社会学~空き家問題~その4【最終回】
過去三回では現在の空き家の状況や対応策などを書いてきましたが、今回は最終回として全体をおさらいしつつ、個人的に理想と思える空き家への取り組みを書いてみました。
最後までお読みいただければ幸いです。
空き家の現在の状況
総務省の「平成 30 年住宅・土地統計調査」によると空き家は 848 万9千戸あり、一方で総住宅数は6240万7千戸となっており一世帯あたりの住宅数は1.16戸となっています。
この数字だけで住宅が余っていることがわかります。
空き家の数が多いのは、東京都や大阪府などの大都市がある都道府県です。
例えば東京都の空き家数は86.6万戸となっており、全国にある空き家の10%ほどが東京にあるという状況になっています。
空き家が発生する理由
そもそもなぜ空き家が発生するのかというと、最も一般的な理由としては住人が高齢になることで老人ホームや子供宅に転居することです。
また、住人が他界した場合に相続人が相続だけして居住しないというパターンも多い事でしょう。
交通の便や日用品の購入などが不便なエリアでは、売却したくても売れないことが多いため、住人が転居や他界した場合はそのまま空家となってしまうのです。
出典:NPO法人 空家・空地管理センター
また、税制の問題があり家屋部分を残しておいたほうが固定資産税が優遇されることや、人口が減少しつづけているのに反して新築住宅の供給が続いているため中古住宅である空き家が売れないといったことも空き家が発生する理由になっているようです。
空き家の問題点
空き家があることの問題としては主に以下となります。
倒壊による事故
犯罪の根源や温床
雑草の繁茂
害虫の発生
特に問題なのが都会の空き家
数が多い
「平成30年住宅・土地統計調査」によると全国の空き家数はは848万9千戸となっており、そのうち東京都が86.6万戸、大阪府が73万戸と東京大阪などの大都市圏に空き家が多い状況となっています。
近隣と近いので倒壊したら近隣を巻き込んでしまう
都会では人口が多く住宅も密集している地域も多いことから、長年放置された空き家が倒壊した場合は、近隣の住宅も巻き込まれる可能性があります。
売却や賃貸などで次の入居者が決まるといいのですが、リフォームや解体など所有者にかかる負担が大きいため放置されがちになっているのが現状のようです。
治安悪化に繋がりかねない
所有者に無断で空き家に住みつく人がいたり、ゴミを捨てる人がいたりすると治安悪化につながる可能性もあります。
また、雑草や木々が繁茂したりすることで景観を損ねるといった問題も発生します。
解決案
現在空き家対策として、不動産業者や自治体などがさまざまな取り組みを行っており、少ないながらも上手く利用できている例もあるようです。
以下は現在の空き家の利用例や対策です。
商用利用 オフィス、店舗、シェアハウスなど
売却や賃貸
農地付き空き家なら農業できる
補助金などの自治体からのサポート(もっと知ってもらうべき)
国や自治体も空き家を活用すべく対策を行っています。
課題
空き家の利用にあたって、解決のための課題は以下の2つだと考えます。
リフォームなどの費用が所有者にとって大きすぎる
立地や利便性、築年数などの諸条件から買い手や借り手が見つからない
親から相続した実家などは、リフォーム費用を自治体が一部を補助してくれれば早期に買い手や借り手が見つかる可能性が高まるのかもしれません。
Uターンで転入する場合は補助金の申請ができますので、こういった制度が空き家対策としてもっと検討されてもよいのではないでしょうか。
出典:HUREX
今後の理想的な解決方法
実現の可否を無視して個人的に理想的と思える解決方法をあげてみました。
もっと国や自治体が空き家の所有者をサポートしたり、物件探しの候補として空き家物件を検討してもらえるような展開があることが望まれます。
全国に848万戸以上に空き家を活かしたビジネスを民間業者と国や自治体とで協力して展開できれば解決の兆しが見えるかもしれません。
所有者任せにせず、自治体が介入しサポートできるようにする
自治体と不動産業者が協働して移住者に紹介できるようにする(空き家は普通の中古物件より安く入居できるように)
自治体や国が土地家屋を相続した人に対してなるべく早く対応するように促すとともにサポートする。
全ての自治体が空き家状況を把握し空き家バンクを実施する(停止している自治体もある)
民間業者による空き家ビジネスの活性化
空き家問題について今回が最終回となります。
現状ではこれといった対策が無いように思えますが、問題を整理し当事者だけではなく、自治体や企業、個人事業主といったさまざまな立場の人たちにも空き家利用に目を向けてもらえることで、空き家問題が少しでも解決に向かっていくことを願っています。
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