夕焼けがここに来る前のベージュ色した空
まっすぐ伸びた線路が、身ひとつで歩いたとしても迷わず次の駅まで辿り着けそう
数分毎に電車が滑るとき、私が歩くつもりだと知っていて導くような遅さで、でも同じくらい私を無視したような速さで
見えるギリギリの終わりまで吸い込まれていく
線路を見下ろす私を挟んで反対車線の歩道には、深緑色の大きくて丸い葉をつけた木がしな垂れて、灰色の地面に影を作っている

初めてじゃない

仕事で行った富山駅で路面電車を乗り間違えて、知らない橋の向こうへ辿り着いたとき

あるいは名古屋から一時間電車に乗って、産まれた場所を振り返ったとき

あるいは昔旅行した群馬県からの帰り道

あるいは10年以上前に見た夢
思い出すのは、夢と気付いているのに覚めない不気味さと鮮明な景色

新しい場所へ行っても、ときどき同じ場所に出逢う
大脳皮質で起きた記憶の虚再認だとわかっていても、いつも同じ音楽を聴きたくなる
見晴らしの良い一本道の迷路みたいな夢

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