ふりかえるとよみがえる (バレエショートショート)
今日のレッスンは大先生だ。いつもの先生の祖母だ。90歳を超えており、杖をもって指導する。声に張りがあり、眼光は鋭い。レッスンはいつでもそうだが、大先生にかかると特に気が抜けない。
今日のセンターのメインはランベルセだ。これは黒鳥の踊りでも多用され、藍の得意でもある。しかし大先生はすべてを日本語でいうので調子が狂う。
ふりかえ~って よみがえ~る
回るときは~上にぃ もっとひきあげ~て
大先生は鏡を舞台に見たて、前に向き戻る時によみがえるという表現を使う。しかし回転したあとの足の運びの時に音があわない。生徒たちがもたつくと、大先生は杖を放り出し両手をパンパンと叩く。するとリズムにあってくるから不思議だ。
4人ずつ順番に踊るが藍たちコンクール経験者の出番が来ると大先生の声掛けが早口になる。
ふりかえって ヨミガエル
次2回転で
ふりかえって ヨミヨミガエル
3回転!
ハイ ヨミヨミヨミガエル
笑うヒマがない
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
たらはかにさまの企画に参加中です。
ランベルセのお手本(男性)
ゆっくりヴァージョンがあるのでどうぞ。
ダンサーはアメリカンバレエシアターのケビン・マッケンジーです。現在は同バレエ団の芸術監督だがもう少しで引退されるとのこと。
いただいたサポートはすべて バレエに捧げます!!