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作品集

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短歌や川柳の作品です。
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記事一覧

hymn/last dance 丸田洋渡(40首)

hymn/last dance 丸田洋渡(40首)

第三滑走路の丸田です。10号(note版はこちらから)よりしばらく更新が空いてしまいましたが、10.5号として、個人の40首を掲載したいと思います。いずれ出る11号もお楽しみに!

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 hymn/last dance   丸田洋渡

超喜劇的なリズムが待っている 踊っていると忘れていられる

♪︎

生きていて生きていることが厄介 al

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第三滑走路 11号【短歌58首】

第三滑走路 11号【短歌58首】

こんにちは! 第三滑走路です。

2021年6月12日から19日にかけて、ネットプリント「第三滑走路 11号」を配信しました。1年2ヶ月ぶりの新号ということもあって、想定よりも多くの方に読んでいただくことができ、非常に嬉しかったです。ありがとうございました。

さて今号は、ネットプリントを出力し損ねた方や、後から第三滑走路を見つけてくださった方のために、pdfのデータを有料公開(100円)します。

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明日には短歌に飽きてしまう青松輝へ

明日には短歌に飽きてしまう青松輝へ

(この記事は、2020年4月23日に森の個人ブログに掲載したものを、掲載時の予告に従って転載したものです。内容には手を加えていません。)

(文中に引用されている短歌は、記名のあるものを除き青松輝の作品です。)



見たことのない星へ旅するために滑走路を 終わらない工事を
/青松輝



明日にも、青松輝は短歌に飽きてしまう。それは、仕方のないことだと思う。

岐阜亮司のこの記事が世に出て、

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第三滑走路 10号【短歌12首×3】

第三滑走路 10号【短歌12首×3】

こんにちは!第三滑走路です。

約5か月ぶりの新号として「第三滑走路 10号」を配信します!

昨今の #StayHome の情勢を踏まえまして、今回はネットプリントをやめてnoteでお届けします。

この記事は公開から一週間後の4月26日以降、有料(100円)になりますので、無料期間にぜひたくさん読んでもらえたらと思います。

記事の末尾にはいつも通りのレイアウトのPDF版も掲載してあります。そ

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第三滑走路 9.5号【川柳】【10号準備号】

第三滑走路 9.5号【川柳】【10号準備号】

こんにちは。第三滑走路です!

昨年11月に9号を出してから、かなり間があいてしまっていてすいません。

現在、10号を制作中なのですが、青松が締め切りを守れず、まだお出しできない状況です。

あんまり間隔をあけすぎるのはよくないということで、今回は9.5号と題しまして、noteで川柳を公開しようと思います。青松は3句、丸田と森は15句です。

句の引用など歓迎です!
何かあればTwitterで 

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夜、郵便のように(散文+短歌7首)

夜、郵便のように(散文+短歌7首)

死んだら〈粒子葬〉にしてほしい、と言われた。未来の存在に化石として発掘されたくない、らしい。そこまでしなくても、と言いかけて、それくらいしていいな、と思った。



夜、郵便のように  /森慎太郎

金髪を宙にほどけば繚乱のドッジボールに散る婚約者

化石へと近づいてゆく肋骨の春のすがたに思いを馳せる

通りすがりの小動物に引火してそのうち芽生える巨大な仲間意識

夕景に和英辞典が埋め込まれ宣誓

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短歌回転寿司

短歌回転寿司

短歌回転寿司  /森慎太郎

「ねぎとろ」と注文をする ああ、これは鮪の可能性は小さい

アボカドを入れて外国人向けにつくる寿司なり「カリフォルニアロール」

ハロー 夜。 ハロー 帆立の貝柱。 ハロー 茶碗蒸しの海老たち。

メニューしか見てないけれどきみの寿司はシャリを残して捨てないでほしい

甘だれがたっぷりかかってて笑う ふつうの大穴子をふつうに好きだ

3番席サラダ軍

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天国の信号機(散文+短歌七首)

天国の信号機(散文+短歌七首)

 天国には信号機がある。その信号機が、昨日誰かに盗られてしまった。とても困る問題である。

 信号機がかつてあった場所を訪れると、そこはとても静かになっていた。足元には青色の花が所在無げに咲いている。
 そもそも、あの信号機は、天国には必要なかった。天国に来て分かったが、死ぬときに肉体は置いていくから、魂のようなものだけがこちらで行動する。だから、外見というものが消滅する​――正対した瞬間に相手が

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エンドレス・サラダ

エンドレス・サラダ

エンドレス・サラダ /森慎太郎

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

「この味がいいな」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

「この味がいいな」と君が言ってから七月六日はサラダ記念日

「この味がいいな」と君が言ってから七月六日がサラダ記念日

「この味はいいな」と君が言ってから七月六日がサラダ記念日

「その味はいいな」と君が言ってから七月六日

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九月(川柳12句)

九月(川柳12句)

九月  /森慎太郎

袖振り合うも残暑お見舞い

もう二度と一度目はない

踏切の意味が違ったからです

正解を明かすとき限定の声

散るのは春の花だけじゃない

風景の更新待ちで屈伸

目をつむる海岸線に紅茶色

ミンミンゼミの射程圏内

ひとからの氷菓がほしい

劇場版:秋の味覚の集大成

中秋の名月そこに飾るのか

回転をつづけ九月の空がある

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桜、散ってすぐ夏(短歌12首)

桜、散ってすぐ夏(短歌12首)

第三滑走路6号に掲載した12首連作のひとつを公開します。たくさんの人に読んでもらえると嬉しいです。



桜、散ってすぐ夏  /森慎太郎

区役所にいこう 用件を済ませてはやく夜桜でも観にいこう

おそろいのメッセンジャーバッグをさげた市民合唱団と同じバス

質問が三点、それから最高のプロパガンダが二点あります。

わからなくてもなにか書く 南米の首都に位置するその美術館

妻で

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対義語の対義語(短歌12首)

対義語の対義語  /森慎太郎 

対義語の対義語 すこし遠回りしながら君に話す同義語

昼過ぎに降る対義語の同義語を長い目でみて許してあげる

臨海で暮らした年もありましたあれは同義語それも同義語

対義語を同義語にして行列の向こうミックスジュースおすすめ

弁護士に相談すれば一晩で解決できた対義語でした

照準は合わせておくよ同義語の対義語なんて言うまでもなく

ライターの先にゆらめ

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茉莉花(散文+短歌7首)

茉莉花(散文+短歌7首)

フルーツ哲学演習Ⅱ。風や花はフルーツでないが、花は風よりもフルーツに近い。林檎と青林檎とではどちらがよりフルーツであるか。学生たちはこういった抽象的な問いを前に、講義時間のあいだ中、あたまをフル回転して議論をこんがらがらせる。評価は出席と期末レポートが半分ずつで、レポートはフルーツに関係していれば何を書いてもいいらしい。履修する前、フルーツの四コマ漫画でも描いて出そうかな、なんて言っていた友だちは

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