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スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん第二章~#5
こちらの続きです
『世界のノド』
世界を破滅させようとしている古代竜アルドゥイン。そのアルドゥインを倒せるかもしれないシャウトの存在について、グレイビアートに話を聞くために再びハイ・フロスガーへやってきました。
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早速アーンゲールさんにシャウトのことについて尋ねました。すると眼光鋭くこちらを睨みつけ、「それを誰に聞いた?誰と話した?」と問いただしてきました。
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「アルドゥインの壁にですね…」
「ブレイズか!なるほど、殆ど理解できていない物事に突っ込むのが得意だからな。彼らの無謀な傲慢は底が知れぬ。彼らは常に智の道からドラゴンボーンを遠ざけようとしてきた」
珍しく感情的に、かつ忌々し気に吐き捨てる様子から、アーンゲールさんがブレイズを快く思っていないことが十分に伝わってきました。
「お前は我々から何も学んでいないのか?ブレイズの道具として使われたいのか?」
「そんなに怒らなくても…ブレイズはアルドゥインを倒したいんですよ。あなた達の望みも同じじゃないのですか?」
「私の望みは関係ない」
アーンゲールさんは冷たく言い放ちました。
「アルドゥインが破れられる運命には無かったと考えたことはないか?太古の時代に彼を打倒した者たちも、裁きの日の到来を遅らせただけだ。止めたわけではない。もし世界が終わるのであれば、それも良いだろう。終わらせて再生させればいい」
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どうやら彼らもドラゴンについて危機を感じ、私に色々と教えてくれたのでは―という想定は間違いだったようです。
「…では、助けてくれないということですか」
「だめだ。今はできぬ。お前が智の道へと戻るまでは」
ほぉーん、いやはや、困りました。アーンゲールさんはブレイズアレルギーだったようです。ブレイズと縁を切らない限り、シャウトについて教えてくれそうにありません。
アーンゲールさんが私の前から立ち去ろうとしたその時、地響きのような声が響き渡りました。ドラゴンの言葉です。
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振り向くと、グレイビアートの一人であるアイナースさんがこちらを見ていました。どうやら今聞こえた声は、彼の発したものだったようです。
「ドラゴンボーンよ…待て」
アーンゲールさんはアイナースさんから視線を外し、私へと向き直りました。
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「すまない。今のは…不必要であったな。己の感情で判断力を鈍らせてしまったようだ。アイナース師が私の義務を思い出させてくれた」
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どのような言葉だったのかはわかりませんが、アイナース師の説得でアーンゲールさんも協力してくれるようになったようです。助かりました。
「ではシャウトを教えてくれますか!?」
「それはできない。私には分からないからな」
「ええ!?」
「”ドラゴンレンド”と呼ばれているが、我々にその力の言葉は分からぬ。声の道にドラゴンレンドの居場所はないからな」
どうもそのシャウトの起源はかなり特別なもので、ドラゴンではなく人間が作り出したものであり、しかもドラゴンへの憎しみと怒りそのものが込められているのだとか。シャウトの達人であるグレイビアートからも忌避される、空からドラゴンを堕とすシャウト、『ドラゴンレンド』――
「つまり、『ドラゴンレンド』はもう失われていると…?それならどうやってアルドゥインを倒せば…」
「我らが教団の主、パーサーナックスが答えようとすれば、その問いに答えられるかもしれぬ」
パーサーナックス!
そういえば、グレイビアートの長が山の頂上にいると聞いていました。彼はここにいる誰よりもシャウトに精通しているそうです。なるほど、その人なら知っているかもしれません。
アーンゲールさんは立ち上がり、中庭へとついてくるよう促しました。パーサーナックスに会うための道を開けるシャウトを教えてくれるそうです。
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『晴天の空』という名のシャウトです。短時間ですが悪天候を晴らすことが出来るシャウト。これで常人には厳しい天候が阻む頂上への道を切り開いてくれるとのこと。
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頂上への道中、シャウトを使いながら登っていきます。途中で氷の生霊から襲われたりもしましたが、ドーンブレイカーで燃やしながら突き進みました。
そしてついに頂上、『世界のノド』にたどり着きました。
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その時、巨大な白いドラゴンが空から現れました。なんと、こんなところにもドラゴンが!
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弓矢を装備して臨戦態勢に入りますが、ドラゴンは空から舞い降りて伏せたまま、こちらをじっと注意深く見つめ襲ってきません。
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何かがおかしい…と思い始めたその時、ドラゴンがおもむろに口を開きました。
「ドレム、ヨル、ロク。よく来た、ウンドゥニーク。私はパーサーナックスだ」
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えーーーーーーーーー?????
パーサーナックスって、グレイビアートの長って、ドラゴンだったの!?!?!?
驚愕する私をよそに、パーサーナックスを名乗るドラゴンは竜語を交えながら人の言葉で話しかけてきます。
「お前は何者だ?なぜ我がストルンマー…我が山を訪れた?」
質問も頭に入ってきません。混乱したまま、私はただただ思ったことを口にしました。
「あなたがドラゴンだとは思いませんでした…」
「父、アカトシュが私をこう作ったのだ。お前が…ドヴァーキンであるようにな。」
寒さのおかげか、やっと頭がさえてきました。
「ドラゴンレンドのシャウトについて知りたくて来たんです。教えてください」
目的を告げると、パーサーナックスは「待て」と制止し、近くにあった岩の壁に向かって炎を吹き付けました。
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「これを与えよう、ドヴァーキン。ヨルだ。ドヴのように炎を理解しろ」
私にヨル――竜語でファイアブレスのシャウトを習得させ、それを自分にぶつけてドラゴンボーンであることを証明しろということらしいです。ドヴ、とはドラゴンのことを指すのでしょうか。
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シャウトをパーサーナックスに浴びせると、
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「ああ…まさに!」「お前の中に竜の血脈が強く流れている。同じ種族の者と話したのは随分と久しぶりだ」
これでドラゴンボーンとして認めてもらえたようです。自分が竜の血族であるという自覚は全くないのですが…
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「私に何を望むのだ?」
さっきも聞いたんだけどな…と思いながらも、もう一度お願いしました。
「ドラゴンレンドのシャウトについて教えてください!」
「ああ、お前を待っていたよ。年老いたドヴァ―とティンヴァークをするために、ここまで来たわけではあるまい。ああ。アルドゥインに対抗する武器を探しているのだろう」
待っていた?
「グレイビアード達は、ここにきてほしくなかったようなんですが…」
「ふむ、そうだな。私を守ろうとするが故だ。」
そうだったのか…たしかにドラゴンを倒すシャウトをドラゴンに聞くもんじゃないですよね。
「しかし、お前の求めるスゥームの事は知らない。クロシス。私には知りようがないのだ」
「え!?」
パーサーナックスによれば、ドラゴンレンドは定命の者がドラゴンを倒す武器として作ったシャウトのため、ドラゴンの心ではその概念すら理解できないのだそうです。私はドラゴンボーンとしての性質上、特に苦労なく様々な言葉を習得してきましたが、本来シャウトを使うには『理解』が必要なのですね。
しかし、頼みの綱だったパーサーナックスでさえも知らないとなると…
「どうやって学べば…」
「ドレム。時が来れば分かる。さて、質問がある。なぜこのスゥームを習いたいのだ?」
「アルドゥインを止めなければならないんです」
「なるほど。アルドゥイン…」
パーサーナックスは懐かしそうに続けました。
「世の長子にありがちな、有能で、貪欲で、そして厄介な兄だ」
パーサーナックスはアルドゥインよりも年下なのでしょうか。
「だが何故だ?なぜお前がアルドゥインを止めねばならぬ?」
「へ?」
なぜ?なんだか急に面談が始まったな…
「なぜって…この世界が好きなので、滅びてほしくはないんです」
私がそう答えると、パーサーナックスは目を細めました。
「ブルザー。他に劣らぬよい答えだ。同じ考えの者は多いが、そうでない者達もいる。すべての物事が終焉を迎えなければ次が生まれない…そう言う者もいるだろう。この世界は、次のカルバのための眠れる卵なのかもしれぬぞ?レイン、ヴォーキン?新たな世界の誕生を妨げるのか?」
私の行動が新たな世界の誕生を妨げる?そんなことまで考えたことはありませんでした。
そもそも、私が努力してアルドゥインを倒したところで、破滅するときはするでしょう。それでも今出来ることがあるなら力を尽くすまでのことです。
「新たな世界のことは、私たちの力の及ばぬことです」
何が運命かなんて知ったこっちゃありません。この行動が無駄になったとしても、自分にとって最善であることを選択していくまでです。すべては後悔しないために。
「パーズ。いい答えだ」
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「お前は、この世界の終焉を早める力を均衡させるだけかもしれん」「時の流れにのる我らも、前の世界の終わりを見ることはできぬ」「終焉を早めようとするものが、それを遅らせることになるやもしれん。その逆もまたしかり」
運命に乗るか反るか、パーサーナックス自身もこの孤独な山で葛藤し続けてきたのかもしれませんね。
ここにきてパーサーナックスは話が長くなったことを詫び、やっとアルドゥインを倒す方法について教えてくれる気になったようです。長らく話し相手もいなかったようですから、おしゃべりしたくなるのは仕方ないかもしれませんね。
「私がなぜ、ここに住んでいるのか…お前は知っているか?」
「いいえ、考えてもみませんでした」
「スカイリムで最も神聖な山なのだ。ゾック、レヴァク、ストルンマー。世界に名だたる山だ。古代の舌、すなわち初めて声の達人となった定命の者が、ここでアルドゥインに戦いを挑み、打ち破った」
なんと!そうだったんですね!まさかここが現場だったとは。かつてここでドラゴンレンドを使い、アルドゥインは倒された。しかし――
「アルドゥインも完全に敗れたわけではなかった。そうであれば、お前がここに来ることもなかった」
確かに…アルドゥインは長い期間姿を消していましたが、今復活したということは、完全に倒していたわけではなかったということです。では、アルドゥインはどこにいっていたのでしょう。
「当時のノルドが使ったドラゴンレンド・シャウトは、アルドゥインの動きを封じた。だが十分ではなかった」
十分ではなかった…
「ケル、星霜の書。彼らはそれを用いて…奴が時の流れを彷徨うように仕向けたのだ」
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「星霜の書とは?」
「うーむ。お前たちの言葉で何と説明したものか?ドヴにはそれを表す言葉があるのだが、ジョーレにはない。それは…時を超えた秘宝なのだ。存在しないが、常に存在するもの。ラー、ワーラーン。つまり…うむ…創造のかけらなのだ」
おお…一生懸命言葉を尽くして説明してくれようとしていますが、理解が追い付きません。
なんとかわかる範囲でまとめると、
・星霜の書の数々は、預言書として用いられている。
・古代ノルド人は、その書を用いてアルドゥインを時の流れに送り込んだ。意図的ではなく、地上からドラゴンを消し去ろうとして結果的にそうなってしまった。
・パーサーナックスはやがて時が進めばアルドゥインが現れることがわかっていた。
ドラゴン復活の真相は、デルフィンさんが予想していたような『誰かが黒幕になって引き起こされた』というような陰謀ではなく、そもそもかつてアルドゥインを完全に倒したとされていた事実自体が誤認だったわけです。
時の流れを彷徨っていたアルドゥインが満を持して復活することは、遅かれ早かれ必然であったということなのですね。
「これがここにいる理由だ。定命の者にとっては何千年もの間、待ちわびていた。奴がどこに現れるかは分かるが、いつかは分からん」
はあ、ここまで聞いてもパーサーナックスがここにいる理由としていまいち繋がらないのですが…
「古代ノルドがアルドゥインにしたことによって、ここでは時が…砕けてしまった」「ここは時の傷跡だ。もしあの星霜の書さえ持ち帰れば…」
なんと、パーサーナックスは時を壊すために使われた星霜の書をここで再び用いることで、私を過去に遡らせることができるかもしれないと考えているようです。
「ドラゴンレンドは、生み出した者達から習うがよかろう」
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パーサーナックスはアルドゥインがやがて復活することも、ドラゴンレンドを求めるドラゴンボーンが現れることもわかっていたのです。だからかつて古代のノルドがドラゴンレンドを使ったこの場所で、時がくるのを待ち続けていたのですね。
そして星霜の書をここへ持ってきて、なんらかの方法で時を遡り、ドラゴンレンドを一度使った古代ノルドから直接習うようにと――
そうとなれば、星霜の書を手に入れなければ。
「どこにいけば星霜の書があるのか知っていますか?」
「いや。この地に住み続けて以来の長き間に何があったか、ほとんど知らないのだ。おそらくお前の方がよく知っているだろう」
うーん、そういわれましても…頭をひねって考えてみます。
星霜の『書』というくらいだから、おそらく書籍関連…となれば、
「…ウィンターホールド大学のアルケイナエウム…あそこの司書のウラッグさんならもしかしたら」
私のつぶやきに、パーサーナックスは優しく言いました。
「己の直感を信じろ、ドヴァーキン。その血が道を示してくれる」
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「しかし、その書物とティード・アーラーンの絆が… それが最初に作られた頃の光景を、お前に見せるはずだ。彼らにも…わが友、ハコン、ゴルムレイス、フェルディルに出会うはずだ」
「へえ、お友達ですか」
「スゥームを…すなわち”舌”を、私が最初に教えた定命の者達だ。アルドゥインに立ち向かった人々のリーダーだった。あの頃にして、彼らは非常に強かった。アルドゥインを倒そうとしたほどの者達だ…サーロット、フンネ。以後も多くの英雄がノルドに現れたが、彼ら以上の者はいない」
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過去を懐かしむようにそう言うと、パーサーナックスは寒空に羽ばたき、力の言葉が刻まれた壁に降り立つと羽を休めるようにして静かになりました。
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パーサーナックスは、定命の者である我々に対して非常に優しいドラゴンです。こんな個体がいるだなんて驚きました。彼の過去には一体どんな物語があったのでしょうか。
そもそも、私は脅威としてのドラゴン像しか知りませんでした。ブレイズの人々と同じように、ドラゴンは駆逐されるべき存在だとしか。
しかしパーサーナックスはシャウトを人々に教え、この世界を守るべく思慮してこの場に留まり続けています。そしてグレイビアードはそんな彼の正体を隠し、何千年もの間世の中と隔絶して守り続けていたのです。
頂上から降り、アーンゲールさんに報告しました。
「そうか…パーサーナックスと話したのだな。竜の血脈がお前の中で眩しく燃えているぞ。それで、シャウトについて教えてくれたのか?」
「いえ。でも探し方を教えてくれました」
「それもよかろう。もしお前が学ぶ事が必要だと彼が信じるならば…我々も彼の判断に従おう」
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アーンゲールさんにも星霜の書について聞いてみました。
「我々がその書を気にした事はない。当の神々でさえそれに手を加える事に恐れを覚えるのだ」
星霜の書…一体どんな代物なのでしょうか。
最後にブレイズについて聞いてみると、
「初めてタムリエルへ来たとき、彼らはドラゴン達の虐殺を行った。今度はお前の手助けにより、再び行おうとしている」
そのように嫌悪感を示しました。
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たしかに、デルフィンさんはドラゴンスレイヤーとしての使命に燃え、ドラゴンを全滅させると宣言していました。
ドラゴンであるパーサーナックスを長として成り立つグレイビアードにすれば、闇雲にドラゴンの討伐を使命とするブレイズは脅威でしょう。もしもブレイズがパーサーナックスの正体を知ってしまったら――
パーサーナックスのおかげでグレイビアードもアルドゥインの討伐に協力してくれることになりましたが、組織としてブレイズとの合流は難しそうですね。
ハイ・フロスガーを出てイヴァルステッドへ降りてくると、配達人から声をかけられました。
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「ウィンドヘルムのクインタス・ナバレからの手紙だ。緊急だそうだ」
「ウィンドヘルムの…ああ!」
クインタス・ナバレさんは、ウィンドヘルムの錬金術店、ホワイトファイアルの若い錬金術師です。以前、彼の師匠ヌレリオンさんに頼まれて一仕事したことがありました。
『ヌレリオンの回復を待つ間、小瓶の伝説を研究しています。自分の魔法では新しいものを作る力はありませんが、正しい材料があれば直せるかもしれません。
できるだけ早く会いにきてください。』
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これは朗報です。ウィンターホールド大学へ行く前に、ウィンドヘルムに立ち寄ることにしました。