一時帰国:両親とのジェネレーションギャップが広がるのを止められない
これは、一時帰国して、実家にいる間のお話。
結婚して子供が生まれ、大学を卒業し(私は結婚が先だった)た後、いつの頃からか、会うたびに親が小さくなっていく様に思えて仕方なかった。
それと同時に、年だから仕方がないとも言えるが、段々、親との考え方の違いが大きくなり、その差異を埋めるのが難しくなりつつあると感じている。
その一つに「新しいものを受け入れようとしない。知ろうとしない。」がある。(がんばりたくても受け入れられなくなるのかもしれない。)
前のnoteでも書いているが、うちの両親は未だに家のパソコンはデスクトップ&有線LANのみで、しかもスマホも持っていない。パソコン・スマホ関連についてはほとんど何も知らない。
なんでもかんでも新しければよい訳ではないが、もうスマホなしでは病院に行ったり、薬をもらったりすらもできなくなりそうな気がしているので、もう少しチャレンジ精神を持って欲しいところである。
インドでは病院の検査結果がPDFでスマホに送られてくるのが普通である。
両親がこれらのIT機器にしり込みするのは、節約目的の他に、正しい知識を持っていなくて、それを新たに学ぶだけの気力と体力が無いからである。
何度か書いているが、父親はwifiを使うと、自分の個人情報が空気中をふわふわと飛んでどこかに漏洩してしまうと信じている。(だから有線)
もちろん、40歳を過ぎた自分にも徐々に体の衰えが感じられるので、その気持ちは分かる。分かるが、さすがに極端すぎる。
もう絶対に新しいものなんか受け入れない、と言う気迫が感じられる。
そんな父も、昔は祖父の言動を「おやじがXXして、おがしっきゃ~」(訳:変だよね。→両親は津軽弁で話す)とあれこれネタにして笑っていたのに、今は自分が祖父と同じ状態にいる事に気づいていない。
日常生活も不便になる前に、スマホを買って渡した方がいいのじゃないだろうかと考えている。
自分もこの年になってすべての新しいことについていけてるわけじゃないので、知らない事は素直に若い子に「教えて」と言える姿勢でいようと思っている。
『昔の自分はすごかった』と過去の自分に浸る老害にだけはなるまいと心の中で誓っている。
もう一つは「断る事が悪い事だと思っている」がある。
これは本当に困った。以下のやり取りの時に、面倒くさい気持ちが思わず顔に出てしまったのだが、困るのは「では、何が希望なのか?」をはっきり教えてもらえない事だ。
今回の帰国の目的の一つに、「私の借金の繰り上げ返済」があった。(ええ、私の黒歴史です)
帰国直後に電話をかけて確認したため、2022年8月初め時点の残高は、メモに書いて残してあった。
私がインドにいる間、支払いの手続きをしてくれていた両親には、帰国した時に繰り上げ返済するつもりである事を伝えていた。
(インド移住当初は、インドから日本国内の送金が結構面倒だったので、両親に手続きをお願いしていた。)
なので、「今回は、XXX円ぐらいまとめて払って繰り上げ返済しておくからね。」と伝えると、両親は(正しくは父が)「残高分を払うから完済してしまえ。」と言ってくれたので、それはありがたく受け取ることにした。
だがしかし、問題は金額がいくらなのかを確認する方法であった。
上記の通り、私は既に電話済みなので、およその金額は知っていた。この手の金融機関は一日ずれると金額が変わるので、支払い直前にもう一度電話して金額を聞いてから払う事を提案すると、なにやら父が乗り気ではない。
私:「え、何かダメなの?」
父:「いや、ダメってわけじゃないけど。。。。別に3Kを信用していないわけじゃないけど、書面があるんだろ?」と返される。
私:「まあ、書類は送ってくれるって言ってたけど、それは8月19日までに届くって言ってるから、来週になっちゃうよ?」(この日は8月10日頃)
父:「・・・・。」
私:「え、もしも電話で聞いた金額のメモ書きが嫌なんだったら、別にいいよ。書類が到着するまで待とうか?」
父:「嫌とは言ってないけど。。。」
(この辺からイライラしてしまい、こちらもケンカ腰に)
私:「じゃあ、何が気に入らないの?一緒に電話して、スピーカーで聞いててもいいんだよ?」
父:「嫌とかダメとかじゃなくってさ」
私:「(じゃあなんだよ)別に『No』って言う事が悪いわけじゃないし、どの方法だったらいいのかを教えて欲しいだけなんだけど。どっちだったらいいの?」
・・・とここで母が割って入り、とりあえず書面を待つ、で手打ちにした。
次の日の朝、母がフォローしてくれたが、書面で見ないと怖い、信用できないのだそうだ。このペーパーレスの時代に紙オンリーとは。。。(両親の頭にはPDFなどと言うものは頭にない。)
父は普段は強気なくせに、いきなり弱気になるところがある。元夫の事だって、私の前では散々批判しているのに、今回本人を前にしたら借りてきた猫の様に大人しくなってしまった。
父よ。。。もっといろいろ言いたいことあったんじゃなかったのかい??
今回は方法の希望を聞いているだけであり、「AかBか?」にOK/NGがあるのであれば、はっきり言ってもらえないとこちらもどう進めていいのか分からないので、非常に困った。
明らかに嫌そうな顔をしているのに『嫌とは言ってない』などとはっきりしない態度にもイライラしてしまった。(お父さんごめん)
今回は父親の話だが、日本人は『No』と言う事を躊躇、遠慮する傾向があるし、文化としてもあまり歓迎されていないのじゃないだろうか。実はインド人も結構その傾向がある。どうやら『がっかりさせたら悪い』と思っているらしいのだ。インド人も優しい。
でも、絶対に『Yes』じゃないのに、『No』とはっきり言ってくれないのは、やさしさではない。それで誤解したり、今後の方向性が決まらなかったりとみんなが困るだけである。
父親の場合は『Yes/No』をちゃんと伝える訓練をしてこなかったし、もうこの年で『変わろう』と思っていないので、こちらが折れるしかないのだろうな、とあきらめている。
これから両親が介護が必要になったら戻る気ではいるのだが、今回の短期間の滞在中でも「あ、ムリ」と思う所はたくさんあった。お金はかかるかもしれないが、絶対に「近くで別居だな」と決心したのであった。
サポートいただけた場合は、「子供が売られない世界をつくる」を掲げてインドでも活動をしている、かものはしプロジェクトに寄付します。