【ツノがある東館】のお題で、【一行目で惹きつける】ショートショート #毎週ショートショートnote
伝説の鬼を前に、学芸員の男は震えていた。「アレなら…」そう呟き走り去っていった。
ここは街の博物館。来館者に人気なのは「伝説の鬼」の展示品、ツノ、虎のパンツ、金棒だ。これには言い伝えがあり、満月の夜に三つを身に着けると鬼に変身できるのだという。その為、この三点は本館、西館、東館に分けて厳重に管理されていた。
この街に住む一人の男は、世間に絶望し自暴自棄になっていた。男は満月を迎える日に博物館に押し入ると、まずパンツと金棒を奪った。最後にツノがある東館に迫り、止める館長を振り切り手に入れてしまった。
満月の下、全てを身に着けた男は、唸り声と共に鬼へと変身を遂げた。
「このままでは街が襲われる…」館長は恐怖に震えた。
その時鋭い音が響き、頭を撃ち抜かれた鬼はバッタリとその場に倒れた。館長が振り向くと、そこには手にエアガンを持った学芸員が立っていた。
「館長、福豆で撃ってやりました!今日が節分の日でよかったですね!」
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たらはかに様の企画に参加させていただきます。難しいお題に加え、一行目で惹きつけろとは、主宰たらはかに様のシゴキが強めですね。しっかり苦しみました。