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友人がモバイルプランナーになった話

大学2年の春休み、部活とバイトを繰り返す私に1本の電話が飛んできた。
それは高校が同じだった友人Mからの連絡だった。

M「俺さ、つい最近携帯ショップの代理店でインターン始めたんよ。で、営業の練習をしたいから来てくれない?」

暇だし面白そうという理由で承諾した私。場所を聞くと、私の家から約2時間ほどかかり往復で2000円近くするところだった。

急に面倒になり、渋る私だったがMに説得されて行くことにした。

当日、Mと最寄り駅に待ち合わせ携帯ショップに向かった。ショップに着いたが、それは携帯ショップというよりカフェといった感じだ。
中に入ると8つほどのテーブルと椅子のセットがあり、何人かは携帯の営業をしているようだ。

席に着き、「今日は来てくれてありがとう!」といわれ、営業の練習が始まった。
今M自身がしていること、なぜ店がカフェみたいなのか、うちの店で携帯を替えると月々の料金が今よりも安くなる...etc
これらを説明してもらった後、私の携帯の機種とプランについて聞かれた。

私は当時iPhone8を使っており月々のプランはわからないと答えた。

それを聞くなりMは「うちの店で替えたら絶対安くなる!マジで替えるべきだよ!」と説明。あれ?これ営業の練習だろ?と思った私。

後で月々の料金を親に確認すると、そこまで変わらないとのこと。(笑)

それでも「最新のiPhoneが1円で買えるキャンペーンやってるから!」ゴリ押ししてくるM。
そしてMは裏に行き、上司と思われる人を呼び、上司と2人で私を説得。

3年半同じ携帯を使っており買い替え時と思っていたことや2人にゴリ押されたこともあり私は購入した。

私は携帯を購入でき、それなりに満足している。

だが、彼のやり方。いや、この代理店のやり方には少々疑問が残った。

彼の営業練習の前に軽い雑談をした。そこで言われたのはうちの代理店は、紹介制で顧客を獲得していると答えた。

問題はその紹介のやり方である。
私が受けた説明では、販売員の友人に話を持ち掛け、興味を持ってくれた人にプランを紹介し購入してもらう。そして、販売員の友人がまた別の友人に販売員を紹介し購入してもらう。
販売員は契約件数に応じてインセンティブを得るという仕組みである。

これは数年前に話題になった友情商法というものである。
私は紹介営業すべてが悪いというつもりはない。友人からの紹介で何かしらの商品やサービスを購入したことがある人もいるだろう。
ただこのような例の場合は、事前に買い手が興味を持っていることが前提なのだ。

しかし、今回の件は営業の練習という名目であり、はじめは買う気などなかった。
おそらく他の友人にも同様の手口で誘い出し、契約を進めているのだろう。

こうなっては、友人との信頼関係も破綻しかねない。
また、企業側がこのようなやり方を推奨するのはいかがなものか。

現にMは、後輩を勧誘したが失敗に終わり「あいつは詐欺師だ」「マルチ商法をやっている」と言われている。

そして私は新しく買った携帯を見るとふと友人Mを思い出し、どこか虚しい気持ちになってしまうのであった。





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