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ChatGPTで理論株価を算出したらまさかの結果に!! もっと簡単に理論株価を算出できないの?編


もっと簡単に理論株価を算出できないの?

前回の記事では、トヨタ自動車(7203)の理論株価をDCF(Discount Cash Flow)法に基づいて算出する方法を紹介しました。

知識も経験も無い私が算出した理論株価の正確性については、疑問の余地があります。

とはいえ、トヨタ自動車(7203)の株価が2,500円を下回れば買いという結論に至りました。

詳細は、下記の記事を参照ください。

ところで、やってみる前から分かってはいたのですが、理論株価を算出するのはかなりの手間がかかります。

その手間を軽減する手段は無いものかと考えていたところ、ChatGPTを活用するアイデアを思いつきました。

ChatGPTで理論株価を算出できるの?

DCF法に基づいた理論株価をChatGPTで算出できるのであれば、これほど簡単なことはありません。

しかし、できるの?という疑問が湧きます。

そこで、「ChatGPT 理論株価」というキーワードでGoogle検索を行いました。

検索結果を見ると、ChatGPTによる株価予想や銘柄選択、ポートフォリオ選定、等の記事は引っかかるのですが、理論株価に関する情報は無さそうでした。

そもそも、DCF法に基づいて理論株価を算出するプロセスは、言葉にすると単純です。

  1. 必要な数値(財務情報)を過去数年分の有価証券報告書、等から抽出する

  2. 公式に従い、抽出した財務情報を使って理論株価を算出する

実際に、私がExcelを使ってDCF法に基づいた理論株価の算出を行った際に、感覚的にやっかいだと感じたのは以下の点でした。

  • 参照する財務情報が多数存在するためややこしい

  • 財務情報を数年分の有価証券報告書、等から抽出するのが面倒

  • 会計基準変更のタイミングを挟む場合は参照先が増えてさらに面倒

おそらく、ChatGPTで理論株価を算出する場合に問題となるのは、数年分の有価証券報告書、等から財務情報を抽出する点だと思います。

言い換えれば、財務情報さえChatGPTに与えてやれば、おそらく、理論株価は算出できると思われます。

そこで、考えられるアプローチは、以下の2つのプランとなります。

  • プランA: プロンプトに財務情報を加えることなく、ChatGPTに理論株価を算出させる

  • プランB: プロンプトに財務情報を加えて、ChatGPTに理論株価を算出させる

プランBは、Excelを使って算出するのと差が少ないので、プランAを目指します。

ChatGPTにPDFファイルの数値を参照させる方法

DCF法に基づいた理論株価を算出するには、PDFで保存されている有価証券報告書、等に記載されている様々な財務情報を参照する必要があります。

これをChatGPTにやらせるにはどうすれば良いのでしょうか。

折角ですので、ChatGPTに聞いてみました。

  • プロンプトの入力文A

    • ChatGPTに対して、インターネット上に保存された有価証券報告書に記載されている売上高、営業利益、等を参照させる方法を簡潔に教えてください。

ChatGPTにインターネット上の有価証券報告書を参照させるための方法としては、次のステップを取る必要があります:
1. 有価証券報告書の取得
有価証券報告書は、EDINET(金融庁が提供する電子開示システム)などで入手できます。まず、そのウェブサイトで該当企業の報告書をダウンロードしてください。
2. データの整理
報告書がPDFなどの形式で提供される場合、そのままではChatGPTに内容を解釈させることができません。売上高や営業利益などの情報を抽出し、必要に応じてCSVやテキスト形式に整理します。
3. ChatGPTにデータを提供
整理したデータをChatGPTに提供します。例えば、売上高や営業利益の数値を直接入力して質問を投げかけるか、データファイルをアップロードする形でChatGPTに与えます。
4. データに基づいた質問をする
ChatGPTは提供されたデータに基づいて質問に答えることができるため、「この企業の最新の売上高を教えて」などと質問します。
ChatGPTは現時点ではインターネットに直接アクセスしてデータを取得できないため、データをあらかじめダウンロード・整理して提供する必要があります。

プロンプトの入力文Aに対するChatGPTの回答

「報告書がPDFなどの形式で提供される場合、そのままではChatGPTに内容を解釈させることができません」とあります。
Σ(゚д゚;)デキナイノ!?

プランBに変更です。

ChatGPTで理論株価を算出する方法

それでは、ChatGPTで理論株価を算出する方法について、ChatGPTに聞いてみることにしました。

  • プロンプトの入力文B

    • ChatGPTにDCF法に基づいた理論株価を算出させるための方法を簡潔に教えてください。

ChatGPTにDCF(Discounted Cash Flow)法を使って理論株価を算出させる手順は以下の通りです:
1. 必要なデータを準備
DCF法では以下のデータが必要です:
● 将来のフリーキャッシュフロー(FCF):予測されるFCFを複数年分準備。
● 割引率(WACC:加重平均資本コスト):通常は企業のリスクを反映する。
● 永続成長率:フリーキャッシュフローが永続的に成長すると仮定した成長率。
● 現在の株式数:株価算出のための必要データ。
2. ChatGPTにデータを提供
これらのデータを直接入力し、例えば次のように指示します:
● 「フリーキャッシュフローは1年目が100億円、2年目が110億円、3年目が120億円、割引率は5%、永続成長率は2%でDCF法に基づく株価を計算してください。」
3. DCF法の計算を指示
提供したデータを基に、ChatGPTが現在価値を計算します。具体的には、以下の計算を実行させます:
● 各年のFCFを割引率で割引して現在価値に変換。
● 永続成長率を用いて終価(Terminal Value)を算出し、割引。
● 全ての現在価値を合計し、株式数で割って理論株価を算出。
必要に応じて、具体的なデータと計算方法を指示すると、ChatGPTはDCF法に基づく理論株価を算出できます。

プロンプトの入力文Bに対するChatGPTの回答

すごく面倒くさい。
○| ̄|_キタイハズレ

財務情報をプロンプトに加えてChatGPTに理論株価を算出させてみた

ChatGPTの指示通りに、プロンプトに財務情報を加えて理論株価を算出させてみました。

財務情報は、前回の記事で使用したトヨタ自動車(7203)の数値を使用しました。

  • プロンプトの入力文C

    • フリーキャッシュフローは1年目が1兆9286億円、2年目が6兆6949億円、3年目が2兆2772億円、4年目が4兆6763億円、5年目が10兆6643億円、割引率は6%、永続成長率は1%、発行済み株式数は16314987460でDCF法に基づく理論株価を計算してください。

DCF法に基づいて計算した結果、1株あたりの理論株価は約111,760円となります。 ​

プロンプトの入力文Cに対するChatGPTの回答

私が算出した理論株価は、11,176円でした。

あれ、ChatGPTの算出した理論株価の10分の1ですね。
(? _ ?)ヒトケタチガウ

理論株価が異なる原因は?

理論株価の算出結果が異なる原因を探るため、ChatGPTに理論株価を算出した方法と算出に至るまでの経緯を表示させてみました。

  • プロンプトの入力文D

    • フリーキャッシュフローは1年目が1兆9286億円、2年目が6兆6949億円、3年目が2兆2772億円、4年目が4兆6763億円、5年目が10兆6643億円、割引率は6%、永続成長率は1%、発行済み株式数は16314987460でDCF法に基づく理論株価を計算してください。

    • また、理論株価を算出する際に使用する公式と理論株価を算出するまでの経緯の詳細を簡潔に表示してください。

DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)を用いた理論株価の計算には、以下のステップが必要です。
ステップ 1: 各年のフリーキャッシュフローを割引
DCF法では、将来のフリーキャッシュフロー(FCF)を割引率で現在価値に変換します。
割引されたフリーキャッシュフローの現在価値(PV)は次の公式で計算されます:
PV = FCF / (1 + r) ^ t
● FCF:各年のフリーキャッシュフロー
● r:割引率(6%)
● t:年数
ステップ 2: 永続価値(ターミナルバリュー)の計算
永続成長率(1%)を用いて、5年目以降のキャッシュフローを無限に続くものとして計算します。永続価値(TV)の計算式は次のとおりです:
TV = FCF5 × (1 + g) / (r − g)
● FCF5​:5年目のフリーキャッシュフロー
● g:永続成長率(1%)
● r:割引率(6%)
この永続価値を5年目のフリーキャッシュフローと同様に割り引き、現在価値に変換します。
ステップ 3: 理論株価の計算
株式価値(企業価値から負債を引いたもの)を発行済み株式数で割ることで、理論株価を算出します。
株価 = 企業価値 / 発行済み株式数
それでは、これに基づき計算します。

理論株価は約111,760円となります。
計算手順のまとめ:
1. 各年のフリーキャッシュフローを6%の割引率で現在価値に割引しました。
2. 5年目以降のフリーキャッシュフローに基づく永続価値を1%の永続成長率で計算し、同様に割引しました。
3. 割引したフリーキャッシュフローと永続価値の合計を企業価値とし、これを発行済み株式数で割ることで理論株価を算出しました。
結果、理論株価は 111,760円 となります。 ​

プロンプトの入力文Dに対するChatGPTの回答

私が理論株価を算出する際に使用した公式は、下記となります。

DCF法の算出式

$$
\begin{align*}
 企業価値 = & \ \frac{FCF(1年目)}{1+r} + \frac{FCF(2年目)}{(1+r)^2} + \cdots + \frac{FCF(5年目)}{(1+r)^5} \\
& \ + \frac{TV}{(1+r)^5}
\end{align*}
$$

$$
TV = FCF(5年目) * (1 + 永久成長率) / (r - 永久成長率)
$$

$$
理論株価 = 企業価値 / 発行済み株式数
$$

上式において、$${FCF}$$はフリーキャッシュフローを、$${r}$$は割引率を、また、$${TV}$$はターミナルバリューを示しています。

つまり、理論株価を算出する公式は、私とChatGPTで同じでした。

そこで、ChatGPTが算出した企業価値とターミナルバリューの値を確認することにしました。

  • プロンプトの入力文E

    • フリーキャッシュフローは1年目が1兆9286億円、2年目が6兆6949億円、3年目が2兆2772億円、4年目が4兆6763億円、5年目が10兆6643億円、割引率は6%、永続成長率は1%、発行済み株式数は16314987460でDCF法に基づく理論株価を計算してください。

    • また、合わせて理論株価を算出するために使用したターミナルバリューと企業価値の値も表示してください。

DCF法に基づく理論株価、ターミナルバリュー、企業価値を計算する手順は以下の通りです。
計算手順:
1. 割引率6% で各年のフリーキャッシュフローを現在価値に割り引く。
2. 永続成長率1% を用いて、5年目以降のフリーキャッシュフローを元にターミナルバリューを計算し、それを現在価値に割り引く。
3. 割引されたフリーキャッシュフローとターミナルバリューの合計を「企業価値」とし、発行済み株式数で割って理論株価を求めます。

すでに使用したデータに基づく計算結果は次の通りです:
ターミナルバリュー(TV): 約 ¥2,272,404 億円(227兆2404億円)
企業価値: 約 ¥1,822,806 億円(182兆2806億円)
理論株価: 約 ¥111,760

これらの数値に基づいて、理論株価が算出されました。

プロンプトの入力文Eに対するChatGPTの回答

私が算出したターミナルバリューと企業価値は、次の通りです。

ターミナルバリュー: 215兆4181億円
企業価値: 182兆3358億円

ChatGPTの算出結果とは多少の誤差があります。

私は百万円の精度で各数値を算出してるので、おそらくそれが原因かと思います。

いずれにせよ、企業価値がほとんど変わらず、発行済み株式数は同じなのに、企業価値を発行済み株式数で割った理論株価がなぜ1桁ズレるのか、さっぱり原因が分かりません。

試しに、下記のプロンプトをChatGPTに入力してみました。

  • プロンプトの入力文F

    • 企業価値が182兆3358億円、発行済み株式数が16314987460の場合における理論株価を計算してください。

企業価値が182兆3358億円で、発行済み株式数が16314987460の場合、理論株価を以下のように計算できます。
理論株価の計算式:
理論株価 = 企業価値 / 発行済み株式数
1. 企業価値: 182兆3358億円 = 182,335,800,000,000円
2. 発行済み株式数: 16,314,987,460株
計算を行うと、
理論株価=182,335,800,000,000 / 16,314,987,460 ≈ 11,176円
したがって、理論株価は 約11,176円 となります。

プロンプトの入力文Fに対するChatGPTの回答

1桁少なくなった!!
(;゚Д゚)ドウイウコト?

まさか、ChatGPTが割り算が苦手とは思いもしませんでした。

それとも、私のプロンプトに何か問題があるのでしょうか?

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