズ
常連客は警備員と顔なじみになってくると日常会話くらいはする関係になることが多い。
そして同じ職場で働いている警備員たちはお客さんの情報共有を結構頻繁に行っている。
そこである日わかったのが、いつも別々でやって来る全く無関係に見えた2人が兄弟だったということ。注意して2人を見ていると、確かにたまーに2人で出走表を見ながら相談をしている。
いつも別々に来るし特徴も全然似てないし、ましてや帰るタイミングも違う。
赤の他人かと思っていたお客さん同士がまさか血縁関係にあるとは誰が想像しようか、否しない。
だって2人とも警備員に絡んだり話しかけていることなんか一度も見たことない。毎日来ることは知っているけど、黙々とレースに賭けては負けているという印象しかなかったから。
その事実にも驚きだったけど、どういう経緯でその情報を知ったかということが1番不思議だった。
ボートレースファンのおじさんに多い特徴
誰か1人が印象的だったということではなく、場外舟券売場に足繁く通う人たちに共通する特徴が多いなぁとおもったこと。
・帽子(キャップ)をかぶっている
・背が低いおじさんが多い
・ヤジの言葉が汚い(このタワケがぁ!とかはしょっちゅう言ってる)
・マークシートを書く時に手が震えている
特に最後のはほんとによくある。
券売機にマークシートを入れて何度もエラーになってしまう人がいたので声を掛けてみたところ、記入すべきところはちゃんと記入されていたからおかしいなと思ったら舟番のマークが盛大にズレていた。
あと、お客さんによくマークシートを塗ってほしいと頼まれるが、あとから「違う番号を塗られた」などのトラブルになってしまうため原則として応じてはいけない決まりがある(身体的に障がいがある場合はその限りではない)。
ある日もマークシートを塗ってほしいとおじいさんに頼まれたが断ろうとしたその時、鉛筆を渡そうとする手が驚くほどプルプル震えていたので、止むを得ず無線で本部に連絡をした上で手伝ったことがある。
まるで志村けんのコントを見ているようなプルプル具合だった。
ほかにも酔っ払って床で寝だす人とか明らかに買い間違えてるのにクレーム入れて来る人とか、ぶつかるほど近くを通り過ぎて警備員をわざと驚かせる人とか、
挙げたらキリがないほど変な人に遭遇した。
危害がないから良かったぁ。