ポケット大増殖 (バレエショートショート)
奨励さんは今日もレッスンに通う愛野藍を待つ。藍はきっぱりと断る。
「発明品を使うなと言われています」
奨励さんはめげない。
「ポケット大増殖な衣装入れだ。チュチュもティアラも髪飾りもポワントも全部それぞれのポケットに入る優れもの。ぜひ試してくれ」
衣装入れ?
藍は足を止めた。
一見普通の衣裳入れだが、確かにポケットが多い。ポワントも本番用、ゲネ用、予備用、トウクッションと分けて入れられ、裁縫道具や足の血マメをケアする救急ポケットまである。実用的だ。
「便利そう…使ってみようか」
藍がそれを受取ろうとした直前に、先生に見つかった。
「ダメです」
先生は怒っている。
「藍さん、その増殖したポケットをよく見なさい。底に変な粉があるでしょ」
奨励さんが叫ぶ。
「粉にバレエ専用の呪力がある。丑三つ時に採取した苔を乾燥させて粉砕させたものをだな」
藍は怒られている奨励さんを置いて、さっさとレッスン場に入る。上達には努力しかない。
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