愛を買わなくちゃ
「消費せよ 消費せよ それこそが君を救うのだ」
さっきからやたらその言葉が頭の中を巡っているから、ふっと流してみたら、思っていた以上に歌詞が最近の自分の生活とリンクしていて、涙が止まらなくなった。
あまりにも潜在的無意識レベルで秋田ひろむの言葉が刻み込まれている自分、主体性の無さが露骨に出ていてちょっと危ういな?
まあいい、親みたいなものだと思おう。
世の中の様々なコンテンツに触れていると、異様に虚しくなるときがある。
「自分は何も作り出さないで、誰かが作り出したものをお金と時間を使って啜っているだけの木偶の坊だな。」とか、
「消費するならするで、もっと自分の身のためになるようなものを選ばないと、資本主義の鴨になってしまうのにどうしても、話題性や広告に飛びついてしまう。」とか。
でもそんなことは、自分次第でどうにでもなる。自分が何か創作しようと思えば(金にはならなくてもアウトプットくらいには)できるし、自分の好きなものをもっと素直に選り好みするよう気をつければいいだけの話だ。
問題はここから。
最近の私はもっぱらこんな感じだ。ハマったきっかけなんかは長くなるので割愛するが、ここ数週間で急におかしくなっている。
片っ端から彼のグループのCDを借りてきたと思えば、今まで興味もなかったくせに、彼が宣伝しているからと突然化粧品を買い、伸ばしていた髪を切って髪型を真似し、出演している映画やラジオを聴き漁り、1ヶ月前はドキドキしなかった彼の画像なんかを今見るとちょっとパニクりながら頭を抱えてしまう始末。
今まで言論人やニュースやアニメ考察、アクアリウムや動物、配信系YouTuberなんかがバランス良く並んでいた私のYouTube視聴履歴は、今や彼のグループの関連動画一色である。狂っている。
そしてそういった事をリンク先のコミュニティでは、誰にも咎められることはなかった。むしろ良いことだと言われた。私も自分以外の人間が同じ事で悩んでいたらそう言うに違いない。
ただ私はここまでしておきながら、何故か罪悪感に苦しんでいる。
私にとってどうもアイドルコンテンツというのは、なんだか、
「とある人にコーティングや学習を施し、飾り、万人ウケするようにして、その人を良く言えば“神様”、悪く言えば“サンドバッグ”にしてしまう」ような、
偶像的な感覚がとても強い。
二次元の推しや、尊敬するミュージシャンとか、好きなシンガーソングライターとか、お気に入りのお笑い芸人とか、推しの配信者とかとはまるで違う。
そんなの一緒だろうという反論はあるだろう。否定はできないが、
なんだろうな....。
私にとってアイドルは「神の皮を被って祭り上げられた人間」という感覚が非常に強いのだ。
そして本人が好きで被っているのなら全然いいのだが、なんだか無性に「被らされている」という感覚がある。
彼らの活動内容に、普通のタレントとは違う「疑似恋愛」のような側面が含まれてくるからだろうか。
なんだか我々ファンの側が、「彼らの“人の部分を”消費している」ように思ってしまうのだ。
先述したように他のタレントなどだとその意識は薄い。
「彼らが“やっている事”をただエンタメとして楽しんでいる、応援している」という至って健全な感覚のままでいられる。
消費という感覚が入ってきても、彼ら自身を侵食している気持ちにまではならない。あくまでも彼らの外側の部分、彼らが作ってこちらに投げてよこした物、を美味しく頂戴している、という感じに過ぎない。
うーん、やっぱり「疑似恋愛」があるからなのかな…。ファン層の熱量みたいなものも関係している気がする。そんなわけで、アイドルコンテンツに触れていると「彼ら自身を消費している気がして、なんとなく申し訳ない」のだ。
でもそんな申し訳無さを抱えつつ、もう私は触れることを率先して止めることができない。
「救いになってしまっている」のだ。
そのアイドルの存在が既に私の生活の上で、妙な癒やしになっている。なんだかしんどくても、向き合いたくない何かがあっても、彼の事を考えていると気が紛れてしまう。
なんに対してもやる気が出なくて、生きるのにも疲れた、と思っても、彼らに関することならなんだか動けてしまう。
自分が過激なファンになるのを恐れて、心のどこかで冷めた目で彼らを見つつ、また同じ心のどこかで、非日常的なときめきが日常にあることを喜んでしまう。
なんだろうなあ〜....。
正に冒頭の「消費せよ 消費せよ それこそが君を救うのだ」
状態である。
秋田ひろむマジでいいこと言うなあ。なんだか情けないやら身に沁みたやらでボロボロ泣いてしまった。
まあ、なんだろうな。アイドル側も商売でやっているので、そこは安心して、適度に(適度に)応援していくのが今はいいんのだろう。抑圧せず、暴走せず。
なんだかそれしかない気がする。
元々アイドルオタクよりは音楽オタクの畑の人間なので、そのうち彼らの音楽ばかりに気を取られて落ち着いているような気もする。
こんなこと言って来年あたりファンクラブなんかに入っていたら、友人や恋人に笑ってもらおう。
(彼らの所属事務所、ちょっと来年どうなってるか全然わからないけど...。)
今日はこのへんで。