大規模言語モデルの特許に警戒せよ
この記事を書いている2024-01-12現在、J-PlatPatで検索してみると”大規模言語モデル”のキーワードでヒットする国内特許(申請中・権利化ずみ)は50件ある。
すでに権利化(特許化)されているものは36件あり、そのうち2023年以降に出願されたものは30件ある。ちなみに出願者は大企業や大学の研究機関は少なく、どちらかというとスタートアップ的な企業が多い。これが意味する所を考えてみるのも面白いかもしれない。
全てを精査したわけではないが、特許化されたものの内容をざっと見てみると、非常に基本的なアイデアだなと思うものも含まれている。LangChainなどのよく使われるフレームワークに含まれていそうなものまですでに特許化されている。(例:特許7325152)
もちろん所定の手続きに則って特許を取得するのは正当な行為であるが、ソフトウェア開発に広範に関わる基本的なアイデアを特許化されてしまうと、その後のソフトウェア業界の健全な発展の阻害要因にもなりうる。(サブマリン化して大問題になったレメルソン特許問題など、歴史を振り返ってみて欲しい)。
したがって、大規模言語モデルを活用したビジネスやシステム開発に関係している人は特許の動向に常に気を配り、基本的な特許が成立してしまわないよう、必要とあらば異議申し立てや無効審判を実行するなどの対応が必要であろう。
さらに言えば、すでに明確なユースケースやアイデアがあるなら、逆に自分が特許を出願するか、論文などの形で公知化しておくなどの防御策を講じるのが望ましいと思う。